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結婚初日、夫から「義理の姉を愛している」と打ち明けられました  作者: 風見ゆうみ


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24  ありませんよね?

 側近たちはマーベリックから「君たちがお金に目がくらんだことは知っている」と言われた時点で、ヨーカが自分たちに金を払うことはなくなると察した。今なら、クビになるだけで済ませてもらえると聞いて、彼らは簡単にヨーカを裏切ったのだ。

「申し訳ございません、奥様。もう嘘はつけません。今まで起きたことは全部、当主様にお話しするつもりです」

「な、何を言っているのよ! 馬鹿なことを言うのはやめて!」


 頼みの綱だった側近たちに簡単に裏切られたヨーカは取り乱し、側近の襟首を掴んで揺さぶった。ロコッドとルイティーは顔を青くして目を泳がせている。


(遅かれ早かれこうなることは始めからわかっていたこと。本当に無様ね)


 ミアーナはため息を吐くと、涙目のロコッドに話しかける。


「ロコッド様、もう茶番は終わりにしましょう。私を妻にしようと思った時点で、あなたの計画の失敗は決まっていたのです。諦めて真実を話してはいかがでしょうか?」

「ううううう」


 ロコッドは頭を抱え、現実を否定するかのように首を横に振りながら唸り声を上げた。


(観念してくれたかしら)


 ミアーナが胸の前で腕を組んでロコッドの様子を見守っていると、ルイティーが口を開いた。


「……ロコッドと一緒に眠ったりしたことは確かだけど、体の関係もないし、浮気はしていないわ。ロコッドは家族なの。やましい気持ちなんてない」

「家族だって?」


 マーベリックが聞き返すと、ルイティーは訴える。


「そうよ! 彼は義理でも弟なの! 家族なのよ! 間違ったことは言っていないわ! だから仲良くしたっておかしくないでしょう! 大体、あなたが長い間、私を放置するからいけないのよ! 新婚なのに初夜も迎えられず、あなたは旅立っていった! 酷い夫よ!」

「寂しい思いをさせたことや悲しませたことについては謝る。だが、結婚の日を決めたのは君や国王陛下だ。そして、出征の日を決めたのも陛下だ。先日、陛下に確認したが、君はそれを承知で俺に嫁いだんだろう?」

「……っ」


 ルイティーは言い返すことができず、視線をそらした。あの時のルイティーは同い年の令嬢が次々に結婚していったため焦っていたのだ。


(そういえば、お義兄様とお義姉様の婚約は、どんな経緯で決まったのかしら)


 ルイティーとマーベリックを見つめ、ミアーナは自分の記憶を探る。といっても、そう大したことは思い出せなかった。ルイティーの婚約者を公爵家から選ぶと発表されたあと、婚約者がいなかった公爵令息に、ルイティー以外の婚約者ができていったにもかかわらず、マーベリックとロコッドにはできなかったということくらいだ。

 ルイティーのワガママな性格は、公爵家の人間には知られており、彼女の婚約者になりたいと思う令息は、ロコッドが現れるまでは一人もいなかった。

 それならなぜ、ロコッドがルイティーの婚約者になれなかったのか。それは、ラゲクが養子縁組をしていないため、彼は公爵令息ではなかったからだ。そのことを国王も知っていたので、ロコッドが婚約を申し込んでも、資格がないからとは言わず、彼を気に入らないと言って却下していた。

 そうこうしているうちに、ルイティーと結婚したくない公爵令息たちは、次々と婚約者を決めていった。最終的に残ったのは、マーベリックを含む三人。残りの二人はまだ十歳と五歳の子供だった。

 ちなみにマーベリックの婚約者が中々決まらなかった理由は、ヨーカとラゲクのせいだった。ラゲクはマーベリックたちの婚約者選びをヨーカに一任していた。最初、ヨーカは婚約者選びをしているふりをして何もしていなかった。急いで探さずともロコッドが選ばれると思い込んでいたからだ。ロコッドとルイティーを近づかせるのに必死で、ラゲクからマーベリックの婚約者についての話を聞かれても「見合う人がいない」と嘘をついていた。

 ヨーカが焦り始めたのは、ラゲクから婚約者がいないのはマーベリックとロコッドだけだと言われた時だ。彼女には友人がおらず、実家からも厄介者扱いされていたため、そんな話を教えてくれるのは、ラゲクしかいなかった。


「ミアーナ、お前は二人が浮気していたと思うか?」


 ラゲクに尋ねられ、ミアーナは我に返ると、ぱあっと華やかな笑顔を見せた。


「俺からも質問するが、ロコッドを許すつもりはあるか?」 


 マーベリックからの問いかけには、笑顔が一瞬にして消え失せ、無表情というよりも虚無感を漂わせる顔になった。マーベリックとラゲクには彼女がロコッドを『許さない』と意思表示したのだとわかった。


「三組の夫婦の話をする前に、彼らには出ていってもらう」


 ラゲクが側近たちに目を向けると、がっくりと肩を落とす者や、自分にも責任があることを棚に上げて、ヨーカを睨みつける男もいたが、素直に部屋から出ていった。


「さ、三組の夫婦というのは、どういうことです? まさか、私と旦那様の話もするということですか?」

「当たり前だろう」

「だろうな」

「でしょうね」


 震える声で尋ねたヨーカに、ラゲクが頷くと、マーベリック、ミアーナの順で首肯(しゅこう)した。

「そんな! 私は離婚されるようなことはしていません!」

「息子が浮気しているのに止めなかっただけでなく、他の人間に口止めまでして二人の仲を応援していたのだろう? そんな妻はいらない」


 ラゲクに厳しい口調で説明され、ヨーカは黙り込んだ。部屋の中は静まり返ったが、その静寂を破ったのはミアーナだった。彼女は笑顔でロコッドを促す。


「さあ、私たちは場所を変えてお話をしましょうか。私たちの今後を先にはっきりさせてから、お父様にあなたへの処分を発表していただきたいですからね」

「ま、まさか、ミアーナ、君は僕を見捨てるのか?」


 問われたミアーナは目を瞬かせたあと、笑顔で質問を返す。


「見捨てるという言い方もどうかと思いますが、あなたを助けなければならない理由はありますか? ありませんよね?」

「ううっ」


 ロコッドにも罪悪感というものがあったらしい。黙り込んだロコッドを促し、ミアーナは別室に移動することにした。




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