~第四十一話~
二月の冬のある日、俺は、行く所があった。
それは、俺が働いている喫茶店のラブ喫茶「アイライク」である。
俺は、朝起きて、出かける準備をして
外に出て、電車に乗り、秋葉へとたどり着く。
秋葉の町は、今日はイベントデーなのか
路上にアニメの服装を着た女の子が、歩いている男性に何か配っていた。
俺は、それを見ながら、ラブ喫茶「アイライク」にたどり着く
中に入って、控室で用意された服に着替えて
ホールに行くと、店長の東雲紫さんが、こう話してきた。
「まこさん、おはようございます」
「おはようです」
「まこさん、今日は何の日か知ってますよね?」
「え~っと……確か、世間一般的にはバレンタインと呼ばれる日ですよね?」
そう、今日はバレンタインデーと呼ばれる日で
女の子が、大好きな男性にチョコを渡す日でもある。
「ええ、そうです、そこで、今日は「バレンタインイベントデー」とします、主にメニューは、チョコを使った商品しか出さないと言う事ですね、あ、ちなみに、はい」
そう言って、紫さんは、俺にラッピングされた箱を渡してきた。
「あの……これは?」
「チョコですよ、空いた時間にでも、食べてくださいね」
「いや……こういうのは、男にあげるものでは……」
「同性同士でもあげる場合は、ありますよね?」
「まあ、あると思いますけど」
「じゃあ、それです、断るとかないですよね?」
「は、はい」
結局、俺は、紫さんからチョコを受け取ったのであった。
紫さんのチョコは、箱が綺麗に包装されていて、結構高そうな品物だった。
仕事が始まるので、休憩の時に食べればいいかな?と思い
控え室に置いておく事にして、ホールに戻って、仕事を開始する。
俺は、接客なので、客に呼ばれていくと
なぜか「これ受け取ってください!」とか
「貴方を思って作りました!」とか、俺を呼んだ客(ほぼ女)から、チョコを貰った。
なんでこんなに同性にモテテルんだ……と、疑問に思いながら仕事をする。
仕事が終わるまでに、結局十三個のチョコを貰ってしまったのである。
はっきり言って、こんなに食べられないんだが……それに量が多いので
紙袋を貰って、その中に貰ったチョコを入れる事にした。
休憩時間になって、早速貰ったチョコを食べてみると
ハート型のチョコだったり、板チョコだったり、さまざまだった。
チョコを数個食べて、休憩時間が終わったので、仕事に戻る。
仕事に戻ると、やはりと言うか……また俺に
お客がチョコを渡してきたので、俺は
「これ以上は……ちょっと」
と言うと、残念そうにしていた。
そして……仕事が終わったので、着替えて、外に出ると
「まこ~」
「まこさん」
外にいたのは、親友の栗谷美鈴と
同じバイト仲間の桐谷佐奈さんだった
「仕事、お疲れ様です」
「まこ……凄い貰ったんじゃない?」
「うん……ほら見てよ?紙袋にいっぱい入ってるでしょ?ちょっと重い、まさかこんなに貰えるなんて、思ってなかったし」
「あの……じゃあ、私から貰ったら迷惑ですかね……?」
佐奈さんは、そう言ってラッピングされた箱を、出してきた。
「あ、じゃあ私も~」
美鈴も箱を出す。
「い、いや、迷惑じゃないよ、貰えるのはうれしいしね?二人ともありがとね」
「いえ……」
「いえいえ~、それより、まこ?」
「何?」
「これからどうするの?そのまま帰る?」
「う~ん……荷物多いし、持ち運びながら何所かに行くとか、疲れそうだからまっすぐ帰るよ」
「そっか~どっか遊びに行こうとか思ってたけど、確かに荷物多そうだよね」
確かに今の状況、両手に紙袋を持っているので、荷物は多かった。
「じゃあ、またね、二人とも」
「あ、はい、お疲れ様です」
「お疲れ~、また学校でね?まこ」
そう言って、俺は、家へと帰る事にした。
家に帰ると、ポストの中に何か入ってるのを見つけて、あけてみると
箱とメッセージカードが入っていた。
そのメッセージカードを読んでみると
「バレンタインなので、チョコをお送りします、大好きです!貴方の汐崎美咲より」と書かれていたのである。
いつから美咲は、俺の物になったんだ……と、思ってしまった。
そして家の中に入ると、妹の亜季が、こう言ってきた。
「お姉ちゃん!それって、もしかして……チョコ?」
「うん」
「貰いすぎだと思うんだけど?」
「さすがに自分もそう思う……あ、亜季、食べるの手伝ってくれないかな」
「……分かった、お姉ちゃんがそう言うなら、でも、最初に私の作ったチョコ食べて?」
「分かったよ」
そう言って、俺は亜季と二人で
貰ったチョコを食べる事にしたのであった。
うん、もうチョコは当分いらないかも……そう思っていた。




