二十八話
南部地方に位置する都市『ロナニア』より、北部に位置した場所―――――。
そこには、この異世界には存在もその様な技術もない滑走路が存在していた
周囲に設けられているのは無蓋掩体壕、司令部棟、整備場等の地上建造物・・・。
この異世界には、間違いなく存在していない建造物だ。
駐機場一帯を乳白色の薄霧が漂っていた。
薄霧がゆっくりと晴れていくと、そこには銀色に輝く大型戦略爆撃機『B-29 スーパーフォートレス』の機体が存在していた。
機体の周囲の真下では、大勢の整備員、兵器員が慌ただしく動き回り、エンジンのチェック、
爆弾や機銃弾の搭載、燃料の補給等で立ち動いている。
その整備員、兵器員は、この異世界の冒険者や一般人ではない。
なにせ、それら全員の貌には、眼も鼻も口もないからだ。
そんな異様な集団が忙しく動き回っているのだ。
そして、この場所は興奮と活気に包まれていた。
ルイトリア島への最初の爆撃を行った前日の夜も、この場所は興奮と活気に包まれていたが、
この日のこの場所に満ちている熱気は、その前の比ではない。
今回出撃するB-29の数が、一桁違うためだ
最初に飛び立ったB-29は40機だったが、今回準備を進められている数は600機。
オルテガが一度に召喚出来る現在の総数だ。
この召喚は、オルテガが新しく召喚出来る様になった航空機だが、一度に
600機を召喚し出撃させる経験は、これが初めてだ。
目的が、ルイトリア島で猛威を振るっているゴブリンの抵抗力を削ぎ落す事をオルテガは、
全『召喚航空士』に伝えていた。
『この一戦で、ルイトリア島のゴブリンを屈服させる。『漆黒の銃士隊』の恐ろしさを叩き込んでやれ』
オルテガの意気込みが『召喚航空士』を突き動かし、祭りさながらの熱気をもたらしていた。
『般若』の面を被っているオルテガは、駐機場付近にいた。
指を突き出し、天に向かって弓矢を射るポーズを取っていた。
「真珠湾を忘れるな 真珠湾を忘れるな 真珠湾を忘れるな 真珠湾を忘れるな 真珠湾を忘れるな
真珠湾を忘れるな 真珠湾を忘れるな 真珠湾を忘れるな 真珠湾を忘れるな 真珠湾を忘れるな
真珠湾を忘れるな 真珠湾を忘れるな 真珠湾を忘れるな 真珠湾を忘れるな 真珠湾を忘れるな
真珠湾を忘れるな 真珠湾を忘れるな 真珠湾を忘れるな 真珠湾を忘れるな 真珠湾を忘れるな
真珠湾を忘れるな 真珠湾を忘れるな 真珠湾を忘れるな 真珠湾を忘れるな 真珠湾を忘れるな
真珠湾を忘れるな 真珠湾を忘れるな 真珠湾を忘れるな 真珠湾を忘れるな 真珠湾を忘れるな
真珠湾を忘れるな 真珠湾を忘れるな 真珠湾を忘れるな 真珠湾を忘れるな 真珠湾を忘れるな
真珠湾を忘れるな 真珠湾を忘れるな 真珠湾を忘れるな 真珠湾を忘れるな 真珠湾を忘れるな
真珠湾を忘れるな 真珠湾を忘れるな 真珠湾を忘れるな 真珠湾を忘れるな 真珠湾を忘れるな」
オルテガは、低く渋めのある声で、淡々と『真珠湾を忘れるな』という言葉を呟き繰り返している。
その言葉を繰り返すと、乳白色の薄霧から次々と銀色に輝く大型戦略爆撃機の姿が現し始める。
その奇妙な行動をしているオルテガの付近には、冒険者ギルドの職員2名がいた。
『・・・・・・・・・』
その2人は何も言葉を発する事はできなかった。
この異様な光景に衝撃を受けているためでもあった。
オルテガは、低く渋めのある声で、淡々と同じ言葉を呟いている事に狂気を感じているため
もある。
しかし、例えこの場所から離れたいと思っても『ギルドマスター』からの命令で、オルテガから
離れるはできなかった。




