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結婚初日、夫から「義理の姉を愛している」と打ち明けられました  作者: 風見ゆうみ


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15  お答え願えますか?

 当日の朝の公爵邸内は笑みを浮かべている者がほとんどだったが、例外が数人いた。その例外に該当する人物はロコッドとルイティーにヨーカ、そして、ラゲクの側近たちだ。

 自分たちがやっていた悪事を話す人間はいない。そう思ってはいるものの、ミアーナという存在がネックになり、安心できる状態ではなかった。


「おかえりなさいませ、旦那様! マーベリック様!」


 ラゲクたちが馬車から降りてくると、使用人たちは声を揃えて出迎えた。ラゲクが使用人たちをねぎらう言葉をかけると、ヨーカが近づいた。


「おかえりなさいませ、旦那様。お帰りをお待ちしておりました」

「ただいま。色々とすまなかったな。皆、特に変わりはないか?」


 ラゲクに尋ねられたヨーカはミアーナを手で示す。


「変わったことといえば、ロコッドがミアーナさんという女性と結婚したのです」

「ああ、そうだったな」


 ミアーナは笑顔でラゲクに挨拶をする。


「おかえりなさいませ、お義父様。ミアーナです。お帰りをお待ちしておりました」

「遅くなってすまなかった。登城して陛下に連絡しなければならないことがあったので、帰ってくるのに時間がかかってしまった」

「無事に帰ってきてくださっただけで十分ですわ」


 この時、ロコッドたちはラゲクの登城は和平交渉を無事に終えた報告だと思い込んでいたが、ミアーナは違った。


(和平交渉を終えたという報告もそうだけど、ルイティー様の浮気について、国王陛下とお話をされたんでしょうね。国王陛下がどんな反応をしたのか気になるわ。あとで、こっそり聞けたりしないかしら)


「ここでの生活はどうだ? 不便なことはないか?」


 ルイティーとの会話を終えたマーベリックがミアーナに問いかけると、彼女はにこりと微笑む。


「問題はありますが、とても楽しく過ごしておりますわ」

「その問題とやらは改善されそうか」

「いいえ」


 ミアーナが否定しただけで、マーベリックはロコッドたちが不倫について悪いと思っていないと察した。


「そうか。救いようのない状況のようだな。それから、これからよろしく頼む」

「こちらこそ、よろしくお願いいたしますわ」


 笑みを浮かべるミアーナに頷いたあと、マーベリックはラゲクの側近たちに話しかける。


「明日から俺も父上の仕事を手伝うから、よろしく頼む」

「……承知いたしました」


 側近の一人が代表して頷いたが、その表情はどこか浮かないものだった。そんな彼らの様子には気がつかないふりをして、マーベリックはロコッドに目を向けた。


「ロコッド、お前には本当に申し訳ないと思っている」

「……えっ?」


 ロコッドはびくりと体を震わせて、マーベリックを見つめる。


「お前には色々と迷惑をかけただろう?」

「な、なんの話ですか?」

「父上の仕事をしていたから、新婚旅行にも行けなかったんだろう? 本当ならば嫡男の俺が、もっと気を回さなければならなかった。一生の思い出になるのに、本当に申し訳ない。あとで、お前とミアーナには父上と俺から詫びの品を贈るつもりだ」


 浮気の話とは関係のないことだとわかり、ロコッドは安堵の息を吐いて答えた。


「えっと、大変なことは確かでしたが、当たり前のことをしただけですから、僕には詫びる必要はありませんよ」


(あなた、何も仕事なんてしていないじゃないですか)


 ミアーナが呆れた顔で話を聞いていると、マーベリックは口元に笑みを浮かべる。


「そうか。なら、ミアーナにだけ贈ることにする。それから、仕事の引き継ぎをしてほしいんだ。ロコッド、色々と教えてくれるよな?」

「えっ?」

「父上の側近たちは、お前が仕事を頑張ってくれていて、自分たちよりも優秀だと言っている。それなら、お前から教えてもらったほうがいいだろう?」

「えっ、えっ」


 ロコッドは返答に困って情けない声を出した。


 自分が仕事をしているとラゲクたちに思わせるため、側近たちには、ロコッドがいるから仕事がまわっているなどと嘘の報告をさせていた。実際、ロコッドはルイティーといちゃついていただけで、仕事はほとんどしていないため、教えられることなどなかった。


「ま、待ってマーベリック。実は、私が病気にかかってしまって、ロコッドはここ最近、看病をしてくれていたの。だから、仕事を教えることはできないわ」

「そ、そうなんです、兄さん! ここ最近の進捗は僕にはわからないので、側近に教えてもらったほうがいいです!」


 必死にこの場を乗り切ろうとする二人の姿が滑稽で、マーベリックは失笑した。ミアーナも鼻で笑いたい気分だったが、ミアーナは悲しげな表情でマーベリックに訴える。


「マーベリック様、ロコッド様を責めないでくださいませ。ロコッド様に書類作業は荷が重いのです。自分にできることを探した結果が、ルイティー様の看病だったのだと思います」


 さらりと辛辣な言葉を述べたミアーナに、マーベリックは笑いをこらえつつ尋ねた。


「看病はメイドにもできるだろう。なぜ、ロコッドがする必要があったんだ?」

「と、言われていますけど、ロコッド様、お義姉様、お答え願えますか?」


 ミアーナはロコッドとルイティーの関係を話すことができない。元々、助けてやる気もないので、二人に丸投げした。



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