~第十六話~
夏休みの最中、俺は、家で出された宿題をしていた。
夏休みも、後半に入ったのでそろそろ、やっとかないと……と、思ったからである。
朝から、ず~っと宿題と格闘していると、妹の亜季が、話しかけてきた。
「お姉ちゃん」
「何? 亜季」
「今日ね、ニュースでやってたけど、流星群が見られるんだって」
「流星群?」
「うん、流れ星の大群が見れるって言ってたよ?」
流れ星の大群か……それは、凄そうだな……
「だから、お姉ちゃん? 今日、一緒に見に行こうよ?」
亜季がそう言って来たので、俺は、どうしようか迷ったが、断るのもなんだし、Okする事にした。
「判ったよ、所で何所に見に行くの?」
「よく見えそうなのは、大和山かな? そこの頂上だと、よく見えると思うよ?」
大和山か……大和山といえば、家からだと、歩いて一時間ぐらいで、たどり着く場所だったな……確か
「じゃあ、そこにする?」
「うん、私、お弁当とか作って、用意するね?お姉ちゃんは?」
「自分は、宿題があるから、それを終わらせたら、準備するよ」
「判った、じゃあ、早速お弁当の準備してくるね?」
そう言って、亜季は、笑顔で、俺から離れて行く。
うん、本当に嬉しそうだな……って、思った。
とりあえず、俺は、宿題を終わらす作業に戻る。
ず~っと、書いてるせいか、指とか肩とか痛くなってはいたが、何とか全ての宿題を終わらせる事に、成功した。
宿題が終わったので、俺は、出かける準備をする。
星を見るという事は、必要なのは、よく見えるように、双眼鏡とかかな? とか、思っていた。
そして時間が過ぎて、夕方。
手持ちのバックに必要な物を入れて、準備万端だった。
亜季も、準備が出来たらしく、こう言って来る。
「お姉ちゃん、準備できたよ」
「こっちも、準備できたよ、ところで、流星群って、何時ぐらいに見えるの?」
「ニュースで言ってたのは、夜の8時ぐらいから、見えるって言ってたよ?」
「そうなの、じゃあ、今から行けば、間に合うね?」
「うん、十分間に合うよ?」
「ところで母さんは? 朝から、見かけなかったけど」
「お母さんは、ドラマの撮影が入って、朝早くから出かけて行ったよ? お姉ちゃん、寝ていたから、知らなかったんでしょ?」
「まあね……」
「たまには、休みでも早起きした方がいいと思うよ?」
「まあ……努力はしてみるよ、じゃあ、準備できたし、早速行こうか?」
「うん!」
こうして、俺と亜季は、大和山に向かう事にしたのであった。
大和山は、そんなに高い山ではなく、登山客にも人気があり、頂上は、空気が美味しく、自然豊かな光景が広がっている場所でもあった。
俺と亜季は、家から一時間歩いて、その大和山を目指す。
山の天気は変わりやすいと言えば、そうなのだが、この日は、そんな心配はなく、快晴だったので
スムーズに行けたのであった。
そして、一時間歩いて、無事に大和山に到着した。
辺りを見渡してみると、すでに何人かは集まっていて、望遠鏡やら、機材をセッティングしたり、食事しながら語り合っている者もいた。
「お姉ちゃん、なんかお腹すいたから、もう食べよう?」
「そうだね?歩いて、ちょっと疲れたし、食べよっか?」
「うん」
そう言って、レジャーシートを地面に敷いて、亜季は、お弁当箱を取り出す。
中身は、カレーが入っていた。
何故カレー? と思ったが、せっかく亜季が作ったんだし、文句を言わないで、それを食べる。
「美味い!、亜季、美味しいよ?」
「よかった、結構時間かけて作ったんだ、よろこんで貰えて嬉しい!」
そう話しながら、カレーを食べる。
全部食べ終わって、しばらく休憩していると、八時になったので、周りが騒ぎ出した。
「お姉ちゃん、もうすぐ来るよ!」
「そうみたいだね」
そう言って、俺と亜季は、夜空を見上げる。
双眼鏡とかを使い、じ~っと、見ていると、数分後、星の流星がいっせいに動いて、幻想的な夜空を映し出していた。
「凄い綺麗~!」
「ほんとだ!」
そんな光景が、数分間続いて、唐突に終わりをむかえたのであった。
流星が終わってから、亜季が俺に、こう言って来た。
「お姉ちゃん、何かお願い事した?」
「いや、してないよ? 亜季は?」
「私はね……お姉ちゃんとず~っと、一緒にいられますようにって、願ったよ?」
それは……よろこんでいいのか、微妙なんだが……
「そ、そう……じゃあ、星も見たし、遅くなるとまずいし、帰ろうか?」
「うん、お姉ちゃん」
そう言って、俺と亜季は、大和山を下山する事にした。
家に帰ると、美鶴母さんが
「今日は流星群が見れる日だったわね? 家にいなくて、何所に行ったか?と思ったけど、星を見に行ってたのね?私も行きたかったわ……」
とか、愚痴を零していたのであった。
流星群を見に行った次の日、夏休みの宿題も全て終わったし、何所も行く予定も無いし、朝から、美鶴母さんも、妹の亜季もいないので、一人でいるのである。
さて……何をしようかな? と思い、とりあえずテレビをつけてみると
いきなり、母さんが現れて、驚いたのであった。
「オホホホ!勝負よ!、カイザー!」
どうやら、天空カイザーVSデルウイングの、再放送をやっているみたいである。
ちなみに、母さんの役は、冷笑のミレイユと言う役で、実は、このドラマに、レキとして、俺も参加しているのであった。
何か……見るのも恥ずかしいので、テレビを消す。
次にどうしようかな? と思って、とりあえず……ぶらぶらと出かける事にしたのであった。
家の鍵を閉めて、外に出る。
外は、快晴でかなり暑いと言うか、暑かった。
汗がかなり出るので、自販機で飲み物を買って、飲み歩く。
しばらく歩いていると、山野辺商店街に、辿り着いていた。
山野辺商店街と言うだけあって、かなり賑わっていて、人も多くいた。
そんな人ごみの中を歩いていると
「あ、まこ、お久しぶりです」
そう話しかけてきたのは、俺のクラスメイトで、俺に手紙を送った人物。汐崎美咲だった。
「お、お久しぶり」
「この夏休みの間、会えて嬉しいです……」
そう赤らめて言う、何故、彼女がそうなっているのかと言うと、俺の事が好きだからである。
俺は、ちょっと困っていた。
「そ、そう……」
「ところで、まこは一体何をしてなんですか?」
「ただ、適当に歩いてるだけだよ、目的とかはないかな」
「そうなんですか……私も、一緒に行きたい所だけど、行く所があるので、残念です……それじゃあ」
そう言って、美咲は、俺から離れて行く。
用事って何だ? と、思ったが、深く追求しない事にした。
しばらく歩いて、とりあえず、涼みに建物の中に入る。
建物の中に入ると、その中にゲームセンターがあったので、そこに入る事にした。
店内は、色々なゲーム機が置いてあって、クーラーが効いていて、かなり涼しく、感じられた。
その店内を移動していると、格闘ゲームに熱中している、俺の親友の栗谷美鈴とその反対側で、対戦相手をしている、ラブ喫茶アイライクの店長、東雲紫さんがいた
「美鈴、やるわね?」
「紫も、なかなかだよ? でも、私のウルトラコンボには敵わないんじゃない?」
「っふ、そういうなら、私のトリックコンボを食らわせてあげるわ」
「お~言うね?じゃあ、戦闘開始だよ!」
「望む所よ!」
うん、盛り上がってるな……ここは、邪魔しないで、退散しとくか……
そう思い、声をかけずに移動しようとすると
「あれ? まこ先輩?」
そう、話しかけてきたのは、紫さんの弟の東雲玲だった。
今日は、ウイッグをつけていなく、普通に男の子に見える。
「玲?」
「はい、そうですよ?って何で疑問系なんです?」
「いや……ウィッグつけてないから」
「僕、そんなに、付けてませんよ……あれは、仕事の時だけですって……」
「そうなんだ、あ、じゃあ今日は、遊びに来てるの?」
「はい、今日はアイライクの店舗改装日なので、姉さんと美鈴先輩と、遊びに来てるんです、姉さんと美鈴先輩に会いませんでしたか?」
「さっき会ったよ、対戦ゲームやってたけど……」
「そうですか、じゃあ……まこ先輩も一緒に遊びません?姉さん達、呼んできますけど?」
俺は、どうしようか迷ったが、まあ暇なので
「分かった、遊ぶ事にするよ」
そう言っていた。
「分かりました、じゃあ行きましょう」
そう言って、二人で美鈴達が、対戦している台へと行く。
台に行くと
「私の勝ちね? 美鈴~」
「く、くやしい!」
どうやら決着が、ついたみたいである。
「姉さん、まこ先輩が、いましたよ」
「あ、まこさん、いたんだ?」
「まこ~、一緒にあ~そ~ぼ~」
何で美鈴は、子供が言いそうな事を言っているんだ?
「二人とも仲がいいね?」
「まあね、何か紫と話が合うし?」
「私も、そうね、美鈴と話、合いますし」
二人で、ね~とか言っている。
うん、とりあえず……話が合うって何だ?
気にはなったが、気にしないでおく事にした。
こうして、四人で遊ぶ事にしたのであった。
最初にやったのは、四人で遊べるレースゲームで、写真を撮って、それをプレイヤーの顔に出来ると言う代物で、各自写真を撮って、レースゲームをやった。
結果は、美鈴が一位で、紫さんが2位、俺が三位で、玲がビリだった。
そんな感じで、遊んでいると、暗くなったので、皆と別れて、俺は、家に帰る事にした。
家に帰ると、亜季が既に帰っていて、食事の用意をしていた。
俺も、少しは手伝おうと思い、亜季に「手伝おうか?」と言うと「お姉ちゃんはじっとしてて? 私が、お姉ちゃんのを作りたいから」
そう言ったので、お皿の用意だけをする事にしたのだった。
食事が出来て、美鶴母さんも帰ってきて、三人で食事をする。
いつもは、妹の二人だけの食事だったので、今日はなんか新鮮な感じがした。
食事が終わり、風呂に入って、自分の部屋に戻り、寝る準備をしていると、亜季がやって来て「一緒に寝ていい?」と言って来た。
俺は、別に断る理由もないので
「いいよ」
と言って、亜季を部屋に入れる。
何故か母さんも「ずるい~私も真琴と一緒に寝るわ~」とか言ってきたので、結局三人で、寝る事になったのであった。
こうして、俺の夏のある一日が、終わった。