~第七十六話~
学校がなく、休日の日
俺は、行く所があった。
とまあ、行くと決まっているのは、もちろんバイト先の事なのである。
朝起きて、身支度を整えてから、家を出て、電車に乗り、目的地、秋葉の街へと降りる。
降りてから、数分街の中を歩いて、勤め先の喫茶店、ラブ喫茶「アイライク」に辿り着いた。
店の中に入り、店長の東雲紫さんに
「おはようございます」
と拝察すると、紫さんが
「あ、まこさん、おはようございます、今日もよろしくお願いしますね?」
と笑顔で言ってきたので
「はい、じゃあ着替えてきます」
と言って、従業員の控室に入って、着替える事にした
このラブ喫茶「アイライク」は、基本コスチュームはメイド服なのだが、俺に関しては、メイド服ではなく、どっちかと言うとウエイターの格好をする事になっているので、それに着替える事にした。
数分後、着替えが終わり、鏡で身だしなみを整えていると、控室にやって来たのは
「あ、まこ、おっは~」
同じクラスでバイト仲間の栗谷美鈴だった。
「おはよう」
「まこ、早いねえ~うんうん、その格好似合ってるなあ~」
「なんか、美鈴、ご機嫌だね? 何かあった?」
「まあ、ちょっとね? 詳細は休憩時間にでも教えるよ~」
「そう、じゃあ、先にホールに出てるから」
そう言って、俺は控室を出て、ホールに行き、接客をする事にした。
店内を見渡してみると、今日は男性客が多く、女性客が少なかった。
その中でよく声をかけられているのは、バイト仲間のさ~なこと、桐谷佐奈さんが、よく男性客に呼ばれていて、しかもよく聞いてみると「この後、暇?」とか「ケー番、教えてくれない?」とか聞こえてきた。
これって、ナンパ目的か? と思い、止めた方がいいかな? と思って、佐奈さんの顔を見てみると、なんか、困っている風に見えたので、助ける事にしようと思い、佐奈さんに声をかけてる男どもに一言注意する事にした。
「お客様、ナンパ目的なら、お帰り下さい」
と、睨みながら言うと、男どもが「う、す、すいません~」と謝って、佐奈さんに話しかけるのをやめたようだった。
「あ、あのまこさん……ありがとうございます……」
佐奈さんが、お礼を言ってきたので、俺は
「いいよ、困ってた風だったから、あ、もしかして邪魔しない方がよかったかな?」
「いいえ! とんでもないです!とても助かりました!」
「そう、ならよかった」
「……やっぱりいいかも……」
「何か?」
「い、いいえ、じゃ、じゃあ仕事に戻ります」
なんかどもりながら、仕事に戻って行ったけど、何だったんだろう……?
ま、気にしない事にして、俺も仕事に戻る事にした。
結局……俺を呼んだのは、女性客ばかりで、俺が席にやって来ると、喜んでいる感じがした。
なんで俺……一応女性なのに、女にもてるんだ?
まあ……考えるのも馬鹿らしいし、とりあえず考えるはやめにするか……
そう思っていると、店長の紫さんが
「まこさん、休憩入っていいですよ?」
と言ってきたので
「あ、はい、じゃあ休憩に入ります」
と言って、控室に行き、休憩する事にした。
控室に入ると、先にいたのは、美鈴だった。
「あ、まこも休憩だね?」
「まあね、所で……さっき、ご機嫌だった訳は?」
「ふっふっふ、実はね? 懸賞に応募して当たったの~、二泊三日の旅行券をね~」
「あ、そうなんだ? 旅行券……それは、おめでとう」
「うん、でさ~ちょっと困った事になってさ?」
「困った事?」
「カップル限定チケットなんだよぅ~私、彼氏といないしさ~、でもせっかく当たったしね~」
「そう……じゃあ、弟と一緒に行けば? 確か、弟いるんでしょ?」
「嫌、弟となんか行きたくないって、も~まこ、何言ってるの?」
「いや、それが妥当なんじゃないかと……」
「だからさ?まこ」
何でこっちを見ているのかな? 美鈴
「私と一緒に行こう?」
「いやいや、無理でしょ? カップル限定でしょ?」
「大丈夫、まこなら男装似合うって! ね、おねが~い」
「そう言われても……それにもし行けたとして、学校があるでしょ? どうするの?」
「次の連休が、丁度三連休じゃない、それで行こうよ? ね? まこ、いいでしょ? 本当に頼むからさ~」
「……ちょっと、考えさせて」
「解った、じゃあ決まったら、教えてね? じゃあ、私、仕事に戻るね?」
そう言って、美鈴は、ホールに戻って行った。
一人残されて、ちょっと考えてみる。
二泊三日の旅行ね……行ってみたい気もするけど、どうしたもんかな……ま、家族にもちょっと言ってみるかな?
そう思う事に決めて、休憩時間が終わったので、再びホールに戻る事にした。
ホールに戻ると、お客さんが増えていたので、結構忙しくなってしまった。
相変わらずと言うか……俺を呼ぶ客は、女性ばかりで、男性客が、俺を呼ぶ事は無く、男性客は美鈴が担当したりしていて、俺の担当は、女性客ばっかりだった。
まあ……ウエイター服を着てるせいかも知れないが……俺に声をかけてくる客の大半が、女性客だった。
しかも俺が「ご注文は?」と声をかけると顔を赤らめながら、「こ、これお願いします……」と言ってくる子もいたり、「私と付き合って下さい」と真面目にそう言って来た、女子もいたりする。
おい、性別同じなんだがそれはいいのか? と疑問に思いながら、そう言った人物にはやんわりと「ごめんなさい、でもお店に来てくれてうれしいですよ?」と言う事にした。
そんな感じに接客が続き、時間が過ぎて、夕方になった。
夕方の時間は、女性客がほとんどいなく、男性客が多く店内にいた。
その中で一番客に呼ばれているのは、東雲玲で、男性客が「あきらちゃ~ん」とか猫なで声で呼んでいる。
玲を見てみると、一瞬ため息をついたような顔をした後、笑顔で「は~い」と言って、その呼ばれた所にむかっていた。
うん、まあ……頑張れとしか、言いようがないかもな……
そう思いながら仕事をしていると、店長の紫さんが
「まこさん、もう上がっていいわよ?」
と言ってきたので
「あ、はい、じゃあお先に失礼します」
と言って、控え室に向かい、着ている服を脱いで、私服に着替える事にした
着替え終わったあと、ホールに出てみると
「あ、まこ? もしかして……帰る所?」
そう言って来たのは、同じクラスで親友の栗谷美鈴だった。
「うん、まあそんなとこ」
「あ~あ、一緒に帰りたかったのに……まだ仕事あるしなあ~」
「何か……残念そう?」
「まあね……でも、もうちょっとで私も終わるし、頑張らないとね? じゃ、まこ? お疲れ様」
「お疲れ様、じゃあ店長、お疲れ様でした」
俺は店長にそう話してから、店を出る事にした。
店に出て、駅の方に向かい、電車に乗る。
電車に乗って、山野辺駅で降りて、真っ直ぐ帰る事にした。
家にたどり着いた頃には、すっかりと夜になっていて、家に戻ると
「お帰り、お姉ちゃん」
と妹の亜季が出迎えてくれて、亜季が
「お姉ちゃん、今日ね? 私が夕食を作ったの、新しい料理だから、味見してくれないかなあ?」
とお願いしてきたので、俺は
「いいよ」
と言って、亜季の作った物を食べてみる。
味に関しては問題はなく、旨いか不味いかで言うと、結構旨かった。
「うん、これ美味しい」
「よかった、実は3回も失敗した後に出来た物なんだ」
「そ、そう……」
それは作りすぎじゃないのか? と疑問に思ったけど、深く考えない事にして、食事が終わった後、お風呂に入り、体を洗ってから寝る事にした。
こうして、俺の休日が終わったのであった。




