三十話
海岸は砂埃と煙のために白く煙り、何本もの黒煙があちらこちらで立ち昇っていた。
「さて、ゴブリン狩りを始めるか」
凄まじい笑みを浮かべながら砂浜を踏みしめたナナシは、背後にいる『召喚剣士』に語り掛けた。
背後には、平均の成人男性より一回り大きい巨躯の人物が静かに立っている。
巨躯を包み込んでいるのは、ライトノベルや異世界系アニメなどで登場している甲冑だ。
簡素で無骨、フード付きマントを羽織っていた。
それら一式を闇よりも濃い漆黒で統一している。
その背中には、長さ一メートルほど長剣を背負っていた。
時折見えるフードの奥の素顔は―――――。
第32代米国大統領『フランクリン・ルーズベルト』と同じ貌だった。
ナナシが周囲を睥睨している間にも、海岸には次々と上陸舟艇が乗り上げている。
その中からは、すし詰めにされていた『漆黒の銃士隊』の面々が次々と吐き出されていた。
海岸に次々と上陸舟艇が乗り上げ、その中からすし詰めにされていた『漆黒の銃士隊』が次々と吐き出されていく。
この上陸部隊は、初期の『召喚人』で占められている。
全員が黒の背広、白いワイシャツ、黒ネクタイ、黒の革靴を履き、同じ貌の『召喚人』が10000人もなると、異様なものがある。
『ブルース・ウイルス』隊、 『ロバート・デニーロ』隊 『キアヌ・リーブス』隊、
『ドルフ・ラングレン』隊・・・・一つの隊が10000だ。
上陸地点を確保した上陸部隊から、ナナシは『召喚剣士』と
『ブルース・ウイルス』隊、『ロバート・デニーロ』隊、『ドルフ・ラングレン隊』、
『キアヌ・リーブス』隊を引き連れ、『冒険者ギルド』から教えられた
元に、『ゴブリンの巣』複数存在する1km弱の内陸部に向かう。
その上空を鉄の鳥が複数飛んでいる。
この『異世界』の住民は見たこともなく、聞いたこともない珍しい鉄の鳥だ。
『元の世界』では、、FH-1 ファントムで知られる航空機|だ
ナナシが率いる『漆黒の銃士隊』と『召喚剣士』は、順調に
複数存在する『ゴブリンの巣』に近づいていったのだが―――――。
ナナシは、左手を静かに上げて停止を促した。
『漆黒の銃士隊』と『召喚剣士』は、一斉に脚を止めた。
「火炎放射班 前に出ろ!! 急げ!!
泥臭ぇゴブリンが来るぞ!!」
ナナシが命令を下した。
前方から耳障りな甲高い鳴き声の共鳴音を立てながらゴブリンの集団が、津波の様に押し寄せてくる。
そのはてのしれない巨大な群れは、まるで磁石に惹かれる様に正確にナナシが率いる『漆黒の銃士隊』と『召喚剣士』に何の迷いもなく向かってきていた。
『ロバート・デニーロ』隊 と『キアヌ・リーブス』隊から改良型のM9火炎放射器を背負った『召喚人』
が次々と飛び出す。
「焼き払え」
ナナシは、向かってくるゴブリンの津波を睥睨しながら短く命令を下した。
間近に近づいていたゴブリンの一翼に、巨大な竜舌の様な火炎が浴びせられた。
それは凄絶な光景だった。
炎の矢が凄絶に右に左に揺れて、ゴブリン群を焼き払っている。
ゴブリンの焼ける、吐き気を催す臭いが周囲と断末魔が周囲に満ちた。
改良型のM9火炎放射器を使っている『召喚人』は、憤怒の表情を浮かべている。
火炎放射器の届く範囲はたちまちゴブリンの死骸の山が出来ていた。
しかし、ゴブリンの群れはその山を乗り越えてくる。
それは恐ろしい勢いがあった。
うず高くなった死骸の山は炎を発して燃えている。
その山をゴブリンの群れが何物かに押し上げられるように這い上り、炎を消しながら押し
下がってくる。
また、火炎放射器は数秒で燃料のゲル化剤がなくなるためか、『ブルース・ウイルス』と
『ドルフ・ラングレン』が補充していた。




