表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
29/216

第二十七話 ──────⑧

超、重要回です。


 

 




 

 


     《不条理叛逆》

 

 

 

 

 


  それは『 絶対の命令 』

 

 

 


  それは『 押し付けられた責任 』

 

 

 


  それは『 見えない恐怖 』

 

 

 


  それは『 生まれ持った星 』

 

 

 


  それは『 望まない未来 』

 

 

 


  それは『 非情なる選択 』

 

 

 


  それは『 圧倒的な実力差 』

 

 

 


  そういうものに、

  抗う精神なのかも知れない───。

 

 


━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━

 



 森を抜けた俺、中島さん、セバスさんの二人と一匹は、馬車の元へとやって来た。

 

 「あれ、薫さんだけですか?」

 

 馬車には疲れて眠る商人さんの姿もあったが、リズやかなみちゃんはどこにも見当たらなかった。

 

 「二人は今、村の東側にいます。案内するのでついてきてください」

 

 中島さんが見張りをしますと申し出てくれたが、ステータスカードの報告も兼ねたいのでセバスさんに残ってもらって、中島さんと俺は薫さんについて行くことになった。

 

 普通に高いステータス。凄そうなスキルの数々。

 俺なんかよりもかなり優秀であることが分かった中島さんになら護衛を任せてもなんの問題もなかっただろう。


 なんだか裏切られたような気分になる……。別に中島さんを下に見ていた訳じゃないが、周りには強い女性ばかりだったので、無意識に自分より弱い転移者を求めていたのかもしれない。


 償いたいとか言っておきながら、弱い奴を見つけて安心したかったなんて……。すぐ人と比べて、自分の行いを正当化して。努力した気になって、環境に甘えて。何も出来てないのに、何かを成せる人間のように振舞ってきた。実に恥ずかしい。

 

 ステータスが可視化されたことで俺という人間の器がしれた。数値では判別できない心の貧しさが浮き彫りになった。リズの言っていた通り、俺の下馬評は『貧弱な奴』で正しかったのだ。まさか、こんなタイミングで気付かされるとは……。


 ──やばいな、俺。


 このままじゃ周りのチートな人達に助けてもらわなきゃ何もできない奴になる。弱いことを自覚して、何も成せていないことを自覚して、努力する。でなきゃ強くなれない。この劣等感を残したままに死んでいくのはゴメンだ。

 

 

 ──強くだ。強くなんねぇとだ。



 転移者で俺より弱いヤツは居ないと思う事にする。そうして、その人たちを超えられるように "心·技·体" の基礎を磨くことが、今後の課題になりそうだ。

 

 

~~~~~~~~~~~



 「着きました。あちらです」

 

 薫さんに連れてこられた場所では、かなみちゃんとリズが一軒のお宅を覗き込んでいた。

 

 「ふたりは何やっているんですか?」

 「監視をしているそうです」

 「監視?」

 

 家の窓が開いていて中の様子が伺える。さっきの少年とドラゴン、それと少年の両親と思わしき人物が仲良く食事をしている風景がみえた。

 

 「お疲れ二人とも。ステータスカード作ってもらえたんだね」

 

 家から少し離れた木の影に隠れているかなみちゃんが、一家団欒の陰に隠れて声を掛けてきた。

 隣のリズの眼は結構真剣だ。

 

 「かなみちゃん、この状況はなにかな?」

 「リズがね、あの竜は人里から追い出さないといけないって」

 

 注意深く観察するリズの代わりに、かなみちゃんが一言答えてくれた。

 

 イマイチ話が見えてこないので、先にかなみちゃんに俺達二人のステータスカードを渡した。

 中島さんのスキルを見たかなみちゃんは┠ 天佑 ┨に興味を示した。かなみちゃんも持っている可能性があるからだ。しかし発動条件が曖昧なスキルは使えるかどうか確かめるのが難しいらしく、「あまり期待しないでね」と言われた。俺のを見た時は「まあ、伸びしろがあるよね」とお世辞を言われ泣きそうになった。

 

 薫さんが俺達のステータスカードを吟味している間にリズに聞いてみる。

 

 「追い出すって、あの竜、そんな危険なのか?」

 「はい。普通のドラゴンでも滅多にお目にかかることはないんですが、あの黒く光沢のあるドラゴンは "粛征竜ハジュン" の血統で間違いないです」

 「ハジュン?」

 

 なんだか強そうな竜の名前がいきなり飛び出したぞ。

 さすが異世界! と茶化せないくらいに、リズの表情が一層険しくなる。

 

 「ドラゴンという種族は、自然に溢れる魔素や魔力を体内に吸収して生きています。蓄積された魔素や魔力はドラゴンの直接の戦闘力にも大きく関わってくるので、長生きであればあるほどドラゴンは強くなります。普通のドラゴンの寿命が三百年と言われている中で、ハジュンの血統は平気で千年を超えると言われています」

 「千年!?」

 「静かに! 声が大きい……!」

 

 リズの雰囲気は女神モードであるときと近い感じもするが、何か熱い感情の様なものを秘めている気がした。

 

 「そんな危険そうには見えないけどなぁ……」

 「そんな呑気な話じゃないんですよ……! いいですか? 三百年級のドラゴンはソロで倒せば一気にS級昇格が出来ると言われています。ハジュンは千五百年級ドラゴン──。その戦力は単純に五倍。その末裔をあのままにしておくのはあまりにも危険です……! 手を付けられなくなる前に、どこか遠くへ追い返さないと」

 

 リズの眼には使命感みたいなものが宿っている。気が気でないようだ。今度はかなみちゃんが説明する。

 

 「ドラゴンは自分の死期が分かるみたいで、死ぬ前に山に籠るみたい。でも『粛征竜ハジュンは己の死を悟り、大地に試練を与えた』って。どういうこと?」

 

 俺への説明をしていたはずなのに、逆にリズに質問を返した。きっと┠ 叡智 ┨で読んだ文献か何かを、そのまま読んでるだけで意味までは理解していないのだろう。

 

 「ハジュンは寿命を迎えるまでの三年間、破壊の限りを尽くしたそうです。理由は戦争を終わらせる為だとか実力を試してみたかっただけだとか諸説ありますが、大陸全土のうち、およそ六%の地形を変えてしまったのは恐ろしくも事実です」

 

 その眼に籠る感情。それはあまり良くない感情だ。リズは何かを起こそうとしている。

 

 「危険なのは千年、二千年後の話だろ? 今スグ脅威になる訳じゃないなら触れずにいる方が正解だ。……変なことは考えるなよ?」

 

 何でもいいからリズを抑え込もうとした結果、それは火に油を注ぐことになってしまった。

 

 「だからこそですっ! だからこそ手遅れになってしまう前に、あの少年から引き剥がす必要があるんです!」

 「じゃあまずは、あの子も交えて話し合うべきだ」


 俺がそう提案すると、かなみちゃんは首を横に振った。


 「ダメだった。ドラゴンは危険だって話してみたけど、全然聞く耳持ってくれなくて……それからリズはずっとこんな感じ」

 

 かなみちゃんもリズの様子がおかしいことに手を焼いているらしい。しつこい所があるから、かなみちゃんも大変だったのだろう。なんだかため息をつく回数が多い。

 

 「明日にはこの村を出るんだし、今更出来ることもないだろ。馬車に戻ってこいリズ」

 

 少しキツめに言い放った。そうでも言わないとコイツは──、

 

 「いいや出来ることあります。あのドラゴンに私やカナミンが直接魔力を流し込めば急成長させられる……! 三十年級まで育てれば、少年や少年の大切な人達がケガを負うことは間違いなしです。そうなれば少年も悔い改めてくれるでしょう?」

 「……お前、それ本気で言ってるのか?」

 

 手段を選ばない方法をリズの口から直接聞くのはたぶん初めてだ。行動に移す前に話してくれるくらいには成長してくれている。それでも、納得出来るような方法ではないので、俺はきっと、怖い顔をリズに向けている。

 

 「ええ本気ですよ。でもそれだけじゃまだあの少年が後悔するだけに留まってしまいますのであの少年が後悔し同じ思いをする人間が現れないように行動をしたくなるような、もっと残酷で取り返しのつかない結末を──」


 怪しい目の輝きに少女が暴走する。


 「リズ……聞け」

 「──あの少年を救う側に導くためにはドラゴンを百年、二百年級まで強化して大切な人達を襲わせる必要があると私は思うんですよ。その方が結果的に効率が良かったり被害も決まった分しか出ないと思いますし、なりより──」

 「おい……俺の目をみろ」

 「──手始めに近所の人間を成長したドラゴンに殺させて、次に親戚次に友人と被害を徐々に徐々に近しい存在に出していって少年を追い込んで追い込んで追い込んで追い込んで追い込んで最後に両親を目の前で──」

 「てめェ、自分が何言ってんのか分かってんのか……!?」

 

 リズの胸ぐらを掴みにかかるのはこれで何度目か。


 目の前で大きく踏み外そうとしてくれたから、今回は真正面からぶつかりにいける。──これでいいんだ。女神にだって間違いがある。だから、取り返しがつかなくなる前に、考えを改めさせてやる。

 

 「やるなら徹底的にやっていかないと世界の為には」

 「それが間違ってるっつってんだよッッ!!」


 リズは途中から俺を見ているようで見ていなかった。その眼は自分の考えが正しいと信じて疑わない狂信者……。そんな、狂気じみたモノだった。そんな計画、だれも許すわけが無い。

 


 「──だから、話したくなかったんです……」

 「まってリズ!」

 


 震えるような声でどこかへ走り出したリズを、かなみちゃんは追いかけて行き、ふたりは森の中へと消えた。

 

 「き、喜久嶺さんっ、……リズニアさんは多少、非道なことを言ってしまったとは思いますが、ほらっ……元々女神でもありますし、そのくらい大袈裟にことを構えなきゃいけないって言いたかっただけですよ! おそらくです……」

 

 中島さんは俺を落ち着かせようとしてくれている。きっと、怖い顔をしていたんだろうな……。

 

 「女神だった頃の在り方なんでしょうね──」


 それは離れた所で見守っていた薫さんの声だった。


 「転生の間の女神として、何百年もひとりで行動して考えて来たから。いつしか誰かに頼ることも忘れて、良くも悪くも結論は自己完結。当然、他人に自分を理解してもらおうという感情も希薄になる。だから独りでに突っ走ってしまう──。聞き分けが悪い子ではないんです。ただ、意見をぶつけられるとどうしていいか分からないんです。あの子にはまだ、冒険はまだ早かったようですね」

 

 人格形成の話──。リズにはリズの、ああいう性格になった事情があると薫さんは伝えてくれた。年齢は確かに俺たちより遥かに上かもしれないが、精神的には見た目より幼い少女の可能性はある。薄々、そんな気はしていたしな。


 「リズニアさんは、それが結果的に正しい方向に向かうなら手段を選ばない、のが正しいと信じて疑わない。だからダメなことはダメと誰かが叱ってあげなければいけない──。珖代さんがやったとこは正しい “愛の形” だと思いますよ。だから思い悩まないでくださいね」

 

 薫さんは優しい。リズと俺を理解した上で肯定してくれている。何気ない優しさに、もの凄く救われた。

 

 「ったく、せめて過激思想じゃなきゃ良いのに……」

 

 恥ずかしさを誤魔化すようにリズに悪態付きながら、頭をポリポリと掻いた。

 

 「愛するしか、ないですよね」

 

 中島さんも理解を示してくれた。子供持つ親の二人だからそこ、理解してくれたのだと思いたい。

 



─────────────


 ---別視点---

 


 

 その夜。

 膝を抱えるように座るリズニアの元に、心配をこじらせてやって来たかなみの姿があった。

 

 「リズ……あのさ、簡単になんだけどお風呂、造ってみたんだよね。ああ、簡単って言っても囲いも作ってあるから外から見られる心配はないよ?」

 

 リズニアの顔を覗き込むようにかなみは聞いたが、リズニアは気配を察知してか、膝に顔を埋めた。かなみは隣に腰を下ろし、ただ静かに返事を待った。

 風が吹く度に、森のさざめきが二人の時間に流れる。

 

 「どこですか……」

 

 リズニアの返答にかなみは花の咲くような笑顔で答える。

 

 「こっちだよ! 長旅で結構汚れちゃったし、キレイさっぱり落としちゃおうよ!」

 

 おもむろに立ち上がったリズニアは先導するかなみについて行く。

 

 「洗っても落ちない汚れもあるんです……」

 「え? ……」

 

 ものすごく小さな声だったが、かなみには聞き取れなかった訳ではない。

 

 単純にその意味が分からなかったのだ。

 


~~~~~~~~~~~~



 木で出来た高さ四メートル程の囲いの真ん中に、手作り感の少ない大判状の(ひのき)風呂がある。

 

 製作時間およそ二時間。

 かなみがリズニアを励ます為に、わざわざ木材の材質を水のしみにくい檜に変化させてまで作りあげたお風呂だ。

 

 お湯はかなみの魔法によるものだが、風呂製作には他三人も関わっている。

 

 お風呂でも髪を結ばず膝を抱えて浸かるリズニアの前に、一糸まとわぬ姿のかなみがお団子ヘアーでやって来た。

 

 「隣り、いい?」

 

 かなみが左足から湯に浸かると、ゆっくりとお湯が溢れ出した。

 

 「なんか、これまで色んなことがあったよね」

 

 こうして落ち着く状況に至るまでをかなみは振り返る。

 

 「こんなに濃い三週間はかなみ、初めてかも」

 「……私もです」

 

 水晶で世界をただ眺めるだけだったリズニアにとって、振り返るこれまでの日々は本当に刺激的なものだった。

 神様に追放され、珖代たちと共に過ごしていきながら自分にできることを考え行動し、間違えた時は怒られ反省する。世界を救うという目標の為に、誰かと一緒になって頑張っていく意味や楽しさを知れた。


 それは大き過ぎて言葉にするのも勿体ないほどの──宝物だった。

 

 「こうだいは、私のことが嫌いなんでしょうか……」

 「なんでそう思うの?」

 「よく私に意見をぶつけてきて、強く否定するから……。そんなに私がイヤなら嫌いだって言ってくれればいいのに」

 「違うよリズ。珖代はリズの全てを否定してる訳じゃないよ?」

 「え、そうなんですか……?」

 「人間は対立するものだから。珖代はリズを同じ人間だと思ってぶつかってるんだよ」

 「信じられません……。じゃあ、なんで一方的に怒ったりするんですか。私は、私を神様にしてくれた神様に怒られたことないのに……」


 そう言ってリズは、鼻までお湯に浸かり不機嫌そうにブクブク空気を吐いた。


 「かなみもこの前リズに怒ったけど?」

 「それとは全く別です。カナミンは口を利いてくれなくなるから寂しいですけど、こうだいは一時間もしないうちに何事もなかったように接してくるんです。私に興味無いからとしか思いません!」

 「逆だと思うけどなぁ。珖代はリズのこと絶対愛してるよ。大事な仲間として」

 「いやいやっ、そんなこと」

 「ふたりが全力でケンカしたり、楽しそうにバカしてるのを見ると時々羨ましいもん。あの関係には、かなみもお母さんも絶対なれないから──。もっと珖代のこと大事にした方が良いとかなみは思います!」

 「なんで、かなみちゃんが怒り気味なんです?」

 「知らない! ……けど、珖代は何があってもリズの味方だから。そこだけは忘れないであげてね」


 リズニアはその言葉に少し恥ずかしそうに顎を引いて頷いた。


 「リズ。一緒にあのドラゴンをどうやって追い出すか、作戦考えてみない?」

 

 それは突然の提案だった。

 

 「一緒に、ですか?」

 「そっ。二人でさ、いい作戦を考えて珖代をビックリさせようよ!」

 

 一緒に。それは今まで一人で考えるようにしてきたリズニアにとって発想すらなかった嬉しい提案だった。

 

 「イイですね! やりましょー二人でっ!」

 

 自分のやり方を否定した珖代が驚いて、しかも納得してくれるような作戦が立てられるならと、同意した。

 

 「やっぱりリズは笑顔が似合ってるよ」

 「もうっ! それはカナミンの方ですよー!」

 

 リズニアはかなみに抱きついた。

 かなみの背中に顔を乗せ、肘から二の腕、脇を通り、脇腹、お腹辺りを執拗にまさぐる。

 

 「ちょ、ちょっと……リズ……あっ……くすぐったいよー」

 「ハァハァ……スベスベのもちもちぃ……ハァハァ……」

 

 

 ───元気を取り戻したリズニアは鼻息荒い、ただの変態であった。

 



─────────────


 ---珖代視点---

 

 


 早朝。

 

 俺達はかなみちゃんとリズに呼ばれて、茂みに集められた。商人さんも呼ばれて来ている。

 

 「皆さんに集まって頂きましたのは他でもありません! ドラゴンを引き剥がすために私達二人で考えた新しい作戦に協力してもらう為です! です! です!」


 リズのセルフエコーが入る。昨日あんな事があったのにケロッとしている。


 「今日中に帰るのに、今からやって間に合うのか?」

 

 自信満々に言うが、正直時間はない。もうすぐ次の村に行かなくてはならないからだ。

 

 「その為に協力して欲しいんです!」

 

 リズの眼は真剣だった。でもそれは昨日とは違いしっかりと俺を見ていた。

 

 「それで、どんな作戦なんだ?」

 「それは──」

 

 それは俺の予想を遥かに上回る予想外の作戦だった。

 


~~~~~~~~~~~~~


 

 「では、作戦をおさらいします。まず、商人さんから血のりの様なものを購入します」

 「はい、なんでも売りますよ!」

 「次に少年の両親に協力を仰ぎ、血のりを使ってもらい、ドラゴンに傷付けられた感を演出してもらいます。その血を見た少年は、ドラゴンの危険性を思い知って感動的な別れと共に、森にドラゴンを返すって作戦です。名付けて! 『アライグマ作戦』です!」

 「なんか不安要素だらけだが……なんでアライグマなんだ?」

 「それはあの国民的アニメの、アライグマを野に返す有名なシーンからですよ。仮に、あのドラゴンをラスカ○と呼びましょう。──ね? 成功しそうでしょ?」

 「知るかっ! 同意を求めんな!」

 「アライグマって、アニメの影響で飼ってはみたものの、飼いきれない人達がこれまたアニメの影響で野に返した結果、特定外来生物に指定されたあの哀れな生き物ですよね?」

 「薫さん、……薫さんやその辺で」

 

 なんかダメなことになる。これはツッコミも危険なやつだ。取り敢えず落ち着いて頂こう。

 

 「本題はそのあとです。カナミンの魔力でドラゴンを千年級まで急成長させて、戦います」

 「は? 戦う?」

 「そして、瀕死まで追い込んだあとに┠ 天佑 ┨のスキルを持つ中島さんがトドメを刺せば千年級ドラゴンの召喚石が確実に手に入るってなはずです!」

 「な、なるほど。助けてもらった恩……ここで返します……!」

 

 千年級のドラゴンが召喚石を落とせば、千年級のドラゴンが召喚出来るようだが……果たして、そんなに上手く行くのだろうか?

 

 中島さんはやる気十分だが……。

 

 「やるのは勝手ですが、コッチは残りの村回んなきゃいけないですから、護衛を一人、付けさせてもらいますよ。夕方にはこの村に戻って来ますんで、それまでに終らせてくださいね? でないと旦那ら、帰れなくなりますから。時間制限がある事を忘れないでくださいよ!」

 

 商人さんは仕事を優先するが、出来る限りの協力は惜しまないということらしい。そこからはかなみちゃんの具体的な指示が始まった。

 

 「ドラゴンと直接戦うのはリズとかなみ。┠ 威圧 ┨が使える珖代は足止め役。トドメ役に┠ 天佑 ┨を持つ中島さん。その二人を守るための守護役に┠ 自動反撃 ┨(オートカウンター)のお母さん。あと、回復役にセバスが欲しかったけど……商人さんの護衛がいないからセバスはそっちをお願いね」

 「バウ!」

 

 セバスさんも気合いが入ってるようだ。

 

 「成功すれば、おそらく世界最強の召喚石が手に入りますっ! 誰が欠けてもこの作戦は成功しません。……だから皆さん、死力を尽くして頑張りましょう!!!」

 

 最後にリズがみんなの気を引き締めるように檄を飛ばした。

 やる気のある皆に囲まれているとこっちまでみなぎってくる。

 


 ──誰が欠けても、か。

  

 

 こうして、俺達の無謀とも思えるアライ(・・・)作戦が始まった。



リズニアの危うい幼さ。

改稿に改稿を重ね、ようやく表現できたかと。

あの頃の自分に言ってやりたい……。

表現できないモヤモヤが晴れるぞって!

(`▽´)ヒヒヒ


ここからはみんなで協力し全力で戦う総力戦です。

果たして、二人の作戦は上手くいくのでしょうか?

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ