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第二十八話 おやすみヴァルキュリア

二日ほど投稿が遅れてしまいました!

待たせてしまって申し訳ありません

(⊙ө⊙)ピギェェ


 「もう大丈夫ッ! 評価した! キミは十分歯ごたえあった。ナイス、グッジョブ。イイネッ」

 

 五賜卿(ごしきょう)の一人、『屍の卿』グレイプ・アルデンテは立ち上がる力すら出ない元女神リズニアにサムズアップする。

 

 リズニアの最後まで諦めずに健闘にした姿を讃え、自分なりの評価を下したのだ。

 

 「アハハ……嬉しいな。素直に嬉しなァ! 今までの受肉する屍(リコールアンデッド)達は先代から受け継がれて来たモノだから、ボクにとってはキミが最初の回収物(リコール)になる。今日は記念日になりそうだよォ。あっ、立てないならムリしなくてイイよ。ずっと待ってた、キミだけを待ってた」

 

 ニコッと無邪気な笑顔を晒すアルデンテは突然、リズニアの周りをスキップし始めた。

 その口からはとめどない想いが溢れ出す。

 

 「ヴァルキュリア〜♫ ヴァルキュリア〜♫

 ボクの〜ワタシの〜ヴァルキュリア〜♫」

 

 スキップをしながら陽気に歌い出したかと思えば、両足でピタッと立ち止まり耳に手を当てた。

 

 「おやァ? 砂嵐以外の音がいつの間にやら消えてるネ。どうやらキミの先輩アンデッド達が召喚石をモノノ見事に壊してくれたみたいだァ! 帰ったら二人を労ってあげなきゃネ。ワシュウには甘いもの……ソギマチには新しい服でも買ってあげて、その後は改めて二人にキミを紹介して……あっ、そうだ! 名前決めてなかったネ。ヴァルキュリアだからァ……リアってのはどう?」

 

 アルデンテは自分の気持ちを抑えられなかったのかリズニアに近付き顔を覗きこむ。そこにリズニアの剣が一線を引く。

 

 「おっと、アブナイアブナイ。つい先走っちゃった。もう少し先の話だったネ」

 

 剣が頬を掠めたが、流れる血にも気に止めず少年は愉しそうに照れつつ笑う。

 

 「キミの運命もあと五分かそこら。最早、仲間が助けに来る可能性は絶望的と言ってもイイ。どうだろう? 無駄な希望を抱くより心からボクに尽くしてみる気はなィ? 完全週休二日制で三食プラス宿付き!先輩達も優しいし、環境も……多分イイ。それに──」

 

 間があった。

 それを口に出すか否かを悩む間が。

 

 「──人外を差別する者はいないよ」

 

 その言葉を口にする瞬間だけ、少年は涼しい目を向けた。細めた目に力が入り揺れている。

 

 そのまま自らの頬を一撫(ひとな)でする。

 無邪気な少年はそこで異変に気付く。

 

 遅い。キズの治りが遅いのだ。

 

 刃が浅く掠めた程度、普段なら気にする間もなく回復し塞がっている。しかしそれが今は出血し塞がらない。

 原因が分からずアルデンテはひどく冷静になった。──否、動揺する暇がなかった。


 リズニアの目を見る余裕もない。

 

 「キミに敬意を払うよ戦乙女(ヴァルキュリア)。この治りの遅い傷は一体どうやって付けたんだィ……?」

 

 少年からは悦と慢心が消えた。

 それを感じ取ったリズニアが、片膝をついたままだが気合いを入れ直す。

 

 彼女にも目を見る余裕が無い。

 

 それは態度からも明らかで、アルデンテはこの結果が彼女の(もたら)したモノであって、意図したものではないと考えた。

 

 ──彼女(リア)自身が発動した無意識下での能力……? もしくは殺され過ぎたことで生じたボク自身の不具合か何か……。

 

 本気で考え、状況を整理する。

 

 前者であれば彼女の将来性を期待できる。

 後者であれば自分自身の今後の課題となる。

 

 迷う。指を噛む。

 今ある情報ではなかなか答えは出ない。


 だから今は──、

 

 「毒に冒され苦しみながら死ぬ前に、その首をはねてあげよゥ」


 ──早期決着でいく。


 慈悲にも似た声を掛けるアルデンテの目には、愉悦が篭っていた。

 

 既に呼吸音はザラつき、冷や汗も出なくなったリズニアにおもむろに近づく。

 

 彼女は剣を支えに何度も立ち上がろうと試みるが、ついにそれは叶わなかった。

 

 

 「おやすみヴァルキュリア……。ボクはキミの信じる、ボクとキミの可能性を信じるヨ」

 

 

 黒剣を振りかぶる、その時だった──。

 

 

 幾千もの光の筋が一斉に空間を駆け巡り、刹那にして砂嵐が掻き消えた。


 「……。」

 「……。」


 アルデンテ、リズニア、共に言葉を失う。

 

 

 一体、なにが起こったのか。

 

 

 思考が追いつく間も無く、身体が浮きかける強烈な突風が吹き荒れる。大荒野を大いなる風が支配した。

 

 

 咄嗟に顔をヒジで守ったアルデンテ。

 そして、腕と腕の隙間から見える“ソレ”を見逃さなかった。

 

 

 

 ありえない。ありえてはならない。

 想像なんてない。つく訳がない。

 非現実的で。絶対に、ありえない。

 

 

 

 いつからそこに〝ソレ〟はいたのか。

 

 

 

 なぜ。 どうして。

 いや、そもそもあれは──。

 

 

 

 「なんなんだ、なんなんだ……あれハ」

 

 

 形ある災害か。生命体。

 もしくはそのどちらでもある存在の降臨。神話領域の怪物の姿がそこにはあった。

 

 

 吹き荒れた突風により見通しのよくなった大荒野にて、男の脳裏には更なる疑問が駆け巡った。

 

 

 何故だ。どうして。

 

 

 召喚兵はおろか、アンデッドすら何処にもいない。

 あるのは、砕けたホネの残骸のみ。

 

 

 

 どうして砂嵐が消え失せた。

 どこから怪物は現れた。

 どうして周りにアンデッドがいない。

 

 

 

 その全ての疑問をかなぐり捨てて、正義の音が風を切る。

 

 

 遅すぎた気付き。──否、様々な疑問がアルデンテの反応を遅らせた結果。終幕する。

 

 

 

 最後の疑問が少年を襲った。

 

 

 

 どうして、聖剣が(・・・)飛んで(・・・)くるノ(・・・)

 

 

 

 全ての答えは砂嵐が来る前にまで遡る─────。

 

 


━━━━━━━━━━━━

 

 ━━ 直下砂嵐 十分前 ━━

 

 

 

 五賜卿対策の為に街の重役達が招集され〈お食事レクム〉では緊急会議が開かれた。聖剣作戦の実行に話はひとまず落ち着いたが、突如として現れた超大型砂嵐への対応が急がれていた会議場では、またもや、別の混乱が生まれていた。

 

 「なんだい……今の音は」

 「脳内に直接響いてきた、感じですね……うーむ」

 「鐘の音ですかね?」

 

 "女主人" デネントに続き "保安兵団長” ガードナー、”きのこ商会会長” タッチポットが音について言及する。

 その他にも同意見を示す者が何人もいた。皆口を揃えて言うのは『鐘の音が頭に直接聴こえてきた』という点である。

 

 「クローフ、アナタ聴こえた?」

 「いえ。先生こそどうなんですか」

 「さっぱりね」

 

 その音は後からやって来た森の魔女とその助手クローフ・ドゥスには聴こえなかった。

 

 「あのー、」

 

 中島が手を挙げて何かを発言しようとする。この暗がりでは手を挙げても周りには良く見えない。

 

 「なんですかナカジマくん」

 「この音は多分〘選好の鐘〙の音ではないでしょうか……? 喜久嶺さんが我々に状況を伝えようと、必死に鳴らしてくれたんだと私は思いました」

 「なるほど。だから鐘の音が聴こえた人とそうでない人がいるのですね」

 

 ユール町長がそう納得すると、この街の(とりで)ともいえるS級冒険者ダットリーが口を開く。

 

 「十中八九、この砂嵐じゃ上手くいかねぇって連絡だろうな」

 「そうですか……。やはり砂嵐が過ぎるのを待つか、新たな作戦を考える必要がありますね。キクミネくん達には申し訳ないですが、一度戻ってきてもらいましょうか」

 「その必要はないわ」


 誰もが町長の意見に同意する中、森の魔女だけが反論した。

 

 「そんなことしなくても、もっといい合図を用意すればいいだけの話だもの」

 

 “パンがなければケーキを食べればいいじゃない”にも似た迷言じみた言葉に店内が静まり返る。

 

 薬品商工会のユール支部長アモンド・オシモンド・スキーは呆れと嘲笑を交えてこんなことを言う。

 

 「フッ……魔女殿、聞いていなかったのか? この大砂嵐ではどんな合図も無駄だと今しがた結論が出たばかりではないか。ましてや、もっといい合図があれば最初からそちらを採用しているというものだ」

 

 他の合図が用意出来れば最初からそうしている──。それは至極当然の反論。今更議論する価値もない。

 

 「まったく、部外者はこれだからかなわんよ……」

 「ワタシが部外者かどうかなんてほんの些細な話よ」

 

 森の魔女はどこからともなく取り出したコインを指に乗せ遊び始めた。絶妙な指技でコインは指と指との間を行ったり来たりする。そして話を続ける。

 

 「合図の代わりになって、なおかつ、砂嵐すらも吹き飛ばす方法があれば問題ないのよね?」

 

 親指でコインを思い切り弾き、空中で受け止める。

 

 オシモンドがテーブルに手をつき勢い良く立ち上がった。

 

 「そ、そんな方法あるわけ……!」

 「あるわ。あるから言ってるの」

 「な、なにぃ……?」

 

 魔女の強気な発言に視線が集まる。

 

 そして語り出した。

 ここにいる者では思い付かなかった強引で大胆な合図を──。

 

 

~~~~~~~~~~~~

 

 

 森の魔女が提案した方法は砂嵐が過ぎ去るまでの条件付きで採用された。

 作戦決行の為に必要なメンバーは既に準備を終えている。

 

 「ナカジマシゲシゲ。アナタも居たのね」

 「あ、はい。お久しぶりです。魔女さんもお変わりなく」


 中島はステータスカードを作ってもらったお礼も述べる。


 「ナカジマ、クローフです。案内よろしくお願いします」

 「あ、うん。じゃあ行きましょうか」

 

 久々の再開も早々に済ませ、案内役の中島茂茂が先生とその助手を連れて歩き出した。

 

 目指す場所は一体どこなのか。

 店の裏口からこっそり抜け出したレクムはそれが気になり、隠れながら中島たちのあとを追った。

 

 「ダメだよ兄さん、どこ行くの……!」

 「どこってお前、追いかけんだよ。アイツらが何しようとしてるのかお前も気になんだろ?」

 「それは……まあ、気になるけどさ」

 

 怪しい行動をとる兄を(いさ)めるつもりが、エナムの心は波打ち際のように揺らいでいた。

 

 「お前も来い。追いかけるぞエナム」

 「……あ、待ってよ兄さーん」

 

 レクムに流されるままにエナムは後をついて行った。

 

 


─────────────


 ~モテゾウ&ソギマチサイド~


 

 

 「待ってモテゾウっ! その顔のヒビ……いつの間にやられたんだ……?」

 

 モテゾウの目下から耳の下辺りにかけて入る亀裂に、縄に縛られた状態の〝聡明〟なソギマチは気付いた。ヒビを見た彼女は言い知れぬ不安にかられた。それは彼女の野性的な勘なのか、あるいは男を心配しての事なのか──。どちらにせよ、その不安感はワシュウ・モテゾウに伝わった。


 「なんだ……これは」


 触れると更に悪化した。頬の亀裂に心当たりはない。

 肉体を持つアンデッドである以上、魔力不足によって肉体に亀裂が入る事があるが、魔力が枯渇しているという線も今はありえない。

 

 残るはゼロの可能性──否、絶対にありえないと否定したかった可能性が男の頭をよぎる。

 

 「まさか……ッ!」

 

 振り返った男に襲い掛かる計り知れぬプレッシャー。

 

 存在を否定し、絶対を否定し、不能を否定し、行動を否定し、感情を否定し、理念を否定し、知識を否定し、意味を否定し、否定を否定する恐怖が肯定され、重くのしかかる。

 

 身体が引き込まれそうになる。

 

 手足の一部が欠けた。また欠けた。

 

 塵とも区別つかない、小さな綻び。

 ヒビ割れが増えていく。

 

 「おい〝真心〟の。身体がヒビだらけだぞ!」

 「そういう〝知識〟だって亀裂が入ってますよ」

 「〝偽善者〟もボロボロだぁ」

 「みんなだ。みんなヒビだらけだ!」

 

 四人のソギマチはそれぞれに反応し、どんどん欠けていく自分達の身体に焦燥していた。

 

 沢山の欠片が、集まる塵が、眼下の少女──死んだはずの蝦藤かなみに吸い込まれていく。



 

 ピクっ──。



 

 かなみの指が動いた。

 

 

 

 「ソギマチよ。今すぐそこを離れろ……」

 「でも縄が……」

 「後にしろ。でないと……肉体を奪われるぞ」

 「えっ、冗談だよねぇ……?」

 

 縄に縛られたソギマチが心配そうに言うがモテゾウは耳を貸せる状況ではない。

 

 「早くしろぉ! 身体を持っていかれても良いのか!?」

 

 三人のソギマチは顔を見合わせた後、頷き合った。そして、縛られたソギマチを引きずりながら後退していく。置いていかれずに済んだ〝聡明〟は目を潤ませる。

 

 「まったくぅ、ソギマチってやつは……」

 

 今にも泣きだしそうなソギマチを無視し〝知識〟のソギマチが何かに気付く。

 

 「うう、うそでしょあれ……!?」

 「知っているのか知識(ソギマチ)!」

 「うん。あれは多分、魔素を吸収してキズを癒す能力だよ……!」

 

 ソギマチの言っていた通り、かなみにはそのチートスキルが存在する。

 

 魔素変換式自動回復。

 通称┠ デビルドレイン ┨──。

 

 どんな傷であろうと致命傷までなら一定時間で回復する能力。周囲に魔素を含む組織があればそれを勝手に吸収し、強制的に患部を癒してしまうチートスキル。制御の効かない能力である。

 

 「流石〝知識〟のソギマチですね。ソギマチも聞いた事があります。確か、世界に魔素がある限り、どんなキズもたちまち治してしまう反則スレスレのレアスキルですよ……」

 「そりゃ同じソギマチなんだから聞いた事あるでしょうよ」

 

 戦々恐々とした顔を浮かべる〝真心〟に〝技術〟が冷静にツッコむ。

 

 「空気や大地に留まらず、我々の魔素まで取り込もうとするとは、なんと強欲なことか……。恐れ入った。しかしそれだけでは我が両断を食らい生きている理由に説明がつかぬ」

 「やれてなかったんじゃないですか?」

 「胴を分かちそれは有り得ぬ」

 「もしかしたらぁ、ソギマチも知らない能力が他にもあるのかも……」

 

 知らない能力という〝技術〟の予想はあっていた。

 それを裏付けるように誰かが言った。

 

 「それは┠ 死因制御 ┨です」

 

 突然後ろから聞こえた声にモテゾウ達は咄嗟に振り返る。

 

 「ななな、いつの間に……!」

 

 気配察知に長けている〝聡明〟はまったく気付けなかったことに驚きそう叫んだ。

 

 そこにはピタ、トメ、ユイリーそして、大勢の冒険者や保安兵たちが立っていた。三人の少女は捜索班に助けられた後、彼らの散々の忠告を無視してここに来た。

 

 少女一人に任せる訳には行かないから。

 負けたままではいられないから。

 このまま逃げるなんて出来ないから。

 

 ピタ、トメ、ユイリーそれぞれが想い悩み、後悔をしない選択をする為に、敵の元へ再び戻ってきたのだ。

 

 トレードマークのとんがり帽子が良く似合うユイリーはメガネを持ち上げて言葉を紡ぐ。

 

 「初めて知ったときは私も驚きましたが、そのスキルのお陰でかなみちゃんは、どんな死を体験してもギリギリで踏みとどまってくれるんです……。残念ですがあなた達ではかなみちゃんに勝てませんっ!」

 

 ┠ デビルドレイン ┨と同時に発動していた二つ目のチートスキル。

 それが┠ 死因制御 ┨──。

 病気や寿命以外で受けた“死”という概念。いわゆる死亡判定は全て致命傷判定となる能力。魔力消費を必要としないスキルの為、際限はないが前後間の記憶が曖昧に成りやすい。

 

 「はっはっはっはっはっ!!」

 

 モテゾウは歌舞伎座の演目のように大口を開けて高らかに笑いだした。

 

 「モテゾウ?」

 

 普段は見ない男の姿に〝聡明〟は心配ように声を掛ける。

 

 「なに、驚いただけだ。まさか年端もいかぬ少女の正体が、我らが主と同じ化生(けしょう)の類であったとは思わなんだ。……撤退だソギマチ」

 「「「「え、逃げるの!?」」」」

 「こと不死に関しては我々の右に出る者はいないと思っていたが、どうやらそうではなかったらしい。そこな少女こそ〝真の不死者〟と呼ぶに相応しい存在であろう」

 

 そう言うと男はカタナを鞘に納めた。いつの間に抜いていたかは誰にも分からない。

 

 話している間にもかなみの上半身と下半身は魔素を吸収し結合し、回復していく。

 

 体外に飛び散った臓物は新たに生成され、かなみが倒れていた周辺の大地は多くの魔素を奪われた為に巨大なクレーターと化していた。切られてしまった上着までは復元出来ない為、少女のトップより下は丸見えの状態だ。

 その様子を見たソギマチ達もようやく悟る。

 

 「戦うだけ無駄ってことか……」

 「石はどうします?」

 「運良く見つけたら壊す! そのぐらいで行こう! 解散だぁ!」

 「聡明さんを置いてかないでくれよぉ?」

 

 縄に縛られたソギマチは上手いこと身体をくねらせて仲間のソギマチに会いにいく。

 

 「ワタクシ達がみすみす見逃すとお思いで?」

 

 三人のソギマチの前に三人の少女が立ちはだかる。

 モテゾウには捜索班が立ちはだかり武器を構えている。

 

 「邪魔するならソギマチは容赦しないよ?」

 「容赦しないのはこっちのセリフだよ」

 

 その声は目を覚ましたかなみによるものだった。

 

 「なにがあったかは……あんまり思い出せないけど……ソギマチちゃんは絶っ対に一人貰って帰るからねぇーッ?」

 

 鬼気迫るかなみの表情にソギマチ達は一気に青ざめる。

 

 「ソギマチちゃん……覚悟してね!」

 

 ソギマチ達はガクガク震えだし抱き合った。

 

 直下砂嵐まで残り八分────。

 

 

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