十六話
――――ナナシが岩場に戻ってきた頃には、3個大隊規模の『ゴブリン』は、無残な死体となり果てていた。
「・・・お前は、本当に『異世界』に来ると、ジョン・ランボー化するな」
鼻歌を歌いながら、戻ってきたナナシに向かって、ゴンザレスが告げた。
「だったら、早く本物を呼び出してくれたまえよ、ゴンザレス君。
―――――派手に『ゴブリン』の襲撃を受けたみたいだな」
周囲を見渡しながら、ナナシが応えた。
「3個大隊規模だ。『黒いゴブリン』と『蒼いゴブリン』がいたら、
こんなもんじゃ収まらない」
ゴンザレスは、若干具合の悪そうな表情を浮かべながら告げた。
「まあな。それと『ゴブリン』の耳はぎ取ってきたぞ。俺達には報酬は必要ないだろ」
ナナシは腰から吊っていた皮袋をポンポンっと叩きながら尋ねた。
「その発言は、事情把握している冒険者以外には言うなよ。
ただでさえ、俺達自身がややこしい存在なんだからな」
ゴンザレスはそう応えながら堰をして、口から金貨を吐く。
「へいへい」
ナナシは短く応えながら、ポケットに手を入れて小さな何かを取り出した。
ゴンザレスは数回咳をしながら、ナナシが持っている物を見て貌を顰め―――――貌を引きつらせる。
ゴンザレスは、ナナシの表情を見てニヤリと笑みを浮かべる。
「おい、こら・・・お前は何を持ってきた!?」
ゴンザレスは、若干の怒気を孕ませた声で尋ねた。
「ゴブリン相手に情けは無用だぜ? 」
ナナシはぼそりと言いながら、小さな何かを押した。
―――――そのとたんに、三十分ほど進んだ先のゴブリンの巣穴がある方向から、凄まじい
閃光と耳を聾する轟音が聞こえてきた。
巨大な太い火柱が空に向けて吹き上がり、『ゴブリンの巣』は吹き飛ばされた。
「ちょ・・・おま・・・」
ゴンザレスは、何か言おうとしたが言葉が出なかった。
「 『ゴブリンの巣』に爆薬仕掛けるのは、俺達の世界にある公共施設に仕掛けるよりも、気の毒なくらい簡単だ。また、あれくらいの爆薬類ならこの世界でも使用はできる ―――――使えるものは何でも持ち込まないとな」
ナナシはそう告げながら、小さな何かをポケットに仕舞った。
「・・・・・持ち込む云々の前に、お前はプラスチック爆弾を何処で入手したんだ !?」
ゴンザレスは咳き込み、金貨を吐きながら怒鳴る様に尋ねた。
「1番、拾った。 2番、企業機密 3番、武器庫から拝借した。4番、自衛隊基地に忍び込み、大量の重火器類と共に盗んだ。5番、在日米軍基地に忍び込んで大量の重火器類と共に盗んだ。
さぁ、どれだ」
ナナシが応えた。
「3から5は、さすがに洒落になってないぞ・・・・」
ゴンザレスは、うめくように告げた。




