第二十六話 長期クエスト⑦
地図を頼りに歩くこと十分。
「もう、ついたのか……?」
「おかしいですね。地図通りなら、ここで間違いないですが……」
俺達が辿りついたのは、背の高い三つの木の中腹に建てられたログハウス風の高床式ハウスだった。
「行きと帰りで四時間掛かったって言ってたけど、どこにそんなに掛かったんだ……?」
「全く道を知らない状態だと、私達もそれだけ迷っったんではないでしょうか?」
中島さんの言っていることは理解できる。確かに地図無しでは大変な道のりだっただろう。迷いやすい森という事だったから、リズ達は同じ道を行ったり来たりしていたのかも。
「それじゃあ、行きましょうか」
危険な香りはしたが、ここは元より魔女の庵。ならば危険は承知と、俺は意を決して乗り込むことにした。
ロープと滑車らしきものが見えるのでおそらく、リフト的な物があるのだろう。だが、肝心のリフト的な物が下に置いていないようなので、俺達はログハウスの真下から伸びている木の梯子を伝って登った。
登りきった俺達を出迎えるように、そこには大きな扉があった。たくさんの動物が彫刻されており、木彫りの熊みたく丁寧に人の手で立体的に彫られている大きな扉は、不用心にも少しだけ開いていた。
中の様子をキョロキョロと確認してから、おそるおそるお邪魔する。かなり年季の入った扉なのか、ギィィーッと大きな音が鳴った。
「ノックも無しに入って来るなんて、礼儀の知らない坊やね。好きよ。そういうの。被験体にしたいくらい」
目の前に現れた女の子は俺のイメージしていた魔女とはかけ離れていた。
瞳は自然をまとったような翡翠色で、金髪の綺麗な長髪に白いベレー帽の様なものを被っている。なにより若い。見た目は完全に高校生くらいの美少女。この子はただの応接係なのだろう。
覗いたときには誰も居ないように思えたが、眠そうな目のその女の子が俺に話しかけてきた。それも、理解できる言葉で。
「日本語、話せるんですか!」
「ニホンゴ、が、何かは分からないけどスキルがあるから大抵の問題はないわ。ここには坊やほどの無礼者は来ないけど、色々なお国の人が来るもんだから働くには必須スキルだったりするの」
今、俺が覚えようとしている言葉は商会が統一を呼びかけている、"統一語"だ。この世界では最も多く使われている言葉ではあるが、別の言語を扱う種族も少なからずいるとリズから聞いていた。女の子の話だとここにはそういう人達も来るのだろう。
長い髪は時々、彼女の隠れている左目を見せてくれる。こちらも綺麗な翡翠色をしている。
「坊やの持ってる地図は、変わった女性達に渡したものなんだけど、まさか、殺して奪ったのかしら」
抑揚の少ない声でさらっと怖いことを言ってきた。
「い、いいえ違いますよっ! 地図は奪ったんではなく」
「冗談よ、渡してないし。あの子を引き取りにきたのでしょう。ついでにカードも作りにかしら。上手いことやるわね」
必死の弁明は途中で遮られたが、はなっからそんなこと思っていなかったらしい。表情一つ動かさない子なので冗談が分かりにくいことこの上ない。
「上手いこと?」
「ここは簡単に来れない場所なの。時間を掛けてたどり着けたとしても、主である私に気に入られるかしないと入れない。開けっ放しだったのはあの子たちが戻ってくると思ってたからだけど、二陣に分けて来るのは上手いやり方ね、ってこと」
話を聞く限り、どうやらこの子が魔女で間違いないようだ。権限も持っているみたいだし。
「バウバウ!」
セバスさんについて聞こうとしたタイミングで奥の部屋から本人が出て来て、しっぽを勢い良く振りながら駆け寄って来た。
「セバスさん、良かった迎えに来ましたよ」
意外と心細かったのだろうか、セバスさんがすり寄ってくる。
「その子は返すわ。推測だけど、ステータスやLv.系スキルが状態異常によって弱体している可能性にあるの。かなり珍しい状態異常にかかっているから研究者としてどうやれば解除出来るか気になってたの。毛を抜いたり、臭いを嗅がせたり、薬品をかけたり、縛ったり吊るしたり燃やしたりしてみたけれど、残念ながら効果の期待出来るものは何一つなかったわ」
心細かった。と言うより、とんでもない目に合わされて心身ともに辛かったのだろう……。
「セバスさん……お疲れ様です」
「クゥーン……」
「それで、坊やとそこの、オジサマ。早速だけど作るのよね? カード」
「あ、はい。お願いします……」
周りを見渡しながら、そわそわと落ち着きの無かった中島さんが応えた。
「全ステータス記載で、時間は相場だと……五時間弱、額は、そうね……馬二頭に立派な幌馬車が買えるくらいかしら」
「……タダにしてくれるんですよね?」
「それは坊やたちを含まないわ。私は四人分のみをタダにしてあげたの。ステータスの表示設定をあの子達と同じ──女子力はいらないわね。同じに設定すれば、時間も短く値下げも可能よ」
完全に無料だと思って、ろくに金を持って来ていなかったが一応聞いてみる。
「それでお願いするとなると、どのくらいかかりますか?」
「それなら、五分で完成出来るわよ」
「はや!」
「当たり前じゃない。私の工房ならそれが可能。さっきのは相場の話。私なら、全ステータス記載でも二十分と掛からないわ」
──なんだ、自分が優秀だってことが言いたくてわざと相場を引き合いに出したのか……。
「だいぶ失礼なこと考えてない?」
「いえ、そんな事ないですよ! それであの、金額の方は……?」
一番大事な所は聞きそびれる訳にはいかない。
「そうね。一枚につき、豪邸一つ建てられるくらいの値に負けてあげるわ」
──負けるって……安くするって意味だよな?
「ま、待ってください……! それじゃ、さっきよりも値が上がってるじゃないですか!」
「支払いは今すぐでなくともいいのよ?」
「そういうことじゃなくてですねぇ!」
金の話になったら途端にはぐらかす。こういうところが魔女たる所以なのか。
「あら、坊やなのに耳が遠いのかしら。最初の値段は平均価格を言った訳だから、私がその値段で受け持つとは一言も言ってないわ。私の作るカードには金貨にして、二千枚を投資する人もいるの。そこまで寄こせとは言わないにしても、私の技術にはそれだけの価値があるの」
「でも、五分でできるならその分安くなりませんか?」
「あのね、この五分にはそれまでの失敗と成功の時間が加算されてるの。アナタみたいな質の悪い顧客に安く使われるために努力してるんじゃないのコッチは。技術者舐めないでくれる?」
「う……すいません」
怒られて謝るしか出来なかったが、それじゃステータスカードを作ることは出来ない。そんな金額は到底払えないのだから。
「ま、待ってください……。タダになる条件とか、あるんではないですか?」
「ええ、そうよ。オジサマご明察ね。尤も、前例がアナタ達の前にいるのに、勿体振る必要も無かったかしら」
魔女が言ってるのはたぶんセバスさんのことだ。前例があると言うことは何か、タダに方法があるみたいだ。
「その条件とは?」
「珍しいスキルを見せなさい。ユニークでも派生でもなんでもいい。とにかく、面白いデータが取れるのであれば、お金は頂かない方針なの。要するに、アナタ達のステータス次第では無償提供ってこと。──改めて聞くわ。カードは作るの作らないの」
「つ、作りますっ!」
俺が迷っていると、中島さんが上ずりそうな声で言った。
「そう。見た目に反して、決断力のあるオジサマね。それで、坊やは?」
「俺も、作ります……作りたいです」
さっきから坊や坊やと言われているが、どう見ても彼女の方が子供だ……。しかし、こちらが頼む側なのを思い出し、ぐっと我慢した。
「切った爪二つか、髪の毛を五本貰うわ。用意しなさい」
言われた通りに中島さんは爪を、俺は髪の毛を提出した。中島さんも最初は髪の毛を抜こうとしていたが、何度も躊躇って結局爪にしていた。あの年齢になると、髪の悩みもあるのだろう。
入り口入ってすぐに仕切られたカウンターがあるので、訪問者である俺達が移動できる範囲は非常に狭い。だからカウンターの前のイスに座って待つ事にした。
~~~~~~~~~~~~
「あれ、もう終わったんですか」
提出してから一、二分。書類の山積みにされた部屋から、かき分けるようにして魔女が戻ってきた。
「私に出来ることは終わったわ。後三分ほど、出来上がりを待つのだけどね」
そう言うと、魔女もイスに腰を下ろした。
あとちょっとの待ち時間。
俺は魔女から視線を外したくて辺りを見回した。
よく見ると天井には木でできたアンティーク感のある動物が、至る所にヒモで吊るされている。壁にはペンギンの油絵まで額縁に入れてまで飾ってあるし、こちらの世界にも知っている動物がたくさんいるのかもしれない。
「ん。何かしら」
「その……目のやり場に困ると言いますか……」
魔女の格好……、下はクマさんパンツ姿が見え隠れしていて、上はトップがギリギリ隠れているだけの布を着ている……というか羽織っている。
カウンターを挟んだ目の前にいるので自然と目がいってしまう。決して見たい訳では無い。思わず見てしまうだけなのだ。決してだ!
奥の部屋からはドライアイスを水に沈めたような、ポコポコポコという音が聴こえてくる。
「あら、そんなこと。ここは私の工房であり家でもあるのよ。格好くらい好きにさせて欲しいわね。仮に、興奮を抑えきれない坊やに、メチャクチャにされたとしても、招き入れた私の責任であるから文句は言わないわ」
眠そうな目のまま、表情筋を動かさないままに言う。
「しませんよそんなこと!」
「坊やなら待ってる間に処理できそうだから、相手してあげられるけど」
肩のヒモを無表情のまま、ズラして見せつけてきた。ド直球な誘惑が俺に突き刺さる!
「だ、誰が早漏だっ!」
「あら、違うの。残念」
「違いますよ! ……たぶん」
「あ、あのー、」
俺の隣に座る中島さんが手を低く挙げて発言を求める。
「仮に、お金を払う必要があった場合は、利息はどのくらいで、いつまでにお支払いすれば宜しいのでしょうか……?」
中島さんは賭けがはずれた時のことをしっかりと考えていた。自分のスキルが分からない以上、当然と言えば当然か。しっかりしている。
「そんなものいつでもいいわ。王族、貴族、大商会の連中に吹っかけてやれば、大金なんていつでも転がり込んでくる。ま、思い立ったらすぐ行動したくなっちゃう性分だから、お金はいくらあっても困らないのだけどね」
まさかとは思うが金貨で二千枚という話も、ふっかけて手に入れたとかか? それとも俺達にふっかける為の適当な嘘だったとか。しかしそれなら返済無期限なんて言わない。魔女が何を考えているのか全く分からない。
「──時にアナタ達、私のことはなんて聞いて来たのかしら」
「"会いに行ける魔女"と聞きました」
「そ、そう……。随分と軽く見られた魔女が居たものね」
初めて、魔女の顔に雲がかかって見えた。会いに行けると言われるのはあまり好ましくないみたいだ。
「誰も寄り付かないような辺鄙な村の森の奥に工房を構えて、異国の人相手に怪しい商売をする女──。おまけにこんな性格では、魔女と呼ばれてもなんらおかしくは無いわね」
「魔女ではないんですか?」
「魔女は自分で魔女とは名乗らない。だから、私が "ニセモノ" かどうかは私が決めることではないわ。魔女なんてのは嫌悪の対象に向けられた民衆の噂であったり忌み名だったりなの。魔女の定義は曖昧。ただ……明確に分かることはある。だからこれだけは言っておくわ。"ホンモノ" の魔女は──」
書類が山積みにされた奥の部屋から電子レンジの『チーン』みたいな音が鳴り響いた。
「……あら、出来たみたいね」
話の続きも気になるが、ステータスカードも気になるところ。だからわざわざ止めなかった。
~~~~~~~~~~~~
「まずは坊やから。ステータスもスキルも特に面白いものは無かったわ。継承や派生もないし、平の凡久ね。ただ一つ、状態異常の欄を見て驚いたわ」
そう言って渡された紙は、リズ達が持っていたものと同じ材質のもので、こう書かれていた──。
≡≡≡≡≡≡≡≡≡≡≡≡≡≡≡≡≡
---喜久嶺珖代---
レベル 8
攻撃力(筋力): 12
瞬発力(筋力): 8
持久力(体力): 7
集中力(体力): 6
物理耐久力: 9
魔法耐久力: 9
敏捷力: 11
魔力: 0
運値: 1251
スキル
┠ 威圧 ┨
状態異常
《不条理叛逆》
≡≡≡≡≡≡≡≡≡≡≡≡≡≡≡≡≡
──ほとんど一ケタなのかよ!! 俺のステータス低すぎ……!
ってそこもだけど。
スキルがやっぱり一つしか無い……。
この状態異常についても聞いてみることした。この人なら何か知っているかもしれない。
「《不条理叛逆》……って一体なんなんですか」
「さぁ。私にも分からないわ。こんなもの、珍しいなんてレベルではないわ。この私が見たことも聞いたこともないだから」
「……そうですか」
「おそらくだけど、そのままの意味だと思うわ。こう、不条理や理不尽なことに対して、ものすごく反抗したくなる……なんてことは今までになかった?」
「どうだったかな……。治す方法とかも分かりませんか?」
時期に関しては異世界に来てからだろう。しかしなぜ状態異常になったのだろうか……。わからん。
「そうね……。こんな、前例がないものを解除することは私じゃなくても無理だと思うわ。実際にどんな状態異常なのか分からないけど、坊やはその "呪い" と向き合って生きていかなきゃいけない。意識しておくことね」
これといった変化は感じられないが、意識しておく必要があるようだ。
「次はオジサマ。貴方には意外と驚かされてばかりね」
渡されたステータスカードを俺も覗き見る。
すると、こう書かれていた──。
≡≡≡≡≡≡≡≡≡≡≡≡≡≡≡≡≡
---中島茂茂---
レベル 52
攻撃力(筋力): 860
瞬発力(筋力): 830
持久力(体力): 810
集中力(体力): 790
物理耐久力: 2260
魔法耐久力: 2350
敏捷力: 600
魔力: 1470
運値: 623
スキル
┠ 天佑 ┨
┠ 言語理解 ┨- 中 -
┠ 物理の加護 ┨- 中 -
┠ 魔法の加護 ┨- 中 -
┠ 魔法の心得 ┨- 中 -
┠ ステータス上昇率増加 ┨
┠ 危険感知 ┨
┠交渉術┨-中-
┠目利き┨
≡≡≡≡≡≡≡≡≡≡≡≡≡≡≡≡≡
──俺よりステータスめっちゃ高い!
でも運の値は俺の半分しかない!
でもスキルはめっちゃあるぅ!
「あ、あの……この┠天佑┨というのは何でしょうか?」
俺が目を丸くしているというのに、中島さんは平然と聞いている。いくら何でもリアクションが薄すぎないか!
「普通ではありえないような幸運に巡り会えるスキルよ。かなり珍しいものよ。久しぶりに見た」
彼女から説明を聞いて、ふと思い当たる出来事を思い出した。
「もしかして女神から貰ったていう、"足りない何か"ってこれのことじゃ……」
女神が渡したとされる、中島さんに足りない部分を補うスキル。俺にはこの┠ 天佑 ┨こそがそれにあたると思えた。
「私もそう思いました。……危うい所で喜久嶺さん達に出会えたのも、このスキルのおかげかもしれません……」
これはもう、間違い無いと言っていい。前世からついていない人生をおくっていたと思わしき苦労人の中島さんに、女神が授けた能力が┠ 天佑 ┨なのだ。
──どんだけ慈悲深い女神なんだ……。うちの元女神と取り替えてもらいたいよホント。
「貴方からお金は頂けないわ。オジサマとは、これからも友好的な関係を築いていきたいもの。出来る限り、無償での協力をこれからも惜しまないつもりですので、いつでもお越しくださいね」
そう言うと、手を差し伸べながらニッコリと笑った。明らかに媚を売っている……。
「こ、コチラこそ、よろしくお願いします」
握手を交わすがあれは絶対、営業スマイルだ。
「帰りは昇降機でお送りしましょう。さぁこちらへ」
「あ、ありがとうございます」
俺とセバスさんには目もくれず、中島さんを案内し始めたので、後ろから追いかけるようについて行く。
俺達三人がリフトに乗り込んだのを確認して、彼女は操作パネルのようなものを動かした。ゆっくりと降りていくリフトの上で俺は大事な事を思い出した。
「あ、"ホンモノ" の魔女はなんなんですかっ! 教えてください!」
「"ホンモノ"の魔女には関わってはいけない。それだけよ」
「じゃあアナタは…… "ニセモノ" なんですね?」
「坊やがそう思うなら、そうなのでしょうね。お金が用意出来ないようであれば、私の奴隷にしてあげるからいつでも来なさい」
「じょ、冗談ですよね?」
「本気よ。坊やのこと好いてるもの。色々仕込みたいくらいに」
「いや、そうじゃなくて! お金……」
大事な話の途中だったが、リフトは既に到着していて、彼女の姿は見えなくなっていた。
「金は、払わなくて良かったんじゃ無かったんですかっ!」
「喜久嶺さん……」
中島さんが小さく声を掛けてきた。
「あの方、私には払わなくて良いと仰ってくれましたが、喜久嶺さんについては何も言及してなかったように思います……」
「でも、珍しいものがあれば、無償提供するって……」
「確かに、珍しいスキルやユニークスキル、派生などがあればそうすると言っていましたが、あの方、珍しい状態異常とは一言も……」
それはどうなのかと否定したくもなったが、よく考えればあの魔女、そういうこと分かっていながらをいかにもしてきそうな奴だった……! 問い質したら間違いなく言い訳してくるだろう。
「くそっ、……ってハシゴがねぇっ!」
戻って抗議してやろうと思ったが、ハシゴがキレイに回収されていた。
「コラー! でてこーい! ハシゴを返せー!もしくはリフトを上げろー!」
俺はジャンプしながら叫んで抗議することにした。
「喜久嶺さんっ! あの方は、先程から喜久嶺さんの反応をみて楽しんでいる節があります、このままぴょんぴょん跳び跳ねて怒っても、向こうの思うツボですよ……!」
「……え、そうなんですか」
「はい。間違いなく」
「バウバウ」
セバスさんも肯定するかのように、首を縦に振った。
「……戻りましょうか」
中島さんは優しく問いかけてくれた。
「……はい」
俺はずっと遊ばれていたのか……あの"ニセモノ"の魔女に。
そう言えば、あの魔女の名前、聞いていなかったな……。聞いておけば良かったかな。
もう二度と会うつもりはないがなッ!
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珖代達を見えなくなるまで見送った"ニセモノ魔女"は徐に呟いた。
「レイティアの血を引くものか」
その言葉の意味を、珖代達はまだ知らない。
 




