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俺の非日常な日々  作者: 零堵
~一年目~
13/83

~第十三話~

俺は、ちょっとうかれていた。

何故かと言うと、今日学校行って、明日から夏休みに突入するからである。

一か月以上の休みがあって、まあ……部活やってるやつは、夏休み中も学校に行くかも知れんが

俺は、部活は入っていなく、帰宅部なので、まるまる一カ月は休み確定?って感じなのである。

そんなわけで、いつものような時間に起きて、着替えて外に出る。

そして、いつもと同じ時間に、俺の通っている高校。山野辺高校に辿り着く。

そして校舎の中に入り、上履きに履き替えて、自分のクラスへと向かう。

クラスの中に入ると、ちょっと騒いでいた。

主に騒いでいたのは、男子で「美咲様と一カ月以上も会えないなんて!」とか「美咲様に毎日会いたいぜ!」とか言っていた。

それに対して、クラスメイトの汐崎美咲しおざきみさきは「あはは……さみしいのはわかるけど、また二学期会えるんだから、落ち込まないで?」とか言っていた。

それを聞いて「はい、了解です!美咲様!」とか言っている。うん……いいのか? こんなんで……

そう思って自分の席につく。

今日は、閉会式だけなので、鞄の中には、何も入れてなかった。

机の中に入ってる教科書とかを鞄の中に入れる。

そういう作業をしていると、キーンコーンとチャイムが鳴って、担任の朝崎翠あさざきみどり先生がやってきて、こう言う

「あ~お前ら、明日から夏休みだ~、休みだからと言って、ハメを外して、はしゃぎ過ぎるなよ?あと、犯罪とか犯して、学校に連絡というのもやめてくれよな、ま、それじゃ、校長の長~い無駄話があるから、体育館に集合な?」

翠先生は、そう言って教室から出ていく。

俺は、先生に言われた通りに、体育館に向かう事にした。

体育館の中に入ると、閉会式という垂れ幕があり、もうすでに全学年の生徒が集まっていて、きちんと並んでいた。

俺のクラスも、その列に参加して、きちんと並ぶ。

数分後、校長先生が壇上にあがる。

「え~明日から夏休みに入る、嬉しいのはわかる、わかるぞ? 誰だって休みは嬉しいからな?まあ、ワシだって休みだったら家族に甘えて、家でのんびりと行きたい所じゃ、それなのに学校に行きなさいだと?全く……先生というのも面倒なもんなんじゃな……」

そんな事を言っていた。

こんなんでいいのか? 一応、この学校のトップだろ?

そんなグダグダな会話も終わり、連絡事項も特に無いみたいだったので、閉会式は、意外にすんなり終わったのであった。

教室に戻り、持って帰る物は、鞄に入れて、帰り支度をしていると

「あ、まこ……」

そう言ってきたのは、俺のクラスメイトの美咲だった。

どうもこの子、ちょっと苦手なんだよな……まあ、理由は色々とあるんだけど

「え、えっと……何?」

「いつになったら私を彼女にしてくれます……?」

いきなり爆弾発言しましたよ!?

まあ、何故彼女がそう言ってくるのかというと、俺に手紙を送ったからである。

普通の男なら「よろこんで!」とか言うのだが……俺は、違っていた。

まあ、彼女と同じ、同姓、つまり俺も女だし……

「彼女って……断っちゃ駄目?」

「!私の事、嫌いなんですか?」

「嫌いか好きかと言われたら、どっちでもないんだけど……」

「じゃあ、私にもチャンスはまだあるって、事ですよね?私、諦めませんから」

「……そ、そう……」

俺は、そう言うしかなかった、他にどう言えと?

こうして、俺の一学期最後の日は、終わりを迎えたのである。

うん……何も解決していないのは、気のせいだと思いたい……


次の日、俺は、とある場所に来ていた。

その場所というのは、山野辺撮影所と呼ばれる、ドラマとかバラエティー番組を作ったりしている場所である。

何で、俺がそこに来ているのかというと……

「許さないぞ!デルウイング!俺達が相手になってやるぜ!」

「は~い、カット、まこと君、なかなかいいよー」

「あ、ありがとうございます」

そう、俺は、二時間スペシャルドラマ、天空カイザー、カイザーVSデルウイング」に、役者として出演しているのであった。

何故俺が、このドラマに出演しているのかというと……事の始まりはこうだった……


山野辺高校が閉会式をやって、次の日、夏休みに入ったので、何しようかな……と考えていた所、母親の南山美鶴みなみやまみつる母さんから、こう言われたのであった。

「真琴、今日から夏休みでしょ?」

「うん、まあそうだよ」

「じゃあ、私の仕事手伝ってくれない? 丁度、真琴にぴったりの役があるのよ」

母さんの仕事は、女優なので、そういう仕事が入ってくるのである。

「自分にぴったりの役?」

「うん、断るわけないわよね? 真琴?」

「……う、うん」

「なら、ついてきなさい、あ、亜季あきはお留守番ね?」

「えーー私も行きたいよーー」

「だ~め、いい子にしてるのよ?」

「は~い、解りました……」

そう言って、母さんに連れられて、たどり着いた場所は、山野辺撮影所だったのである。

そこで控室に案内されて、メイクさんに化粧させられて、スタイリストに衣装を着せられて、出来上がったのが、天空カイザーに出てくるレキの格好をした俺だったのであった。

前にコスプレで、レキの格好をした事があるから、なんか……近視感デジャブを感じたのであった。

俺は、母さんに問い詰める。

「母さん、この衣裳って……」

「あなたの役名はね? 天空カイザーの仲間の、レキと言う役よ? はい、これ台本ね?」

そう言って、母さんは台本を俺に渡す。

「あ、ありがとう……って、そうじゃなくて、仕事ってドラマの手伝い?」

「っそ、丁度この話が入って来た時、キャスト、ほとんど決まったのはいいけど、レキ役だけは、なかなか決まらなかったのよ、で、資料を見てみたら、なんか……真琴そっくりじゃない? だから、連れてきたのよ? 分かった?」

「そう……あ、じゃあ、母さんの役は?」

「私? 私はね? 悪の首領、デルウイングの部下、冷笑のミレイユとか言う役よ?」

「そうなんだ、ところで……何で冷笑?」

「さあ? 台本にそう書いてあるから、そうなんじゃないの?」

「そう……」

とりあえず、俺は深く考えない事にした。

そして……冒頭のシーンに戻るのである。

俺は、台本に書かれてあった通りに、台詞を言う。

少々駄目だしは食らったが、何とかやれてる感じであった。

ドラマの撮影が順調に進んで、休憩時間に突入して、母さんと一緒に休んでいると

一緒に共演している役者さんが話しかけてきた。

「美鶴さん、お疲れ様です」

そう言ったのは、天空カイザーの主役、カイザー役の暮見翔くれみかけるであった。

この暮見翔……アイドルかな? とか思うけど、俺は、テレビで全く見てないな……

「お疲れ様、翔君も主役、大変じゃない?」

「ええ、ちょっと大変ですが、やる気はありますよ? えっと……美鶴さん、美鶴さんが連れてきた人って」

「ああ、真琴の事? 真琴は、私の子よ、真琴、挨拶しなさい」

「了解、南山真琴です、よろしく」

「まことかー俺は、暮見翔、翔でいいよ? 俺も、まことって呼んでいい?」

「はい、いいですよ」

「じゃあ、まこと、まだ撮影続くけど、お互い頑張ろうぜ?」

「そうだね」

「じゃあ、俺は他の人に挨拶していくな?じゃな」

そう言って、翔は、俺から離れて行った。

「母さん、もしかしてさ?」

「何? 真琴」

「自分の事、男だと思ってるのかな? 翔の奴」

「多分そうなんじゃないかしら? まあ、レキって男だしね?男がやってると思ってるんじゃない?どうする?翔君に真琴の本当の性別、話す?」

「いや、いいよ、なんか面倒だし」

「そう?じゃあ、私からは言う事はないわね、あ、休憩、終わるみたいよ?」

そう言って、再び撮影がスタートした。

俺は、レキ役なので、台本に書かれてある台詞を言う。

「カイザー!助太刀するぜ!」

「レキ!……分かった、頼む!」

「ああ、行くぞ!黒の黒剣!黒いダークジェノサイドブレード!」

「カーット!OKです!」

うん……なんか恥ずかしい、普段こんな台詞言わないしな……

こうして、撮影が進み、今日の分は終了したので、母さんと一緒に、家へと帰る事にしたのであった。

次の日も、撮影があるらしく、俺は、母親に付き添って、撮影現場へと向かった。

撮影場所は、山野辺撮影所と呼ばれる場所で、行われていて、俺と母さんが、その撮影所に入ると、すぐに控室に案内されて、メイクさんにメイクさせられて、スタイリストに衣装を着せられて、俺と母さんは控室を出る。

撮影現場に向かうと、既に役者の何人かは、集まっていて、打ち合わせをしていた。

その中にいた、一人が俺達に声をかけてきた。

「おはようございます、美鶴さんにまこと」

そう話しかけて来たのは、天空カイザーの、カイザー役の暮見翔くれみかけるであった。

「おはよう、翔君」

「おはよう」

「まこと、今日もお互い、がんばろうぜ?」

「そうだね」

俺は、そう言った。

そして、撮影が始まって、台本通りに台詞を言う。

「カイザー!ここは、俺に任せろ!」

「でも、レキ!大丈夫なのか!?」

「大丈夫だ!任せろ!」

「カ~ット!はい、OKです!翔君もまこと君もミスが無くて、助かります、では、次に美鶴さん、お願いします」

そう、監督が言う。

「はい、分かりました」

「では、シーン12、アクション!」

そう、監督が言うと、母さんが演技をする。

「オホホホホホ!カイザー!わたくしの前に、ひれ伏すがいいわ!」

母さんの役は、デルウイングの手下の、冷笑のミレイユと言う役だった。

うん……聞いてて思ったけど、母さん……なんかハマりすぎ……

家では聞いた事が無かったけど、なんか似合ってるって感じがするなあ……

「ッく!おのれミレイユ!……だが!この程度で俺はやられたりはしないぞ!」

「カ~ット!はい、OKです!、では、ちょっと休憩にしましょう」

そう、監督が言う。

監督の言葉を聞いて、俺達は休憩する事にした。

休憩中、俺に話しかけてくる者がいた。

「えっと、まことさんですよね?」

「そうだけど」

「私、今日から入る事になった、蓮城麗華れんじょうれいかと申します、よろしくね?」

「よろしく、え~っと、蓮城さんでいいのかな?」

「麗華でいいわ、私もまことって呼ぶし、いいわよね?」

「いいけど、じゃあ、麗華って、何の役なの?」

「私? 私はね、天空カイザーのヒロイン、アカリ役よ」

「そうなんだ、じゃあ、台詞多いの?」

「まあ、多いわね、でも頑張るつもりよ」

「そう、頑張ってね」

そう話していると、休憩終わりですーと言うのが聞こえたので、撮影に集中する事にした。

「カイザー!私も助太刀するわ」

「アカリ!頼む、レキ、大丈夫か?」

「ああ、こっちは大丈夫だ、いつでもいけるぜ!」

「ミレイユ!覚悟しろ!」

「オホホホホ!かかってらっしゃい!」

「行くぜ、天空剣(カイザーブレード!)」

「私も行くわよ!ルナティックイレイザー!」

「俺も行くぜ!黒いダークジェノサイドブレード!」

「キャアアアアアア!覚えておれ~~~~!!」

「カ~ット!はい、OKです!」

うん……疲れたというか、結構体力使うな……これ。叫び台詞あるし……

そうして、時間が過ぎて、今日の分の撮影は、無事終わったのであった。

撮影が終わったので、帰ろうとすると

「よ、お疲れ、まこと」

「お疲れ様、まこと」

俺に話しかけてきたのは、翔と麗華であった。

「お疲れ様」

「どうだった? やっぱり疲れただろ?」

「まあね……叫び台詞とかあったしね、麗華は?」

「私も疲れたわ、家に帰って休みたい気分ね」

「そうだな、俺もなんか疲れたし、家に帰って眠いから、寝る事にするよ」

「翔、あんた、いつもそうよね」

「あれ? 二人は、知り合いなの?」

「ええ、私と翔って幼馴染なのよ、翔が俳優で私がアイドルをやってるのよ」

「そうなんだ」

それは知らなかったな? どうりで仲がいいわけだ。

そう話していると、母さんがやって来た。

「真琴、帰るわよ」

「うん、分かった、じゃあね? 二人とも」

「じゃあな~まこと」

「まこと、お疲れ様~」

二人はそう言っていた。

こうして、今日の撮影は終わったのであった。

次の日も、同じ撮影場所で、役者をする事になっていて、今日で、三日目だった。

美鶴母さんと撮影スタジオに入り、控室に入って、メイクをして貰う。

ちなみに俺にメイクをしてくれる人は、中沢京子なかざわきょうこさんと言う人で、頭にいつもバンダナを巻いている、黒髪のかわいい感じの人だった。

京子さんにメイクをして貰い、衣装に着替える。

俺の服装は、男役なので、黒っぽい衣装だった。

美鶴母さん役は、昨日で終わっていたのだが、エキストラとして、メイクと衣装を変えて、どうやら……出演するみたいだった。

衣装に着替え終わって、撮影現場に向かうと、もう既に何人か集まっていて、ミーティングとかをしていた。

俺と母さんは、撮影場所に来たので、挨拶をする。

「おはようございます」

「おはよう」

「はい、おはよう、今日で、全ての撮影を終わらせる予定だから、頑張りましょうね」

そう、監督が言う。

「はい、分かりました、真琴、頑張るのよ」

「分かった」

そう言って、撮影がスタートする。

今日で、残りのシーンを取るので、いつもよりエキストラ、役者の数が多かった。

「シーン26、スタート!」

そう、監督が言うと、俺の台詞があったので、言う。

「カイザー!デルウイングの居場所がわかったぞ!」

「本当か!レキ」

「ああ、場所はここだ、準備は出来てるか?」

「俺は大丈夫だ、アカリは?」

「私もOKよ、問題は無いわ!」

「じゃあ、行くぜ!敵本陣に乗り込むぜ!」

「おお!これで終わりにしてやるぜ!」

「カーット!はい、OKです!」

うん……やっぱり、なんか恥ずかしいな

まあ普段、こんな台詞とか使わないしな……

そう言って、どんどん撮影が進み、休憩時間になったので、俺は休んでいると

「おつかれ~まこと」

「お疲れ様、まこと」

俺に話しかけてきたのは、天空カイザーのカイザー役の暮見翔くれみかけると、そのヒロインの蓮城麗華れんじょうれいかであった。

「お疲れ様」

「まこと、今日で撮影も終了だな?」

「そうだね」

「なんかちょっと寂しいけど、結構楽しかったわね」

「ああ、俺も楽しかったぜ? まことはどうだ?」

「俺?そうだな……」

確かに、ドラマの撮影は大変だったけど、何というか、まあ……

俺も楽しんで演技していたんだと思う。

「俺もそう思ったぜ」

「だと思った、今日でラストだけど、最後まできっちりやっとこうぜ?」

「そうだな」

そう話していると、監督の「休憩終了です~撮影を再開します~」

と言ってきたので、撮影がスタートした。

「フハハハハハ!よく来たな、カイザーと仲間達!」

「お前がデルウイングか!」

「いかにも!我がデルウイングだ!、カイザー!我はここでやられる訳にはいかんのだ!勝負だ!」

「望むところだ!レキ!アカリ!加勢してくれ!」

「分かったわ!」

「俺もOKだぜ!」

「行くぜ!俺達の力、見せてやる!うおおおおお!」

「な、何、この力は!ば、馬鹿な……!我が何も出来ないだと!?」

「喰らえ!究極奥技!天空爆裂剣カイザーブレードインフニティー!」

「そんな馬鹿なぁぁぁ!」

「やったな、カイザー!」

「これで世界は、平和になったのね」

「ああ、俺たちが世界を救ったんだ!」

「カーット!はい、OKです!これで後はナレーションの台詞どりだけなので、役者の皆さんは、帰っていいですよ、お疲れ様でした」

そう言われたので、俺は控え室に入ると、京子さんが

「お疲れ様です、また、真琴さんのメイクとかしたいですね?」

と言って来たので、俺はと言うと

「じゃあ、機会があったら、お願いします」と言う事にした。

京子さんにメイクを落としてもらい、私服に着替えて、母さんと合流して、家路につく事にしたのであった。家へ帰る途中。

「真琴、どうだった?」

「どうだったって?」

「ドラマよ、無理矢理誘い込んで、悪かったわね?」

「ううん、結構楽しめたし、別に問題はないよ」

「そう?さすが自慢の息子ね~」

「母さん……ナチュラルに嘘つかないでよ、息子じゃないし……」

「冗談よ、さあ、亜季あきも待ってる事だし、帰りましょう」

「うん」

そう話しながら、家へと帰っていく。

こうして、俺は、これで役者をする事はなくなったのであった。

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