二十五話
『モンギッド』の迷宮を走破して一週間――。
ゴンザレスは、活動拠点としている東部の都市に戻っていた。
渋い表情を浮かべながら、ゴンザレスは『冒険者ギルド』へ向かっている。
『モンギッド』の迷宮をありえないスピードで走破したことで、酒場や宿屋で
『漆黒の銃士隊』の噂が広まっていた。
そのことについては、ゴンザレス達にとっては本当にどうでも良い事だ。
迷宮攻略は、あくまでこれからのゴブリン狩りを進めるためにしかたがなく、ゴンザレスが行った事だ。
『ゴブリンの行軍』を経験した、もしくは巻き込まれていない冒険者や一般人には、
たかがゴブリン如きという楽観的な気分が広がっており、経験したもしくは巻き込まれた険者や一般人とは、何処か温度差もある。
ゴンザレス達は移転直後に『ゴブリンの行軍』の
手荒い歓迎を受けた。
そのために、どうしても楽観的な気持ちにはなれない。
『冒険者ギルド』の両開きの押し戸を開けて、大股で建物の中に入ると受付に向かう。
ライトノベルやゲームなどで定番だが、やはり美人な受付嬢が配属されている。
「おはようございます、ゴンザレス様、お二人はすでに『ギルドマスター』の執務室ですわ」
顔見知りの受付嬢は、腰まで伸びる黄褐色の長い髪、黒に近い濃紺の瞳が印象的だ。
「おはよう。ゴブリン狩りとなると途端に真面目になるんだよなぁ・・あの2人は」
ゴンザレスは、苦笑ともいえる表情を浮かべながら告げた。
「ご案内します、さあ、どうぞ」
受付嬢は立ち上がった。
ライトノベルやゲームなどでこれも定番な絡まれる様な、または、妬みや殺意といった
視線はまったくなく、顔見知りの冒険者からの朝の挨拶といった会話を二言、三言交わす。
中には、やはり下品な事でも言おうとする顔見知りの冒険者もいた。
「良い事を言ってやろう。俺達の世界だと
そう言う事を言うと、顎砕かれるからな」
ゴンザレスはニコニコした表情を浮かべながら告げた。
「何それ・・」
下品な事を言おうとした顔見知りで事情を知っている男性冒険者が貌を引きつらせた。
「オルテガとゴンザレスは、あれでも何回も砕かれている」
ゴンザレスは、そう言い終えると同時に受付嬢の後をついていく。




