十話
群れる『ゴブリン』の咆哮は、重かった。
『ゴブリン』とは思えない、まるで獅子か何かか呻いている様な声だ。
地を駆け、空気を震わせて短い咆哮を放ち続ける。
―――空薬莢が空中に舞い上がるのと、『ゴブリン』が胸が焼け焦げに飾られた小さな穴があくのと
同時だった。
一匹の『ゴブリン』が万歳をするような格好で後ろに吹っ飛んだ。
『ロバート・デニーロ隊』が、上体を低くして雑木林の中に潜んでいる『ゴブリン』の群れに向かって
走る。
至近距離から、堰を切った様に続けざまにウィンチェスターM1866の引き金を絞る。
地表が地揺れの様に動いていた。
それは何処までもそうだった。
ナナシが率いる『漆黒の銃士隊』の前には、レンガ色の絨毯が広がっていた。
『この異世界』の『ゴブリン』は、ライトノベルやアニメなどで
登場する『ゴブリン』とさほど変わら|
な《・》い
仲間意識や連帯感が高いぐらいだ
上位種に『黒いゴブリン』と『蒼いゴブリン』というのがいるぐらいでさほど変わらない。
『ゴブリン』の群れは、悪鬼羅刹の如く暴れ狂う『漆黒の銃士隊』に恐怖を感じたのか、
ザーと波のように奥へと退いていく。
何匹かの『ゴブリン』が奇声を発しながら、のたうち廻っていた。
右腕を撃ち抜かれた『ゴブリン』にナナシが近づいていく。
ナナシの右手には、軍事行動中などにおいて遭難などで他の装備を失った場合に活用し
生存を図る堅牢な大型のナイフが握られている。
『あちらの世界』で流通している大型ナイフと
変わらない
様には見えるが、ナナシが『召喚』した大型ナイフだ。
ナナシは間髪入れずに、『ゴブリン』の左腕を大型ナイフで削り、左右のアキレス健を切った。
『ゴブリン』は気絶し痙攣する。
ナナシに『ゴブリン』を楽にしてやる毛頭はないため、懐から『あちらの世界』から持ってきているライターを取り出し、伸ばした炎を『ゴブリン』の
鼻に近づける。
肉が焦げる火葬場の臭いが漂った。
絶叫をあげて『ゴブリン』が意識を取り戻した。
不自由になった左右の手で鼻を抑えて『ゴブリン』が芋虫の様に転げまわる
「さて、次はどうやって苦痛を味わせてやろうか?」
ナナシは感情のない声で呟いた。
『ゴブリン』は、平クモの様に平伏し、ゴブリン語で喚く。
どうやら命乞いをしているようだった。
「死にたくなかったら、棲家の場所を吐け」
ナナシは感情のない声で告げた。
様子からして、ナナシはゴブリン語を理解しているようだった。
ナナシの言っている言葉が理解できたのか、
『ゴブリン』は驚愕した表情を浮かべる。
「俺は、お前らの言葉がわかるんだ騙そうとするんじゃないぜ? 殺されたくなかったらさっさと吐け」
ナナシが淡々とした口調で尋ね、近くにいた『ブルース・ウイルス』に視線を向ける。
それと同時に、『ブルース・ウイルス』がホルスターからコルトM1991A1を取り出し、撃鉄を起こして
『ゴブリン』の横に威嚇射撃をした。
『ゴブリン』は、ゴブリン語で喚く。
「―――――なるほど。この先か。何匹いる? 『黒いゴブリン』や『蒼いゴブリン』はいるのか?」
ナナシが淡々とした口調で尋ねる。
『ゴブリン』は、ゴブリン語で喚く。
「・・・いてようがいないだろうが関係ない。『ゴブリン』に情けは無用だ」
ナナシは凄まじい笑いを閃かせた。
『ゴブリン』の顎を蹴りあげ、仰向けに転がす。
大型ナイフを『ゴブリン』の喉元に当てて、ゆっくりと切り裂く。
ナナシは、 携帯型無線機を使う。
「 ナナシより『ゴンザレス』へ ゴブリン一匹を尋問して巣の場所を吐かせた。
これより巣に向かって駆除を開始する。オーバー」
ナナシが、 携帯型無線機で連絡した。




