七十八話 異界㉙
殴り倒されている召喚人達の貌は、やはりと言うべきか銀幕で活躍したハリウッド俳優貌ばかりだった。
60年代に『モンゴメリー・ウッド』の芸名でマカロニ・ウェスタン作品に主演し、作品が世界的ヒットし、同時期に芸名を本名へと変え、その後マカロニ・ウェスタンに立て続けに主演し、世界の大スターへと駆け上がった 『ジュリアーノ・ジェンマ』
灰色の目としゃがれた声、冷やかな笑顔をトレードマークに、主にギャング映画での非情な殺し屋、戦争映画での冷徹で人望のない指揮官役などで持ち味を発揮、善玉・悪玉の両方を演じられる貴重な性格俳優としての地位を確立した 『リチャード・ウィドマーク』
スペインの映画俳優で、多くの犯罪ドラマ、歴史映画、西部劇の出演でその貌と名知られている
俳優 『ホセ・カルヴォ』
主にアルゼンチンで活動、チリの俳優、人気歌手でもあるが、西部劇映画作品で登場する
『ドン・ミゲル・ロホ』役で知られている俳優 『アントニオ・プリエート』
推理作家アガサ・クリスティの友人で、彼女の原作による戯曲でエルキュール・ポアロを
演じている 事で有名で、50年代に入るとテレビを中心に活動した俳優
『フランシス・L・サリヴァン』
そんな往年の銀幕スター貌の召喚人達を殴り倒している集団は、風景に溶け込ませて
判別させにくくし、視覚的に発見されにくくするためか、山間部や草原において
カモフラージュのため短冊状の布や糸を 多数縫いつけて垂らしたジャケットを着用していた。
18世紀頃からスコットランドに伝わる妖精である『ギリードゥ』から来ている『ギリースーツ』だ
そしてその集団の中で幾人――――幾体かが、手に日本のサブカルチャーに「剣と魔法のファンタジー世界」を定着させたシリーズ作品に登場している『ひのきのぼう』を握り締めている。
『ひのきのぼう』を叩きつけられたと思われる、『アントニオ・プリエート』 『フランシス・L・サリヴァン』貌の召喚人を筆頭に、これまた幾体かの召喚人達が地面で蹲っている。
もちろん、まだ蹴倒されたり、『ひのきのぼう』を叩きつけられていないハリウッド貌
召喚人達の姿もあった。
だが、逃げ場がないため、恐怖という名の紐で締め付けられていた。
「・・・・」
その無事な中には召喚人『駒米たも』の姿も含まれていた。
震えながら歯をカチカチと鳴らし、その視線は『ギリースーツ』の集団を見据えていた。
貌は判別できないが、もし判別出来たらとすれば、訓練に参加している召喚人達や召喚人
『駒米たも』は震え上がっていた事だろう。
なんせ最前線軍から、『キアヌ・リーブス 』 『ドルフ・ラングレン』 『チャック・ノリス』
『カート・ラッセル』 『トミー・リー・ジョーンズ』 貌の銃士達が協力しているからだ
無事な召喚人達は、ゆっくりとにじり寄る様に接近する『ギリースーツ』集団に
反射的に後ずさった
だが、それに反して召喚人『駒米たも』は、何かを察して前に出た。
―――広報という仕事で随伴していたが、どういうわけか召喚人『駒米たも』も移動中に何十回も
攻撃対象とされて、蹴倒されいた。
そのたびに猛烈な抗議(反撃?)をしたが、その返礼は無言の拳と蹴り、そして締め技だった。
貌色を失った召喚人『駒米たも』は、地面を蹴って『ギリースーツ』集団に向かった。
やられる前にやってやる――――そんな覚悟をしている様子だった。
無事な召喚人達が目撃した光景は、『ひのきのぼう』で殴り倒されながらも、
必死で立ち向かっていく 召喚人『駒米たも』の姿だった。
『ひのきのぼう』を叩きつけられながら、何やら叫んでいた。




