二話
見渡す限り瓦礫の山と廃墟、村人の悲惨な死骸が転がっていた。
付近で蠢いているのは、『ゴブリン』の群れだ。
その一角で、銃声が響き、『ゴブリン』の耳障りな奇声が響く。
『ゴブリン』の群れが、黒の背広に黒のネクタイ、白いワイシャツ、黒の革靴を履いた集団に束になって襲い掛かっていた。
アクション俳優五人組は、歯を剥き出しにして襲い掛かってくる
『ゴブリン』に容赦なく、ウィンチェスターM1866の銃弾を撃ち込んでいく。
撃たれた『ゴブリン』は、あるものは貌が千切れ、頬を抉られる。
アクション俳優は眼にもの止まらぬ速さで、操作しながら弾を薬室に
送り込み、 自動式に劣らぬ速さで撃ちまくる。
襲い掛かってきた『ゴブリン』の群れは、グシャグシャになるまで弾を叩き込まれ、緑色の液体をまき散らしながら、襤褸雑巾のような格好で地面に転がる。
「横一列だっ!!突っ込め!!」
そう叫んだのは、アクション俳優を率いている『ナナシ』だ。
二百や三百近くの『ゴブリン』の群れがいるが、逃げるつもりはまったくないようだった。
群れに向かって『ナナシ』とアクション俳優が走る。
すぐに群れの中に入った、『ナナシ』は素手で『ゴブリン』を殴り殺し、蹴り飛ばす。
どの『ゴブリン』も向かってきた。
群れているためなのか、怯むという事はないようだった。
耳障りな鳴き声を発して、我先に向かってくる。
『ナナシ』とアクション俳優は、暴れ回る。
その様子は、群れを殲滅することしか考えていないようだった。
『一匹でも残しておかない』
そんな決意があるようだった。
ウィンチェスターM1866の銃弾を使い切れば、アクション俳優は銃床で殴り、
または、『ナナシ』と同じように素手で格闘を続ける者、肩から吊るしていたホルスターから
コルトM1991A1を抜き、撃鉄を起こして銃弾を撃ち込み殺し続ける。
戦っている姿は悪魔の踊りに似ていた。
この土地に棲む生きものが悪霊に憑りつかれて踊り狂っている感じだ。
殺し続けるが、いつの間にか周囲は『ゴブリン』だらけになっていた。
『ゴブリン』 『ゴブリン』 『ゴブリン』 『ゴブリン』・・・
レンガ色の肌に赤い眼の醜悪な風貌で埋め尽くされていた。
それでも、『ナナシ』もアクション俳優は戦闘を止めない。
そんな昂ぶっている所に、ハリウッド俳優五人組が、鬼の様な形相を
浮かべながら、コルトM1991A1の引き金を絞り到着する。
正確な死と破壊を『ゴブリン』の群れに送り続けた。
『ゴブリン』の群れは、顔面を吹き飛ばされ、あるいは身体に撃ち込まれて大恐慌に陥った。
生き残りの『ゴブリン』は、後ずさるように次々と逃げようとする。
「 『リーブス隊』! 付近を捜索し、逃げ遅れはいないか確認をしろっ、『ラングレン隊』は
周囲警戒だっ! 『ゴブリン』を近づけさせるなよ」
『ナナシ』が辺りを睥睨しながら告げ、地面にまだ死にきれていなで蠢いていた
『ゴブリン』の頭を踏み潰す。