~第六十三話~
季節もすっかり夏になり、暑く感じる頃
俺は、行く所があった。
その場所と言うのは、秋葉にある喫茶店、ラブ喫茶「アイライク」である。
俺は、そこでバイトをしているので、バイトに向かったのであった。
家を出て、山野辺駅から、電車に乗り、目的地、秋葉に辿り着く。
降りた途端、物凄い数の人だった。
うん……何でこんなに人が多いんだ? なんか、イベントでもあるのか? と思ったが、バイトに遅刻すると不味いので、俺は、バイト先に向かう事にした。
数十分後、ラブ喫茶、アイライクに辿り着く。
スタッフ専用口から店内に入り、控え室で、制服に着替える事にした。
この店は、メイド服をモチーフにしているのだが、俺のは違っていて、どっちかと言うと、ギャルソンタイプの制服だった。
その制服を着て、鏡で身だしなみをチェックし、控え室を出る。
控え室を出て、店長の東雲紫さんに、挨拶する事にした。
「おはようございます、紫さん」
「あら、まこさん、おはようございます、じゃあ、今日も宜しくお願いするわね?」
「あ、はい、解りました」
そう言って、俺は、接客する事にした。
基本的に客に呼ばれたら、オーダーを取るといった感じの仕事だったので
ぶっちゃけて言うと、今日は、何だか暇だった。
そもそも客が男性客だけで、一人も女性客がいなかったからである。
男性客が、注文をする為に呼びつけているのは、店長の弟の東雲玲であった。
ここでは、男だと言うのを隠して、玲はウィッグとメイド服を着て、接客しているので、うん……見ている分には、全く男に見えないな……あの男性客は、玲の事を女の子としてみている感じがする。だって、玲を呼ぶ時に「玲ちゃーん~」と猫撫で声で呼んでいるしな……と、そう思ってしまった。
あっという間に時間が過ぎていき、結局呼ばれたのは、いつもと半分ぐらいの客だった。
休憩時間になったので、控え室で休んでいると
「まこ~ちょっといい?」
そう言ったのは、同じクラスで、友達でもある、栗谷美鈴だった。
「何? 美鈴」
「実はね? 今日、この秋葉の町で、イベントやってるんだけどさ? 仕事終わったら、一緒に見に行かない? あと、あっきーも誘ってあるよ? 佐奈さんは、用事があるから行けないってさ」
あっきーと言うのは、秋村真帆の事だった。
俺は、そう美鈴に言われて、ちょっと考える。
別に仕事終わってから、何も予定ないし、何のイベントか気になったので、俺は、こう言う事にした。
「じゃあ、自分も一緒に行くよ」
「じゃあ、決まりだね? 仕事が終わったら、また、声をかけるよ~」
「了解~」
そう言って、休憩時間が終わったので、接客に戻る事にした。
休憩した前と後を比べてみると、今度は女性客が増えていて、男性客が少なかった。
女性客にいっぱい呼ばれて、ちょっと忙しかったが、何とかこなす事に成功して、バイトが終わる。
控え室に入り、着てる制服を脱いで、私服に着替えて、外に出て、あっきーと美鈴を待つ事にした。
数分後
「お待たせ~まこ」
「まこさん、お待たせです」
あっきーと美鈴がやって来たので、三人で、イベントが行われている会場に、向かった。
バイトが終わって、秋葉の町を三人で歩く。
町の中は活気づいていて、結構人が多く、迷子になりそうになりながらも、何とかイベント会場に到着する事が出来た。
「まこ、ここで、ライブやってるんだよ?」
「ふ~ん……ちなみに、一体誰のライブなの?」
「ふっふっふ~それはね~なんと、色んなアニメのOPヤEDを歌っているシンガー達の夢の共演だよ! だから、まこも、もしかしたら知っている人がいるかも知れないって事かもね?」
「私も、結構アニメ好きですから、色んな方知ってますよ? まこさんは、どうですか?」
二人がそんな事を聞いてきたので、ちょっと考える。
確かに昔にアニメは、暇つぶし程度に見た気がする。
けど、最近はほとんど見ていないし、誰が歌っているか? も知らないので
誰と紹介されても解るかな……とか、そのぐらいの認識だった。
「う~ん……まあ、知っている人がいるとは思うけど……」
「そっか、まあいいけどね? あ、時間来ちゃうから、会場内に入ろう?」
「そうだね」
そう言って、会場内に入った。
会場の中に入ると、物凄い人だった。
しかも男性が多く、女性も少ないけど、発見出来た。
とりあえず空いているスペースを見つけたので、そこに行く。
スペースに辿り着いて、待っていると、会場内が暗くなり、音楽が流れ出して、最初に男の人が出てきた。
「あ、まこ、あの人が天空カイザーとか歌ってた人だよ?」
そう美鈴が言ってきたので、曲を聴いて見る。
確かに、聞いた事のある曲で、会場内が盛り上がった。
歌が終わって、次に出てきたのが、女性の可愛い感じの人だった。
「あ、あれが天使世界や魔女っ子メイルOPを歌ったアニソン界の歌姫ですよ、ちなみにあんなに可愛いのに、年が四十過ぎてるのは確かです」
「ええ!?」
あっきーがそう解説して、改めて顔を見てみる。
うん……とても四十代には見えない、せいぜい二十代前半に見える。
その人の曲が終わり、次に出てきたのが、男の人だった。
「あ、あれが、アニソン界の兄貴と呼ばれる人だ! 主にロボット系アニメの曲を歌ってるんだよ! く~盛りあがってきた!!」
なんか、美鈴が物凄いテンションでそう言っている。
うん……盛り上がるのはいいけど、少しは落ち着いてほしい
美鈴の肘が、手を振り回しているので、隣の人にごつごつと当たっていて
隣の人が思いっきり睨んできた。
俺は、その人に「すいません、こんな奴で」と小声で言うと
「今度から気をつけるように……まあ、こっちも相方がはしゃいでるけど……」そう言う隣の人も、その隣の人が思いっきりはしゃいでいた。
うん……何だろう……親近感が湧くって言うのか?
「お互い大変ですね……」とか、お互いに思っていたのだと思う、うん
ライブも後半にさしかかり、最後に出てきたのは、何故か
「あ、蓮城麗華だ」
そう、何故か麗華が出てきて、歌を歌いだした。
「美鈴、麗華が歌っている曲って知ってる?」
「知ってるよ、確か……劇場版魔女っ子メイル~夢見る乙女大作戦~のテーマソングだったかな? 確か」
「そ、そう」
詳しいな……美鈴……
麗華の歌が終わり、ライブも終了したみたいだった。
会場を出て、帰り道
「今日は楽しかった!早速、この事をあっきーの旅立ち日記に書きこもっと!」
そうあっきーが言い
「まこ、今日は楽しかったね~」
「うん、まあ、そうかな」
「じゃあ、帰ろっか?」
「そうだね」
「あ、じゃあ、私はこっちですので、ここでお別れです、お疲れ様~」
「お疲れ様!」
そう言って、あっきーと別れて、俺は、美鈴と一緒に電車に乗り、山野辺市に辿り着いた。
辿り着いた頃には、もう夜になっている
「じゃあ、私、こっちだから、じゃあね?まこ」
「うん、さよ~なら」
そう言って、美鈴と別れて、家へと帰る事にしたのであった。




