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俺の非日常な日々  作者: 零堵
~一年目~
12/83

~第十二話~

季節もすっかり暑くなり、夏になったこの頃。

俺は、いつものように、高校へと向かっていた。

俺の通っている高校と言うのは、山野辺高校といって、まあ、普通サイズ? ぐらいの高校かと思われる。

季節もすっかり夏になったので、制服を着て、登校するのがちょっと辛い、まあ、汗かくしな……

朝だと言うのに、朝、テレビで天気予報を見てみたら「今日は夏日になるでしょ、日射病に気をつけてください」とか、言っていた。

うん、この暑さなら倒れるんじゃないか?

水分補給とかした方がいいかも知れない……

そう思いながら、高校に辿り着いたので、校舎の中へと入っていく。

中に入って、下駄箱から自分の上履きを取り出し、履き替えて、自分のクラスへと向かった。

自分のクラスの中に入ると、もう既に何人かはいて、他愛のないか会話をしている者や、団扇で仰いでいる者、机でぐて~っとしてる者もいた。

うん、皆も暑さで多少参ってるんだな……と思うほどである。

とりあえず俺は、自分の席に座って、鞄から教科書を取り出して、机の中へ入れる。

今日は、普段なら親友の栗谷美鈴くりやみれいとか、同じクラスの汐崎美咲しおざきみさきとかに、声をかけられるのだが、今日は全く声をかけられなかった。

そして、チャイムが鳴り、俺の担任の朝崎翠あさざきみどり先生が、やって来て、こう言った。

「今日の午後は、プールの授業を行うぞ、ちなみに水着は新品のを全員分用意してあるから、問題はない、あ~用件は伝えたから、で、一時間目は私が受け持ってるのだが、私は眠い、というか寝させろ……だからお前ら、このプリントをやっておくように、出来たら自由にしてOKだ、ただ、私の眠りを妨げるというのなら、容赦はしないぞ、では、お休み」

そう言って、翠先生は、生徒にプリントを押し付けると、どこから用意したのか、マイ枕を使って、本当に寝てしまった。

……これでいいのか……このクラスは……

まあ、この先生の言動にも、皆、なれたらしく、誰も何も言ってはいなかったのである。

仕方がないので、俺は、まじめにプリントをやるのであった。

そして、時間が過ぎて午後。

先生に言われたとおりに、俺たちのクラスは、校庭に出て、右側にある、プールに向かう。

プールの控室に入ると、中には確かに、人数分のスクール水着が用意されていた。

俺は、それに着替えて、目を消毒して、プールサイドに出る。

俺たち女子が、プールサイドにやって来ると、おお~とか歓声があがった。

特に聞こえるのが「美咲様、さすがです!」

「うおお!来てよかったぜ!」と男子から聞こえる。

まあ、このクラスには、クラス一のアイドル的存在の汐崎美咲がいるからな……

多分というか、こいつら、その美咲のファンクラブ、MKFCのメンバーじゃないか? と思われる。

「は~い、皆、準備は出来たかな~?」

子供番組の歌のお姉さんみたいな調子で、そう言ったのは、この山野辺高校の体育教師で、水泳担当の川原芹かわはらせり先生だった。この先生は、男女ともに人気が高く「せりちゃん~」とか呼ばれているらしい、まあ、俺は川原先生とか呼んでいるけど

「じゃあ、まず準備体操から始めましょう~」

と、芹先生が言っていたので、準備体操をして、プールに入った。

「まこーきもちいいね?」

いつの間にか隣にいたのか、親友の美鈴が、俺に話しかける。

「まあ、暑かったしね、気持ちいいかな?」

「うんうん、で、まこはさ? 泳げるの?」

「失礼な、カナヅチじゃあないし、そういう美鈴は、どう?」

「私?私だってカナヅチじゃないよ?バリバリ泳げるし? じゃあさ? まこ、競争しない?」

「何で?」

「いいじゃない? ほら、芹ちゃんも「今日は自由行動ですよ~」って言ってるしさ? どっちが速く泳げるか、バトルしよ?」

俺は、そう言ってきた美鈴に、どう答えたらいいか迷ったが、まあ、別に嫌というわけじゃあないので

「まあ、いいよ」

そう言っていた。

「じゃあ、決まりね? 50mを先に泳いだ方が勝ちね? 負けないよ? まこ?」

「こっちだって、負けないよ」

そう言って、俺と美鈴は、プールのコースに立つ。

俺が一番コースで、美鈴が二番コースだった。

「あ、芹ちゃん、今からまこと勝負するから、計って?」

そう、美鈴が言うと

「そう、解ったわよ、じゃあ南山さん、栗谷さん、スタート位置について?」

「了解~」

「解りました」

そう言って、俺と美鈴は、スタート位置につく。

「じゃあ、行くわよ?よ~い……初め!」

芹先生がそう言った同時に、俺と美鈴はプールに飛び込む。

俺は、クロールが出来るので、それを使って、一生懸命に泳ぐ。

数分後、決着がついた、まあ、どっちが勝ったかと言うと

「やった~私の勝ちだね? まこ?」

そう、勝ったのは美鈴だった。

美鈴は、スタートと同時に、潜水して、そのまま25Mを泳ぎ、後半は背泳ぎで泳ぎきったのである

美鈴……そんなに泳げるのなら、水泳部とか入った方がよくないか? と、思ってしまった。

「は~い、時間なので、今日はこれにて、終了ですーーみんな~?風邪引かないようにね~?」

そう、芹先生が言ったので、俺達は控室に入り、タオルで体を拭いてから、制服に着替えた。

そして、教室に戻り、プールに入ったせいか、ちょっと涼しく感じていたりもしていた

「あ~HRを始めるぞ~」

そう、気だるい感じで言ったのが、担任の翠先生だった。

「必要事項は~、まあ来週から夏休みに入る、ただそれだけだな……あ、ひとつ言っとくけど、校長の話は、まともに聞いても意味ないぞ~あれはスリープの呪文みたいに聞こえるしな~あとは……なんかあったっけ……まあいっか、そんじゃあ、これにて解散、ではな」

本当にいいのか……? こんな感じで……?

そう言って、翠先生は教室から出ていく。

俺は、帰り支度をして、家へ帰る事にした。


プールの授業が開催されて、次の休みの日

俺は、出かける事にした。

出かける場所は、決まっていて、秋葉の喫茶店、ラブ喫茶「アイライク」である。

なぜ、その場所に向かうのかというと、そこの店長さんの東雲紫しののめゆかりさんに

「バイトしませんか?」と、誘われたからである。

だから俺は、そのバイトを一日だけだけど引き受けたので、俺の通っている学校が、休みの日になったので、バイトに向かうのであった。

電車に乗り、数分後、秋葉に辿り着く。

街中は、休日のせいか、人でにぎわっていて、人の多さにちょっと目眩がしそうになった

その人ごみの中を歩いて、目的地の場所。ラブ喫茶「アイライク」へと、辿り着く。

中に入ると、「いらっしゃいませ~」と、声をかけて来た。

「こんにちは、佐奈さんだったよね」

「あ、まこさんでしたか……いらっしゃいませ」

「店長さんは、もう来てるの?」

「はい、店長は、奥の控え室で、事務の仕事してますよ」

「そう、じゃあ、自分も着替えて、すぐにホールに出るね?」

「あ、はい……お願いします……」

うん……なんで、顔を赤らめながら言うんだ? 熱でもあるのか? と、思ってしまった。

そして、俺は控え室に入り、用意された制服へと着替える。

ここの制服は、メイド服が基本なのだが、俺のは違っていた。

俺が着る事になっている服は、どっちかというとウエイターか、ギャルソンタイプの服だったからである。それに着替えて、ホールに行くと、さっき会話した佐奈さんが、こう言ってきた。

「まこさん、本当に似合ってます……」

「え~っと……ありがとう、佐奈さんも可愛いよ? 似合ってるしね?」

「!あ、ありがとうございます!」

うん……なんでますます赤くなるんだ? よく解らないが……

そう話していると、俺の親友の栗谷美鈴くりやみれいと、俺の後輩の東雲玲しののめあきらがやってきた。

「おっはよ、まこ~」

「おはようございます、まこ先輩」

「おはよう」

「まこ~今日さ? バイト終わったら遊びに行こうよ?」

「遊びに? どこに?」

「もちろん、この町の中を案内するさ~、で、いいでしょ?」

さて、どうしよう……別に家に真っすぐ帰っても、する事が……いや、妹の亜季あきが何か言ってくるかもしれないな……でも、やっぱり予定はないので

「まあいいよ」

「あ、あの……私もいいですか?」

「お?佐奈も来る?」

「は、はい、行きます!」

「あきらちゃんは、どうする?」

「僕ですか?……そうですね……お邪魔じゃなければ、ご一緒してもいいですか?」

「いいよ~じゃあみんなで遊びに行こう? はい、決まり~」

そう美鈴が言うと、皆は、了承したようだった。

そう話していると、奥の部屋から店長の紫さんがやってきて

「あら、皆で遊びに行くの? じゃあ、私も入れてね~じゃあ、今日はいつもより早い時間に閉店させましょうっと」

とか言っていた

……いいのか? まあ、店長がそう言うのだったら仕方がないか……

とりあえず、俺はそう思う事にするのであった。

「じゃあ、今日も頑張って働きましょうね~では、皆さん、よろしくお願いしますね~」

「了解です~」

「僕も解ったよ」

「私も解りました」

「自分もOKです」

俺達は、そう言って、バイトを始めるのであった。

バイト中、お客様から声をかけられて呼ばれるのは、いつも女性ばっかりだった。

男の客は、同じく働いている俺の通っている高校の後輩、東雲玲しののめあきらを、呼んでるみたいであった。

そんな訳で、バイトをするのだが、今日は早くお店が終わった。

何故かと言うと、店長の紫さんが「今日は、早く閉店します」と言ったからである。

早く終わったので、俺は控室に行って、私服に着替えて、皆で遊びに行く約束をしていたので、着替え終わって、外で待っていると、店から最初にやって来たのは、桐谷佐奈きりやさなさんだった。

「あ、まこさん、お待たせしました」

「佐奈さんも、おつかれさま、私服ってそれなんだ?」

「あ、はい、動きやすい恰好で来たので」

佐奈さんの恰好は、黄色のワンピースに青のジーンズだった。

まあ、俺の服装も動きやすいように、白いワンピースに緑のジーンズだけど

「まこさんの服装も……あの、かっこいいです……」

「あ、ありがとう……」

え~っと素直に喜んでいいのかどうかは微妙なんだが……俺はとりあえずお礼を言った。

「あ、まこ~、準備できたよー」

「こっちも出来ました」

そう言ってやってきたのは、俺の親友の栗谷美鈴くりやみれいと、俺の後輩の玲だった。

俺は、玲が気になったので、小声で聞いてみた。

「なんで、ウィッグ付けたままなの?」

「だって、佐奈さんがいますから、僕、佐奈さんには自分の身分、明かしてないんですよ」

「なるほど」

そう話していると、最後に

「お待たせ、全員揃ったわね?」

そう言って来たのは、紫さんだった。

「店長、皆集まったし、どこ行きます?」

美鈴がそう言うと、紫さんはこう言った。

「そうね~、まずは何か食べに行きましょうか? 今日は、私が奢るわよ」

「姉さん、いいの?」

「大丈夫、私にまっかせなさい」

そう言って、笑顔で言う。

まあ、大丈夫ならいっか……と、俺は思っていた。

あ、そう言えば、俺は美鈴にこう言う。

「美鈴、携帯貸して?」

「ん~?まこ、どったの?」

「家に連絡しないと、亜季あきがご飯作ってるかも知れないし」

「あ、そっか、じゃあ、はい」

そう言って、俺に携帯を渡す。

俺は、携帯を受け取って、自宅にかけた。

数秒コール音がなって、相手が出る。

「はい、南山です」

「あ、亜季?」

「あ、お姉ちゃん? 一体、どうしたの?」

「実はね、バイト仲間と食事する事になったから、亜季、自分の分の食事作らなくていいよ?」

「え……!お、お姉ちゃん……私の作る料理、嫌になったの……」

「い、いや、そういう訳じゃないよ?」

「じゃあ、早く帰ってきてよ……お姉ちゃんの分も作ろうと思ってるんだから……」

……そう言われて困ってしまった。

どう返事すればいいんだ? と悩んでいると

「亜季ちゃん、まこは私達と一緒にいるから、大丈夫だよ? だから安心して、好きな事やってていいよ」

そう美鈴が言うと

「貴方がお姉ちゃんを!!」

なんか電話越しに、殺意?見たいな感じの波動を感じるんだが……気のせいか?

「あ、亜季?」

「お姉ちゃん!その人と一緒にいちゃ駄目!すぐに帰ってきて!」

「そう言われても……店長さんが食事に誘ってくれて、断るわけにもいかないし……」

「そうだよ~店長さんが言ってるからね?」

「…………分かりました、お姉ちゃん……早く帰ってきてね?」

「う、うん、じゃあね? 亜季」

そう言って、携帯の電源を切る。

なんか……偉い沈黙が長かったんだが……ま、まあ、気にしないでおこう……

俺は、携帯を美鈴に返す。

「話はついた? じゃあ、行きましょうか~」

「あ、はい」

「りょ~かい」

こうして、俺達は、秋葉の街中を歩くのであった。

そして……食べ終わって、ちょっと遊んでから家へと帰ると、涙目の亜季がいて、ちょっと驚いてしまったのであった。


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