二十四話
『漆黒の銃士隊』の火力と戦闘力で、100階層からなる『モンギッド』の迷宮を
ありえないスピードで走破した。
そのありえないスピードで走破できた理由の一つは、迷宮探索をしている一般冒険者が行っている事をしなかったためもある。
迷宮内の魔物は、倒してしばらくすると死骸が消え、『魔石』という素材に変わる。
冒険者は、主に迷宮で手に入れた『魔石』を採取し、『冒険者ギルド』で買い取ってもらい金銭を
受け取っていた。
運がよければ定番のRPGゲームやライトノベルの様に、希少な物品が入っている宝箱が出現する
事もある。
『漆黒の銃士隊』には、ゴンザレスの奇行
のおかげで、金銭はまったく必要がないため『魔石』の採取は行っておらず、迷宮内に放置した
ままだ。
『迷宮主』が復活するまでは、まだ転がっている事だろう。
そのゴンザレスは、『冒険者ギルド職員詰所』の隅っこで、貌をバケツに向けて胃の腑を突き上げるように、口から黄金に輝く金貨を嘔吐するという奇行を行っていた。
凄惨な形相を浮かべ、口から夥しい量の金貨を吐き出される異様な光景を冒険者ギルド職員が
目の当りにしていた。
予め、『ギルドマスター』からその事を言われていた2人の冒険者ギルド職員だったが、
その光景は冒険者ギルド職員さえ背筋に寒気を覚える光景だった。
用意されていたバケツの半分は、すでに輝く金貨で一杯になっている。
「空のバケツかしてください・・・・」
凄まじい形相を浮かべながら、冒険者ギルド職員に視線を向けて告げる。
1人の冒険者ギルド職員が、すかさず空のバケツを渡した。
それをひったくる様に受け取るとバケツに貌を向けて、ぐえっと喉を鳴らす。
黄金に輝く金貨を吐瀉する。
バケツにみるみる金貨が溜まっていくが、金貨に混じって宝石らしきものや
白金貨らしき ものも混じっている。
『・・・・』
2人の冒険者ギルド職員は、貌を引きつらせながらこの奇行が終わるのを待った。
――――心地よく吹くそよ風に乗る様に、一つの噂が駆け抜けていった。
迷宮都市 『モンギッド』から、さらに西に向かう街道の途中に、小さな酒場がある。
そこでは西部を主戦場として荒稼ぎする冒険者達が、情報交換場所として常に屯している。
20人も入れば一杯になってしまう店内は、夜も昼も関係なく薄暗い。
「・・・嘘じゃねえよ。主にゴブリン狩りをしている噂の集団が、わずか
2日で迷宮を攻略したのは間違いねぇんだ・・・」
ずんぐりした男は、最近一つの噂話を語ろうとするのにも、度胸がいるとばかりに唾を呑みこんだ。
「・・・東部でゴブリン狩りをやっている噂の集団が、なんで西部なんかに?
その前に、2日で攻略って・・・ありえないだろ」
たくましい体つきの男が怪訝な表情を浮かべながら応える。
「普通ならありえないさ・・・。だかなぁ、お前も直接あの集団をみればわかる。
あれはヤバい 冒険者を10年やっている
俺が震えたんだ・・・」
少し噂の流通が良い酒場や荒稼ぎする冒険者達が、情報交換場所としている酒場で、
『漆黒の銃士隊』に関しての話題がのぼりはじめた。




