~第二十五話~
季節は、すっかりと秋に突入して、肌寒くなってきたころ
俺は、行く所があった。
それは、どこかと言うと、秋葉の喫茶店
ラブ喫茶「アイライク」である。
何故、俺がそのような場所に行くのかと言うと、このラブ喫茶で
働いているからで、まあ週に一日だけだけど
行く事にしているのであった。
朝早く起きて、身支度を整えて、電車に乗って
目的地、秋葉へとたどり着く。
さすがに秋と言うだけあって、夏休みのように人が沢山いたりはせ
結構人が少なくなっていた。
俺は、その秋葉の街を数分歩いて
ラブ喫茶「アイライク」へと向かう。
そして、辿り着くと、朝早いからか
まだお店はやっていなく、スタッフ専用口から入って、店内に入ると
「あ、おはようございますね、まこさん」
そう言ってきたのは、ここの店長さんの東雲紫さんだった。
「あ、おはようです」
「今日は早いですね、まだ誰も来てはいませんよ?」
「そうですか?まあこんな日もありますよ、じゃあ、自分は着替えてきますね?」
「あ、今日はまだ着替えなくていいですよ?皆が集まってから、言いたい事があるので、ちょっと着替えるのは待ってくれませんか?」
「あ、はい、分りました」
言いたい事って何だ?まあ、気にはなったが
俺は、店長の言うとおり、待つ事にした。
数分後、おはようございます~と言ってやってきたのは
同じバイト仲間の桐谷佐奈さんと
俺の親友の栗谷美鈴だった。
「あ、まこ~おはよう、今日、早いね?」
「まこさん、おはようございます」
「今日は、早く起きたからね、早く着いたんだよ」
「ふ~ん、そうなんだ?なら私を誘ってよ?一緒に行こうと思ってたのにさ?」
「別にいいと思うけど?」
「あ、それより玲ちゃんは?まだ来てないの?」
「今日は、玲は体調悪いらしくて、来れないと言っていたから、今日は来てないわ、じゃあ皆、集まった事だし、言う事があるから言うわね?今日は、コスプレデーにしようと思うのよ、で、衣装を用意したんだけど、ちょっと選んでくれないかしら?」
そう言って、店長は、一端奥の部屋に行って、戻ってきた。
手に、数着の衣装を持っている。
「この中から選べって感じですか?」
「まあ、そうなるわね?ちなみに衣装は、魔女服、巫女服、水兵服の三つよ?どれがいいと思う?」
何で、その三つなんだ?それに、これ……サイズあってるのか、疑問なんだが……
「あ、じゃあ私は、魔女服で~佐奈はどうする?」
「そうですね・・・私は、ちょっと巫女服着てみたいかな……と、思います、まこさんは、やはり水兵服ですか?」
「あ、それ絶対似合うよ!まこ、それにしなよ!」
なんか勝手に決められてるんだが……
とりあえず、俺はどれにしようか悩んだ。
魔女服、背の高い俺が着てどうなるんだ?うん……想像してみる……
やっぱ無理、というか絶対に似合わないと思う。
じゃあ巫女服はどうかと言われても、こういうのは長髪の髪の方が似合うと思うし……
それに、なんか恥ずかしい、無難な所で水兵服か?と思って、俺は
「じゃあ、水兵服にする」
そう言ったのであった。
「じゃあ、決まりですね、今日はコスプレデー、れいれいは魔女服、さ~なは巫女服、まこさんは水兵服を着てください」
「店長は何を着るんです?」
「私は、これに決めています」
そう言って、取り出したのは、スーツだった。
「私は、女教師スタイルにしたいと思います、じゃあ早速着替えましょう」
そう言って、俺達は、用意された服に着替える。
数分後、着替え終わって、よく見てみると、サイズぴったりだった。
どうやってサイズを知ったのか
ちょっと怖かったが、まあ気にしない事に決めた。
「お~やっぱりまこ、似合ってるね~」
「そういう美鈴こそ、似合ってるんじゃない?」
「お?そう見える?ありがとね?そう言ってくれて佐奈も似合ってるよ~」
「あ、ありがとうございます」
「皆、着替え終わったわね?じゃあ、早速お店を開くわよ、今日も元気に頑張りましょう」
「はい、わかりました」
「りょ~かい」
「今日も一日、頑張ります」
こうして、俺のいつもと変わったバイトが、始まったのであった。
「すいませんー」
「あ、はい、ただいま承ります」
働いてて思ったこと、なんか客層が分かれてるって感じがした。
美鈴を呼んでるのが、主に男ばっかりで
眼鏡をかけてる奴がほとんどだった。
佐奈さんを呼ぶ奴は、これも男で、何故か手に
カメラや紙袋を持っていたりしているので
これは完璧にオタクに分類される奴だとは思う。
で、店長を呼んでる奴は、男女両方呼んでいて、普通だとは思われたが
客の顔を見てみると、赤らめていたり
恍惚な表情を浮かべてる奴がいたりして
普通ではない感じがした。
で、俺を呼ぶのはと言うと、ほとんど女というか……ほぼ女だった。
まあ、前から女しか呼ばれなかったけど、これは変わらないのか?と、思ったほどである。
「ご注文は何でしょうか?」
「天使の微笑み、お願いします、あと……」
「天使の微笑みですね、あとはなんですか?」
「付き合ってる人がいるかどうか、教えてください!!」
「は……?え~っと、今はいませんけど……」
「じゃ、じゃあ私の付き合ってください!!」
うん、こう言われるのこれで、七回目だった。
なんでこう、女ばかりにモテルと言うか、こう言われるんだ……?
やっぱりこの服装のせいか?とか、思ってしまった。
「すいません、それにはお答えできないです、天使の微笑みですね?では、お待ち下さい」
俺は、そう言って、厨房に入って
天使の微笑み=ショートケーキを持ってきて
さっきのテーブルに戻ってこう言う。
「お待たせしました、天使の微笑みです」
「私と付き合えませんか……?」
「付き合えません、でもこのお店に来てくれて、ありがとうございますね?自分が言えるのは、それぐらいです」
そう言って、俺はとびっきりの笑顔でそう言う
言ってきた客は放心したのか、動かなくて、なんだかぼ~っとしている。
うん……これでよかったのか?とか思ったが、仕事に戻る事にした。
そして、また客に呼ばれて、行ってみると
「こんにちは、まこさん、今日は一段とかっこいいですね」
そこにいたのは、汐崎美咲の
従姉の汐崎茜さんだった。
「あ、ありがとうございます、ご注文は何ですか?」
「じゃあ、天使の微笑みで」
「かしこまりました、では、持ってきますね」
そう言って、俺は、再び厨房に入って、天使の微笑みを持って行った。
「お待たせしました、天使の微笑みです」
「ありがとう、あ、そうだ、まこさんに教えるわね?私ね……漫画家デビューしたのよ、あなたをモデルで書いて投稿してみたら、佳作に受かってね?で、連載持つ事になったわ、これもあなたのおかげよ?ありがとう」
「あ、そうなんですか?おめでとうございます」
「だから、私の作品、読んでみてね?週間連載だから、来週から載る予定よ」
そう言って、茜さんは俺に、連載することになった雑誌の名前を言う。
「わかりました、暇があれば読んでみますね?」
「うん、ここにちょくちょく来る事になると思うから、読んだら感想聞かせてね?」
「あ、はい」
そう言って、茜さんはショートケーキを食べ終わって、店から出て行った。
そして、時間が過ぎて、バイト終了時間になったので
俺はあがらせてもらって、私服に着替える。
「じゃあ、お疲れ様です」
「お疲れ様、まこさん、来週もよろしくね?」
「はい、わかりました」
俺は、店長にそう言って、家へと帰って行った。
家に帰ると、既に妹の亜季が帰っていて、こう言ってきた。
「ねえ、お姉ちゃん?」
「何?」
「この週刊誌に来週載る「ヒロイックストーリー」って漫画なんだけど、このキャラ、お姉ちゃんに似てない?というか、そっくりなんだけど?」
そう言って、週刊誌を俺に見せる。
それを見てみると、確かに俺にそっくりだった。
作者を見てみると「AKANE」と書かれてある。
お店で茜さんが言ってたのは、これの事か……と、俺は思った。
「この作者の人、知ってるの?お姉ちゃん」
「さあ、どうかな~」
「え~教えてよ~」
そう会話しながら、夕食を取って、寝る事にした。
こうして、俺の一日が終わったのであった。




