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六十五話  異界⑮

 



 脚を縺れさせ苦しげに喘ぎながら、石の詰まったバケツを担いで走った先に現れた障害は――――

 泥水で満たされた500メートル程度の大木に出来た洞穴だった。

  召喚人達は息を切らし、身体を引きずる様に泥水の溜まった大木内を泳ぐ。

 骨まで凍る冷たい泥水だった。

 泳いでいる召喚人の身体は、感覚がにぶくなってきていた。



  『フザケルナ!! ソンナ動キデゴブリンヲ殺セルカッ!! ケツノ穴ヲ

 引キ締シメロ!!  ダイヤノ糞ヲヒネリ出セ!!』

  『かたせ梨乃』貌の訓練教官が刺し貫かんばかりの視線を、冷たい泥水の

 中を泳ぐ

 召喚人達に向けて、修羅の如くの怒声を浴びせる。

 泥水が口の中に飛び込んだ召喚人達は、激しく噎せながらも泳いでいる。



 筋肉が麻痺を起こしそうになりながらも、泥水の底に沈むよりは水しぶきを立て

 身体を動かす。

 はじめはほとんど動く事はなく、それどころか足先から頭に激痛が走っていた。

 召喚人達はくじけず、歯を食いしばって鉛の棒を縛り付けている脚を

 必死に動かす。


『ショーン・ペン』 『マシュー・モディーン』 『マイケル・ケイン』貌の

 召喚人は泥水に潜り、 酸素の不足と耳鳴りにさいなまれていた。

 力一杯、鉛の棒を括りつけている脚で水を蹴る。

 鉛の棒が両脚に括りつけているため、急には浮き上がる事はできなかった

 泥水に潜った召喚人は、肺から血がにじむのではないかと思った。



 意識が朦朧とし、危うく泥水を呑みそうになった時、やっと頭が水面に届く。

 泥水に潜っていた召喚人は、水しぶきを跳ね上がげ、空中に飛びあがるほどの

 勢いで水面から突き出し、むさぼるように空気を吸った

 喉と肺は痛んだが、それでも意識は少しはっきりとさせた。

 泥水が入って視界が見えない瞳には、鬼の様な形相の 『かたせ梨乃』貌の

 訓練教官の姿があった



『ショーン・ペン』 『マシュー・モディーン』 『マイケル・ケイン』貌の

 召喚人は、大きく息を吸って再び潜り込み、死に物狂いで泥水を蹴る

『ダラシノナイ奴等ダッ!! ソレデモ召喚人カッ!!』

『かたせ梨乃』貌の訓練教官が再び、修羅の如く怒声を浴びせる。


『モウ・・限界・・・』

 微かな声で『ジャック・ニコルソン』貌の召喚人が弱々しい声で叫ぶ

 頭が今にも沈みそうになりながらも、焦りながら泥水を泳ぐ

『シッカリ!!』

 しゃがれた声を振り絞りながら『シャロン・ストーン』貌の召喚人が、全力を

 あげて自分の身体を『ジャック・ニコルソン』貌の召喚人の方に押し出した。

 貌にかぶさってきた泥水をのんで『シャロン・ストーン』貌の召喚人がむせた。






執筆してた時、たまたまラジオからソフィアの「町」が流れてきました

なので、なんか妙なテンションで書きました(W

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