四十六話
――――夕刻が過ぎた夜間頃、上陸地点一帯でも戦闘が始まった。
闇夜に紛れ、上陸司令部目指して進撃するゴブリンの群れに『アラン・ドロン』隊、
『ジャン・レノ』隊、『マイケル・ダグラス』隊、『トミー・リー・ジョーンズ』隊が戦端を開いた。
幾つもの照明弾が打ち上げられ、付近は明るくなっている。
照らしだされた場所は、レンガ色で埋め尽くされていた。
ドスンドスンという98mm迫撃砲M-98の砲撃音の他に、M16A1、M240機関銃の斉射が始まった。
ゴブリンの群れは次々と吹き飛ばされ、銃弾によって排除される。
ずしんとくるその砲撃の音に、この場所にいる冒険者ギルド職員全員は、立ちすくんでいた。
彼らに取っては、まったく耳にしたことのない戦闘だ。
「・・・この戦闘は、一晩中続くな」
ゴンザレスは、足に伝わってくる衝撃に貌を少し顰めながら呟いた。
戦闘の音は激しさを増す。
上陸司令部付近の塹壕線内や、木材などで高く積み上げた物見櫓には、黒の背広に黒ネクタイ、
白のワイシャツ、黒の革靴を着用した召喚人が犇めいていた。
迫ってくるゴブリンの群れに向かって、塹壕線内からM16A1、M240機関銃を連射していた。
大きく見開らかれた召喚人の瞳には、手にしている近代兵器の銃口から発せられる微かな閃光が
黄色いストロボが立て続けに焚かれているかのように映っている。
頭上では、迫撃砲で発射された照明弾が音を立て輝き、小さなパラシュートをつけてふわふわと落下しながら、独特のぼやけた青白い光で塹壕の中を照らす。
連なって進んでくるゴブリンの群れの後方にかけていきなり連続する爆発音が響き、
地面全体が大きく噴き上がった。
それは、最近新しく追加した
クレイモア地雷だ。
その衝撃音と轟音は凄まじく、塹壕の中で召喚人達は身を縮め、頭を低くする。
右手方面の『ジャン・レノ』の1人が塹壕の土壁にぴったりと身体を寄せていた。
左手方面には『アラン・ドロン』、『マイケル・ダグラス』が同じように頭を低く下げていた。
右手方面には『ジャン・レノ』 『トミー・リー・ジョーンズ』が頭を低く下げていた。
召喚人の貌に狼狽の色は浮かべてはいなかった。
照明弾が落下しつづける中で、その貌がゆっくり暗闇にかき消されていく。
『トミー・リー・ジョーンズ』隊の1人が、塹壕の床から一段落高くなった射撃足場によじ
登って見渡す。
土嚢越しに覗くと、舌打ちをした。
照明弾の光で照らされたどこもかしこも、ゴブリンの群れで埋め尽くされていた。
ゴブリンの群れは、手に手に錆びた長剣や槍などで持ち、鉄条網の列に急接近しつつあった。
第一陣が鉄条網に達すると、押し倒そうとする。
『トミー・リー・ジョーンズ』の1人が、M16A1の冷たい銃床を持ち上げ頬に当てて鉄条網の所に
群がっているゴブリンの一団に照準を合わせると、短く断続的に引金を絞った。
銃の激しい反動が終わってから、照準を再び合わせると、鉄条網の所には無数のゴブリンの
死骸の山が出来ていた。
もう一度撃つ前に、両側の召喚人が一斉射撃を開始したため、さらに死骸の山が出来き増えていく。
だが、その後方から別のゴブリンの群れが同族の死骸を踏み越えようとやってくる。
『トミー・リー・ジョーンズ』の1人が弾倉の弾を撃ち尽くすと、射撃場から壕内に降りた。




