四十七話
仄かに蒼白い照明弾の射している大地をレンガ色のさざ波が打ち寄せていた。
大地を埋め尽くすほどのゴブリンが、磁石に吸い寄せられる様に続々と押し寄せてきている。
上陸地点付近で、巨大な竜舌の様な暗夜に火炎が吐いた。
ざっと1000体の召喚人の火炎放射器部隊が群がるゴブリンに戦端をひらいた。
それは凄絶な光景だ。
最大飛距離30メートルはある炎の矢が凄絶に右に左に揺れて、ゴブリンを焼き払っている。
ゴブリンの焼ける、吐き気をもよおす臭いが周辺に満ちた。
幾人かの冒険者ギルド職員がその光景を見ている。
迫りくるゴブリンの群れに、召喚人は死に物狂いに火炎の柱を叩きつけている。
戦端の開始と同時に照明弾がさらに徹底して打ち上げられ、周囲は真昼の明るさがあった。
その中で召喚人の必死の奮戦がみえた。
しかし、火炎放射器のゲル化剤は数秒で無くなるため、補充しなくてはならない。
別の召喚人が補充して、また発射する。
火炎放射器の届く範囲は焼け焦げたゴブリンの死骸の山が出来たが、ゴブリンはしかし、
その山を越えてくる。
この世界の住民がみれば、卒倒するだろうおぞましき光景だ
―――――レンガの色の津波の後方に、レンガ色とは違ったゴブリンが2体いた。
それは、闇よりも深い漆黒色のゴブリンだ。
2匹のうち、一匹が手に持っている黒い杖を大きく掲げた。
周辺に嵐の前に鼻をつくすオゾンの臭いと同時に周囲の空間が震動した。
ちりちりと焦げるような電流が空間一帯に広がる。
それと同時に、大型の荷物などが搬入出来そうな無数の穴が何もない空間に結像した。
その穴からレンガ色のゴブリンが、怒涛の如く飛び出してきた。
夥しい数のゴブリンだ。
飛び出してきたゴブリンは、奇声を発しながら大地を踏みしめ、『漆黒の銃士隊』が
居座る地点に向かっていく。
―――――上陸司令部にいるゴンザレスは、眉を顰め、何もない虚空へと仰向けたのは、
『黒いゴブリン』が 同族を増やすのと同時だった。
「・・・・・空震だと」
ゴンザレスは、ジョブの影響なのか、常人には
察知できない気配を感じ取り、そう呟く。
それはこの場にいる冒険者ギルド職員以外の、召喚人も感じた様だった。
突然、動きを止めた召喚人と何かただ事ではない様子のゴンザレスを見た冒険者ギルド職員は
戸惑った。
ゴンザレスと召喚人は、『黒いゴブリン』が空間の歪みを生み出して、ゴブリンを出現させた事を知覚したのだ。
ちりちりと焦げ付くような電流が、ゴンザレスの背骨を這い上がってくる。
「 『黒いゴブリン』を目撃しだい排除!! 」
ゴンザレスは、額に汗をにじませながら大声で告げた。




