除夜の鐘2
乙女ゲームみたい(笑)の会長と双子まだ書いてないですが、こっちを思いついたので・・・。
す、すみません・・・。
全身に貫く水の冷たさに、一瞬意識が遠くなるが、気絶することはなく、池の底に沈んでいった。
必死にもがいて水面に出ようとするが、全身を覆うコートが水分を含んでうまく浮き上がることができないでいた。
いつの間にか、透明だった水面はだんだんと、絵美が沈んでいくほどに、透明度を下げて行った。
息ができない。
だんだんと、全身の酸素濃度が減ってきている。
息が苦しい。
そう思った瞬間、水の冷たさよりのもっと、違う全身の恐怖が息苦しさとともに全身を支配した。
先ほどまで感じなかった恐怖が全身を支配したのだった。
このままいけば自分は、息ができなく死ぬ。
無意識化の危機を、理性で理解しているのではなく、本能で警告を察知して。
この苦しい水を這い上がらなければ、自分は、もう二度と・・・。
それなのに、どうしてだろうか?
全身が重く鉛のようで、自分の思い通りには動く事ができないでいた。
誰か!
そう、叫んでみるが、声が出る前に口の中に水が一緒に入ってくる。
恐怖が襲い、思考が停止する。
酸素がなくなり、思考が停止する。
きらきら光る水面に瞳を向けて、伸ばしていた手を、ゆっくりと下ろした。
しょうがないよね・・・もう・・・。
そう、誰かが言ったような気がした。
ゆっくりと沈んでいく身体に、ついに
「もう、いいや・・・」
そう、思って、目を閉じた。
ああ、もう何もかも、どうでもいいや・・・。
最後はあきらめが襲った。