~第二十三話~
季節もすっかり、秋になり
ちょっと肌寒くなってきた頃
俺は、いつものように学校へと向かっていた。
いつもと同じ通学路を歩いて、俺の通っている山野辺高校にたどり着く。
校舎の中に入り、上履きに履き替えて、自分のクラスの中へと入る。
中に入ると、数人いる程度で、そんなに騒がしくはなかった。
そして、時間が過ぎて、チャイムが鳴り
担任の朝崎翠先生が、やってきて、こう言う。
「みんな、おはよう、さて、もうすぐ体育祭だが、この時間で、何の競技に出るか、決めたいと思うぞ、じゃ~委員長、よろしくな」
「は、はい」
そう言って、このクラスの委員長
西崎彩香が、黒板の前に出た。
「先生が決めろと言ったので、じゃあ早速決めたいと思います、先生、種目は何ですか?」
「そうだな、決めるのは、百メートル走、クラス対抗リレー、借り物競争、障害物競争ぐらいかと、思うぞ」
「わかりました」
そう言って、委員長は、黒板にチョークで、書き込む。
「では、早速決めたいと思います、百メートル走に出たい人」
委員長がそう言うと、数人の男女が手を挙げた。
それを見て、委員長が黒板に名前を書く。
「はい、じゃあこれでいいですね、では、次にクラス対抗リレーのメンバーを、決めたいと思います、誰か、希望する人、いませんか?」
委員長がそう言うと、これもまた、数人の男女が手を挙げる。
ちなみに、俺はと言うと、その光景をぼ~っと見ているだけである。
「じゃあ、これで決まりですね、次は、借り物競走のメンバーを決めたいと思います、やってみたい人いませんか?」
借り物競走ね……なんか楽しそうだな……と、思い
とりあえず希望する事にして、手を挙げた。
「はい、南山さんですね、借り物競走は南山さんっと」
そう言って、委員長は俺の名前を書く
すると、はいっと手を挙げた者がいた。
「私も、やってみたいです」
そう言ったのは、このクラスでアイドル的存在の
汐崎美咲だった。
「じゃあ、汐崎さんも参加希望ですね?」
「はい、私も借り物競走に立候補します」
「わかりました、先生、借り物競走の人数って、何人ですか?」
「え~っと、そうだな、確か二人だったかな」
「じゃあ、他に希望する人もいませんし、これで決まりですね?よろしいですか?」
「はい」
「じゃあ、これで決まりました、次に障害物競争のメンバーを決めたいと、思います」
そう言って、障害物競争のメンバーを決めたのであった。
障害物競争には、俺の親友の栗谷美鈴と
演劇部の有栖川美紀子が、出るみたいであった。
こうして、体育祭に出るメンバー、全て、決まったのである。
そして、時間が過ぎて、放課後
帰ろうと、用意していると
「まこ~」
話しかけてきたのは、美咲であった。
ちなみに、ちょっと苦手なのである。
まあ、なぜ苦手なのかは、前に手紙をもらったからである
「な、なに……美咲さん……」
「私、まこと一緒の競技に参加したくて、同じ競技に立候補したんですけど、駄目だったですか……?」
「い、いや……自分としては、駄目じゃあないよ?」
「よかった……まこ……一緒に、頑張りましょうね?」
「う、うん」
そう話していると、美咲を呼ぶ声がした。
「あ、呼んでますので、私は行きますね?私、まこの事、諦めてませんから、では……」
「さようなら……」
そう言って、俺の傍から、美咲が離れて行った。
俺は、まだ諦めてなかったのか……と、思いながら
家に帰る事にしたのであった。
体育祭に何に出るか決めて、そして、体育祭当日
その日は快晴で、雨なんか全く降る事は無かった。
俺は、体操着に着替えて、校庭へと出る。
校庭には、既に他のクラスも集まっていて
結構な人数になっていた。
そして、校長先生の話が入る。
「え~本日もお日柄もよく、絶好の体育祭日和となりました、皆さん、頑張って、いい体育祭にしましょう」
とか言っていた。
そして、競技が始まったのである。
最初に始まったのが、百メートル走だった。
俺は、この競技に参加していないので、観戦する事に決めた。
他の選手の走りを見ていると
「まこ~」
いつの間にか、隣にいたのか
親友の栗谷美鈴が、話しかけてきた。
「何?美鈴」
「今日、晴れてよかったね?」
「まあ、そうかな」
「ところで、まこの家族って、応援に来てたりするの?」
「さあ?朝、出る時に、妹は「絶対見に行くからね?」と言ってたけど、母さんは「仕事が終わったら、みにいくわ」とか言ってたかな、そういう美鈴は、どうなの?」
「私?ほら、あそこにいるよ?」
そう言って、美鈴は、指差す。
その方向を見てみると、美鈴の家族らしき人が
こっちに気がついて手を振った
「あれって……美鈴のお姉さん?えらく美鈴に似てるというか、双子?」
そう、その手を振った人物を見てみると、美鈴そっくりだった、髪型も身長も同じぐらいなので、これは、間違えるのではないか?と、思われるほどである。
「双子じゃないよ?あれは、私のお母さんだよ~」
「嘘……」
「嘘ついてどうするのさ?」
「思いっきり、双子に見えるんだけど……マジで?」
「マジだよ~」
ある意味凄いな……と、俺は、思ってしまった。
そして、プログラムも進んで、お昼休憩になった。
ちなみに、この体育祭は、色別で対抗しているので、俺達は赤組
後輩の東雲玲は、どうやら白組みたいであった。
お昼は、教室か外で、食事休憩にしようかな?と思っていたら
「お姉ちゃん~」
俺に、声をかけてきたのは、妹の亜季だった。
隣に美鶴母さんもいる。
「真琴、来てあげたわよ~」
「お姉ちゃん、お姉ちゃんの分のお弁当、作ってきたから、一緒に食べよ?」
「分かった」
俺は、そう言って、家族と合流して、食事にする事にした。
食事をしていると、ひそひそと何か聞こえる。
「なんか、聞こえるんだけど……」
「多分、お母さんを見て言ってるんじゃない?ほら、お母さん、女優だしさ?」
確かにそうかもな……美鶴母さん、全く変装とかしないで、来てるから
女優の美鶴って、バレバレなのだと思った。
よく見てみると、母さんに「サイン下さい!」とか言っている生徒までいたし
母さんは「あらあら~」とか言いながら
きちんとサインとか書いていたりしていた。
そして、食事も終わり、午後のプログラムを確認していると
「お姉ちゃん、お姉ちゃんは何に出るの?」
そう聞いてきたので
「自分は、借り物競走に出る事に決まったよ」
「そうなんだ、お姉ちゃん、頑張ってね?」
「真琴、私も応援してるから、頑張りなさいよ~」
「分かったよ」
そう言って、家族から離れて、自分のクラスがいる場所に向かった
そして、体育祭午後の部が、始まったのである。
午前の競技が全て終わって、途中結果はと言うと
若干、白組優勢で、赤組は負けているのであった。
そして、午後の競技が始まった。
俺が、出る事になっている競技は、借り物競走で、その出番を待つ。
そして、プログラムが進んで、借り物競走の競技に入り
俺は、競技に参加するので、並んだ。
俺の他にこの競技に出るのは
「まこ、頑張りましょうね?」
そう言ったのは、俺のクラスでアイドル的存在の
汐崎美咲だった。
「う、うん」
俺は、この汐崎美咲の事、ちょっと苦手なのである。
まあ、理由は手紙をもらったからであるのだが……
そして、競技が始まり、俺の番になったので、用意する。
「位置について、よ~い、ドン!」
そう聞こえてきたので、走り出す。
走って、落ちている紙に書かれているのを見て、困惑した。
紙に書かれてあった内容はと言うと「好きな人」であったからである
……一体、どうしたらいいんだ?別に今の所、好きな人=男はいないし、かといって女が好きという訳でもないし……親友の栗谷美鈴でも連れていくか?でも、紙見られたら、誤解を生みそうだよな……とか悩んで、結局俺はと言うと
「亜季!」
「な、何?おねえちゃん?」
「一緒に来て!」
「う、うん」
結局、俺は妹の亜季を連れて、ゴールする事にした。
ゴールして、紙を審判に見せたら
なんかいい笑顔で「はい、OKです」とか言われた。
何がOKなんだ?もしかして、俺ってそう言う趣味があるとか思われてるんじゃないだろ~な……とか、思ってしまうじゃないか……
「ねえ?お姉ちゃん」
「な、なにかな?」
「一体、その紙になんて書いてあったの?」
「え?え~っと……家族かな?」
「そう?なんか、別の事書いてあったんじゃない?」
「いやいやいや!そんな事はないよ?」
「なんかあやしいな~?」
妹の視線が物凄く痛かったが、なんとか誤魔化す事に成功した。
そして、借り物競走も無事になんとか終わって
結果はと言うと、赤組が逆転したのであった。
そして、障害物競争が始まった
これに参加するのは、美鈴と演劇部員の有栖川美紀子だった。
「今、赤組が勝ってるから、そのまま逃げきろ~ね?栗谷さん?」
「そうだね~、まこ?応援よろしく~」
「あ、ああ、分かった」
なんかこの二人、似てるな……性格か?行動とかが結構似ているのか?とか、俺は、思っていた。
そして競技が始まり、結果はどうなったのかと言うと
美鈴がこけて、タイムロスになり、白組に逆転されたのであった。
戻ってきた美鈴はと言うと
「なはは……失敗しちゃった~」
全く反省してないというか、かなりお気楽だった。
ま、美鈴だからしょうがないか……とか、自分で納得する事にした。
そして、最後の競技、クラス対抗リレーが始まって
俺は参加者じゃないので、それを観戦
結果は白組の勝ちに決まったのであった。
計算してみたら、美鈴がこけなかったら
そのまま赤組の優勝が決まったのが、あとになって分かったが
皆、誰も美鈴の事を責めるという事はなく
ふつ~に終わりを迎えたのである。
体育祭の後片付けをしていると、担任の翠先生が
「みんな、おつかれ、差し入れに全員分のジュースを持ってきたぞ、まあ、受け取ってくれ」
そう言って、手に持っているかごに確かに、ジュースが入っていた。
俺は、その中から一本受け取って、飲み干す。
「とりあえず連絡事項だが、明日は学校が休みになったぞ、何でも体育祭頑張ったご褒美らしい、皆、十分に休んでくれな、それで、明後日から普通の授業だから、忘れんように」
それを聞いて、俺は明日何しようかな……とか、考えたのであった。
こうして、俺の体育祭は、終わりを迎えたのであった。




