~第十一話~
季節も梅雨入りに入り、雨の日が多くなった頃。
俺の通っている学校というのは、山野辺高校と呼ばれていて、そんなに大きい学校ではなく、普通な感じの高校であった。
俺はいつものような時間に起きて制服に着替えて、妹の亜季と、母親の美鶴母さんと、朝食を取って、外に出る。
今日は、雨が降っていなく、快晴であって、夏が近いからちょっと、暑いな……と思っていた。
数分歩いて、目的地の山野辺高校にたどり着き、校舎の中へと入る。
下駄箱で、上履きに履き替えて、自分の教室へと向かった。
教室の中に入ると、数人は来ていたらしく、談笑している者や、ノートに何かを書きうつしている者がいたりしている。
俺は、自分の席について、カバンの中から教科書とノートとか、授業に必要な物を、机の中に仕舞う作業をする事にした。
作業をしていると、俺に話しかけてくる者がいた。
「おはようございます、まこ」
「お、おはよう……」
俺に話しかけてきたのは、いつも教室では話しかけてこなかった汐崎美咲だった。
俺は、この子から手紙を貰って、内容が呼び出しだったので、行ってみて、そこで言われた言葉が
彼女にして下さいだったので、どう返事したらいいか、悩みの種でもあるのであった。
「実は、茜姉さんから聞いたんです、「まこさんって、美咲と同じクラスなのよね? いいわね~」って、まこ……茜姉さんと、何所で知り合ったんですか?」
どう答えればいいんだ? 正直に話すと、その茜姉さんと言うのは、汐崎茜と言って
汐崎美咲の従姉で、出会った場所が秋葉のバイト先、ラブ喫茶「アイライク」だしな?
とりあえず俺は、こう言う事にした。
「えっと、バイト先で声をかけられて……」
「まこ……バイトしてたんですか? 何で私に言ってくれないんです?」
何で、言う必要が?まったく関係ないと思うのだが……
「えっと……言う必要ある?」
「……私、まこの事色々知りたいんです、私の事だったら何でも教えられます……」
そう赤らめて言ってきた、うわ!?よく見てみると、美咲を見ていた男どもがなんかこっち見て、驚いてないか? それに「何で美咲様が、顔を赤らめて……まさか!?」
「おい、そういうのは考えるな!美咲様は、そういった趣味ではないはずだ!」とか聞こえてくるし!?
多分というかこいつら……絶対に美咲ファンクラブ、MKFCのメンバーだろ……そう、俺は思っていた。
「えっと、バイト先教えたら、美咲さんはもしかして来るつもり?」
「当り前じゃないですか、まこが行く所、どこだって行きます」
……これって、ストーカー発言じゃないか……?
「えっと……とりあえずバイト先は、美鈴と同じ場所なんだけど……」
「美鈴って……もしかして、同じクラスの栗谷さんですか?」
「うん、まあ」
「そうですか……栗谷さんと……確かに見てる限り、まこと栗谷さん、仲いいですものね……少々妬けるぐらいに」
そう見えるのか? 普通に話してるだけだと思うのだが……
「とにかく、自分からは言わないよ……茜さんか、美鈴にでも聞いてね」
俺がそう言うと、汐崎美咲は、こう言った。
「……分かりました、自分で調べる事にします、貴方に嫌われたくないですし……」
そう言って、俺のそばから離れて行った。
そして、チャイムが鳴り、いつもどおりに授業が始まる。
いつもどおりに担任の朝崎翠先生がやって来て、こう言った。
「あ~お前ら、今週から身体測定があるので、こころしてかかるように、以上」
そう、けだるそうな感じで言ってきた、まあ……この先生は、前からそういった感じの先生だったので
クラスメイトは、馴れたらしく、誰も何も言ってこなかったのである。
一つ、分かった事は、授業をつぶして、今週から身体測定があるという事が分かったのであった。
ちなみに、この山之辺高校の身体測定は、身長や体重。視力や聴力を測ったり、あと、体力測定も兼ねているので、それを全学年で行われるので、授業がまるまる潰れたりするのである。
しかも、それを数日間行ったりする。こうして、俺は身体測定に備えて、体操着に着替えて、最初に身長や体重、胸囲を計る事にした。
この高校は、クラスごとではなく、全学年の生徒が一斉に計る方針になっているので
早くたどり着いた者は、早い時間に家へ帰れるのであった。
俺は、身長や体重、胸囲を測っている保健室に辿り着くと、もう既に見知った人物がいた
「あ~まこ、まこもここから測る事にしたんだ?」
そう話しかけてきたのは、俺の親友であり、クラスメイトの栗谷美鈴だった。
「うん、まあ」
「じゃあ、ついでだから一緒にまわろうよ?」
「……まあいいけど」
「よし、決まりね」
そう言って、俺は、列に並んで、身長と体重を量って貰う事にした。
結果は、161CMで体重49㌔だった、うん……普通かな……と、俺は思う。
美鈴は、155cmで47㌔だった。
それなのに「ダイエット必要かな~」とか言っている。
いや……必要ないと思うのだが……
そして、胸囲を測ってもらった時に、医師から「まだまだ成長するわ、頑張ってね」と言われた。
うん、余計なお世話だと思うぞ? それに……別に胸を大きくしたいとか思ってないし、巨乳って肩が凝りそうだと思うしな?
美鈴も、俺と同じく……まあ、ささやかな胸をしているので、先生に同じような事を、言われていた。
とりあえず、計り終ったので、俺と美鈴は、体育館に向かう事にした。
体育館で測っていたのは、反復横とびと、50M走の短距離のタイムを測っていた。
まず計ったのが、反復横とびで、最初に俺が挑戦して、美鈴に計ってもらう事にした。
数分がたって、美鈴が「55回だよ、まあ平均かな?」と言って来たので、ああ、そう……と言い、今度は美鈴のを計る事にした。
結果は俺より、回数が低く、40回だった、その結果に関して美鈴はというと
「こういうの苦手なんだよ~、まこなら分かるでしょ~?」
いや……全くと言っていいほど、分らんのだが……
次に50メートル走のタイムを計る事にした。
最初に俺が走って、美鈴にタイムを計って貰う事になった。
いざ、俺の番になり、俺はとりあえず走る。
結果は、美鈴からこう聞かされた。
「9秒ジャスト、まこ、早いね~?」
「そう?」
「私、10秒ぐらいだよ? それに比べたら、早いって」
そういうものなのか? そう思っていたが、口に出さないでいた。
そして、美鈴の番になり、俺がタイムを計る。
確かに美鈴が言った通り、美鈴のタイムは10秒過ぎていた。
走り終わった美鈴が、息を切らしながらこう言ってきた。
「っはっは……ね? 言ったでしょ?」
「うん、まあ確かに……」
「今日計ったのを、先生に提出して、帰ろうか?」
「そうだね……まあ、明日も測定会あるし」
「うん、じゃあ帰ろう~」
そう言って、俺と美鈴は、計った内容の紙を、先生に提出して、先生から「明日もあるので、頑張ってね、明日のために朝食抜きとかしないように」
とか、言われて少し戸惑いながら、俺は、体操服から制服に着替えて、美鈴と一緒に、高校から出て行ったのであった。
身体測定が行われて、次の日、俺は、いつものように家を出る。
今日も昨日と同じく、身体測定があるので、授業が潰れるのであった。
いつものような時間に辿り着き、教室に入る。
そして、直ぐに体操服に着替えて、チャイムが鳴って先生が来るまで、教室で待機していると、担任の翠先生が入って来て、こう言った。
「お前ら、今日も身体測定あるので、こころしてかかるように~、あ~今日も授業はないから、測り終った者から帰って良し、以上だ」
そう言って、先生は教室から出ていく。
「まこ~、今日も一緒に行こうか?」
そう言ってきたのは、俺の親友の栗谷美鈴だった。
「そうだね、まあいいよ」
「よし、じゃあ一緒に行こう」
そう言って、俺と美鈴は、教室から出ていく。
最初に移動した所は、校庭にした。
校庭で、測っているのは、百メートル走と砲丸投げだった。
まず、俺と美鈴は、最初に百メートル走を測る事にした。
まず、最初に俺が並んで、タイムを美鈴に測って貰う事にした。
そして、俺の番になったので、一生懸命走る
結果は、美鈴が「13秒だよ~、まあまあじゃないかな?」とか言ってきた。
まあ、五人で走って、3位だったから、そのようなもんか……と思い、俺は、美鈴のタイムを測る事にした。
美鈴のタイムは、俺と同じようなタイムで、13秒ぐらいだった。
走り終って、美鈴がどうだったか聞いてきたので、俺は
「まあまあじゃない?」と言う事にした。
次に、砲丸投げを測る事にした。
まず、最初に俺が計る事になって、ボールを持って、思いっきり投げる。
投げたボールは、速いスピードとはいかないまでも、真っ直ぐ飛び、地面に落下
記録係の人が「20Mです」と言っていたので、それが俺の記録となった
「じゃあ、次は私ね~」
そう言って、美鈴がボールを持って、投げる。
投げ方がよかったのか、ボールは真っ直ぐ飛び、軽く30Mを超えて、記録係が「33mです~」と言っていた、それを聴いて、美鈴は
「や~った~まこに勝った~」
とか言っている、いや……勝ち負けとか気にしないんだが……
と言うか……あの細で、よくそこまで飛ばせたよな? と、思ってしまった。
こうして、校庭での記録は終わったので、校舎の中に入って、聴力と視力の検査に向かう事にした。
まず、最初に受けたのが、聴力で、機械を耳に当て、音が聞こえたらボタンを押すと言われて
俺は、言われたとおりにボタンを押す。
医師が「正常です」と言ってきたので、とりあえず問題はないな……と思った。
美鈴も、問題なく終わったようである。
次に計ったのが視力で、片方の眼を塞ぎ、普通なら○が空いている方を指差して、答えるのだが
何故か漢字だった。
しかも文字に使われていたのが、数字で、一から九の漢字だった。
俺はとりあえず答えて言って、言われたのが「席替えしなくても大丈夫ですね」とか言われた。
美鈴はと言うと、「眼鏡必要なレベルというか、頭大丈夫?」とか言われていた。
うん……美鈴、一体何したんだ……? とか、思ってしまったのである
計り終わって、美鈴が
「じゃあ、帰ろうか? まこ~」
「そうだね、全部計り終わったし、いつまでも学校にいることないしね」
「うんうん、まこも分かってるじゃん~」
そう言って、体操服から制服に着替えて、校舎を出る事にした。
こうして、俺の身体測定が、全て終わったのであった。