~第四十八話~
「はい、本番行きます~」
そんな声がして、収録が始まる。
俺は、ガラス越しに、その光景を見ているのであった。
何故、そんな状況になっているのかと言うと、事の始まりは、こうである。
ある日のこと、俺は、家で休んでいると、俺の携帯が鳴ったので、出てみる。
「はい、南山です」
「真琴、私、蓮城麗香よ、久しぶり」
電話の相手は、以前、ドラマやラジオで一緒に
共演した蓮城麗香であった。
「麗香、久しぶり」
「久しぶり、でさ?真琴、今日、暇よね?学校はないでしょ?休日だし」
まあ、そうなんだが、俺が用事あるとか、思っていないのか?
「え~っと……暇と言われれば暇だけど……」
「じゃあ、今からいう場所に来ない?歓迎するわよ」
俺は、どうしようかと迷ったが、別に何も予定は無いので
「分かった」
と、言って、麗香に教えて貰った場所に行く事にした。
そして、辿り着いた場所は、山野辺スタジオと呼ばれていて
山野辺放送局より、ちょっと、建物が小さくで出来ていたりしている。
そこの二階にあがり、「スタジオA」と書かれた部屋の中に入ると
数人の男女が集まっていた
その中に麗香を見つけて、声をかける。
「麗香、来たよ」
「真琴、久しぶり、元気してた?」
「まあ、元気と言えば元気だよ、ところでここで一体何を?」
「今日はね?アニメの収録をする事になったのよ、それで私はゲスト出演で呼ばれたってわけ、それにほら、あそこに知っている人もいるでしょ?」
そう言って麗香が指さす。
するとそこにいたのは、以前、天空カイザー2で一緒に共演した。
エリカ姫役の三島陽子が、そこにいた
「あ、真琴さん、お久しぶりです」
「久しぶり、陽子さんも、出演するの?」
「はい、私もゲスト出演として、参加する事になったので、まあ、麗香と一緒ですね」
「まあ……私の方が、台詞多いけどね」
「何言ってるのよ、一つしか違わないでしょ」
「まあ、そうだけど」
うん、なんか見ているかぎり、この二人、仲がいいな……と、思った。
三人で話していると、男の人の声で
「はい、そろそろ収録始めますね、おや?君は?」
「あ、私の友達の南山真琴さんです、今日は見学に誘ったんですけど、いいですか?監督」
「う~ん、もしかして……天空カイザーでレキやった人?」
「あ、はい、そうです、ね、真琴」
「あ、うん、レキ役をやりました」
「ま、いっか、そうだ、真琴さん、チョイ役だけど出てみないか?」
え?俺も?
「え、自分もですか?」
「うん、ダメかな?」
「真琴、一緒にやりましょうよ?」
「私も、一緒にやりたいです」
二人にそう言われて、俺はどうしようかと思ったが
ま、参加するのもいいかな?と思ったので
「分かりました、じゃあ、参加します、でもいいんですか?」
「うん、いいよ?じゃあ、あとで台本渡すから、今日は見学しといてくれるかな?」
「分かりました」
そう言って、俺は、案内されて、ブースの外に出る。
そこで、待機する事にした。
ちなみに、今から収録するのは
映画版アニメ「天空カイザーTHEMOVIE」と言うらしい
天空カイザーの映画が作られるとは……凄い、作品だな……と、俺は思った。
「じゃあ、収録始めます~」
そう監督が言ったので、俺は、収録を聞く事にしたのであった。
こうして、天空カイザーの収録が、始まったのである。
山野辺スタジオの中に入って、ブースの外のコントロールルームと呼ばれる場所に入った。
その隣がブースとなっていて
録音機器があるので、そこで収録するみたいであった。
コントロールルームはにいるのは
俺と音響スタッフと監督の三人で、監督がこう言う。
「じゃあ、収録始めます、真琴さん」
「はい?」
「真琴さんの出番は、まだ先にあるので、他の人のを聞いてみてください」
「わかりました」
監督が、そう言ったので、俺は、他の人の演技を聞く事にした
「じゃあ、シーン1、スタート!」
監督がそう言う
「俺は、カイザー!絶対にデルウイングを倒すぜ」
うん、改めて見てみると、本職の声優さんの演技は、かなり上手だった。
さすが、声優だな……と、俺は、思ったのである。
そんな感じに始まって、駄目だしも入れながら、収録が続く
「はい、OKです、じゃあ、ちょっと休憩にします」
そう監督が言って、一時収録が中断する
コントロールルームの方に、蓮城麗華と、三島陽子が、やって来た
「真琴、どうだった?」
「麗華より、私の方が上手でしたよね?」
「何言ってるのよ、私の方がうまかったわよ?ね、真琴」
「……正直、どっちもよかったと思うんだけど?」
「そうだよ、二人とも、何張り合ってるの?」
「だって~……」
「麗華には、負けたくないって思うのよね」
「あ、私も、陽子にだけは負けたくないわって、思う時あるし、まあ、ライバルみたいなものよ」
「そうなんだ」
「はいはい、現場では仲良くやって下さいね、あ、そろそろ休憩終わりですよ」
「あ、分かりました、じゃね?真琴」
「了解~」
そう言って、二人は、ブースの中に戻っていく
「真琴さん」
「はい?」
「真琴さんの役ですが、明日の収録で登場させる予定にしようと思うけど、明日もこのスタジオに来れるかな?」
「明日ですか……学校があるので、学校が終わってからならこれますが?」
「そうですか、それで構いませんよ?今日は、あと一つの収録だけで切り上げようと思います、じゃあ、シーン、アクション!」
そう、監督が言うと、録音がスタートする
「カイザー!ここは任せたぞ!」
「ああ、分かった、許さないぞ!デルウイング!」
「はい、OKです、今日の収録は、これで終わりです、また明日も収録あるので、よろしくお願いします、では、皆さん、お疲れ様でした」
そう監督が言ったので、今日の分の収録が終わったみたいなので
俺は帰る事にした
帰ろうとすると、監督が
「あ、そう言えば私の名前教えてませんでしたね、木梨と言います、真琴さん、明日、よろしくね」
「あ、はい、木梨さん、分かりました」
そう言って、俺は、山野辺スタジオから出て行くのであった。
次の日になり、今日は、学校があるので
いつものように起きて、制服に着替えて、学校に行く。
冬だからか、外はかなり寒く、厚着をして行かないと、風邪引く感じなので、マフラーと手袋を装備して、通学路を歩く事にした。
数十分歩いて、通っている高校、山野辺高校にたどり着く。
教室内に入ると、すでに何人かいて、ゆったりとしていた。
ちなみにクラスの中は、暖房もつけてないと言うのに暖かく
結構快適な感じだったので、俺も自分の席で
ゆったりと休む事に決めて、自分の席に着くと
「おっはよ~まこ」
話しかけて来たのは、俺の親友の栗谷美鈴だった。
「おはよう」
「まこ、今日、暇?」
「暇じゃない、行く所、出来たしね」
「行く所?何か用事?」
まあ、用事といえば用事なんだが、ここは素直に言うか?でも、別に言う事もないよな……と、思って
「まあね、今日は忙しいから、ところでなんか用だったの?」
「暇だったら、まこと遊びに行こうと思ってたんだけど、暇じゃないのか~、じゃあ、また今度誘うよ」
「そうしてくれるといいかも、あ、チャイム鳴るよ」
「あ、ほんとだ、じゃね、まこ」
そう言って、美鈴は、俺の席から離れて行った。
そしてチャイムが鳴り、授業が始まる
終業式が近いからか、授業は短縮授業で、早めに終わったのであった
授業が終わったので、俺は、教室を出ていって
このまま行こうか迷ったが、一度家に帰って着替えてから、行く事にした。
家に戻ると、誰もいなかったので、俺は何も言わないまま私服に着替えて、外に出る
そして、山野辺スタジオへと向かうのであった。
数十分移動して、山野辺スタジオにたどり着く
その建物の中の二階に行って、スタジオAと書かれた部屋の中に入ると、もう既に収録が始まっているらしく、台詞を録音していた。
俺は、コントロールルームの中に入り
監督の木梨さんに、話しかける
「おはようございます、監督」
「あ、おはよう、真琴さん、はい、これが真琴さんの台本ね、と言っても、台詞が三つぐらいしかないから、簡単だとは思うよ」
「あ、そうですか、じゃあ読んでみます」
俺は、監督に渡された、台本を読む
俺の役は、カイザーに助けられた子供の役だった。
台詞も「がんばれカイザー」と「負けないで!」と、「ありがとう~」の三つだけだった。
うん、これだけだったら簡単かも……と、思ったのである
そして時間が進んで、監督がこう言う
「じゃあ、真琴さん、収録、お願いできるかな」
「あ、はい、分かりました」
そう言って、俺はコントロールルームから出て行き、ブースの中に入る
中に入ると、声優の皆さんと、蓮城麗華と三島陽子がいた。
俺は、とりあえず、挨拶をする。
「今から参加する、南山真琴です、初心者ですが、よろしくお願いします」
そう言ったら、よろしく~とか言ってくれたので、場の雰囲気は良好だった
スピーカーから、監督の声が入る
「じゃあ、真琴さん、台詞、お願いしますね、3,2,1、キュー」
そう言ったので、俺は台本に書かれている台詞を、マイクに向かって言う
「ガンバレカイザー!」
「う~ん、もうちょっと子供が応援する感じで頼みますね、じゃあもう一回」
「分かりました」
そう言って、俺は台詞を言う
何回か、ダメ出しを食らったはしたが
なんとかOKを貰えたので、よかったと思ったのであった。
出番が終わったので、俺は、コントロールルームの方に移動する
中に入ると、麗華と陽子も出番が終わったのか、中にいた
「真琴、お疲れ様」
「お疲れ様です、真琴さん」
「お疲れ様、どうだったかな?」
「なかなかよく出来てたわよ?ね、陽子」
「ええ、そうね、初めてにしては、結構出来てた方だと思いますよ?」
「よかった」
そう話していると、監督がこう言ってきた
「う~ん、君たち三人でユニットでも組んだら、人気出るんじゃない?君たち三人とも、いい線いってると思うし」
「そうかな~、ね、麗華、それも面白そうじゃない?」
「まあ……私も、この三人ならユニット組んでもOkかな?って思うわね、真琴はどう?」
「う~ん……特別やりたい!って思わないんだよね、それに学校あるし、そういうのありかなって感じかな」
「そう、でも真琴がOKするなら、私もOk出すわよ、陽子もそうよね?」
「うん、私もOk出すよ」
「そうか、まあ君たちの問題だから、とやかく言う事ではないな」
そう監督が言う
俺は、三人でユニット組むのも一つの手なのかな……とか、思っていた。
そして収録もすべて終わったので、俺は、帰る事にした
帰る際に、監督がこう聞いてきた
「そうだ、真琴さん、EDに出てくる名前だけど、そのままでいいのかな?」
「う~ん……じゃあ、MAKOTOで、お願いできますかね?」
「分かった、そう言っておくね?それじゃ、さようなら」
「はい、お疲れ様でした」
こうして、俺のアフレコが終わったのであった。




