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第32話

「あのね、ヒサルキは一匹だけの時はもっとものすごい速さだったんだ」

 アイリが説明した。


「今回いっぱい出てきたコピペのやつらよりはだいぶ早くてさ、捕まえて駆除するまで時間がかかるのがやっかいだったんだ」


 アプリが続けた。


「そう。それでね、あの形態だと、そのせっかくのスピードを自分で殺しちゃってるわけ」

 アイリがそう言って、俺は理解した。


「お、俺のスパイラルクラッシュが、あの……たぶん全部当たるから……あ、あいつのエ、エネルギーを削っていく……ってこと?」


「そう。さすが相棒!」

 アイリはそう言ってほほ笑んだ。


「え……あ……」

 せっかくさっきは覚悟を決めてかっこよく言えたのに、これじゃあ台無しだよ。


「ひねりつぶされる気なんてホントはないんだろ、ユート」


「え……」

 そりゃまあ、俺が頑張ってみんなを助けて、俺も助かるならそれが一番いいけどさ。とりあえずまだ転生してる場合じゃないし。


「よし! さすがユートだ!」


「ひねりつぶされる? そんなこと私がさせないから。アサルトライフルでバックアップするからね」

 アイリがこの間みたいに親指を立てた。

 やっぱり軍人さんですね。かっこいいや。


「みんな。私とユート君であいつ、やっつけて来ちゃうね」


「え? 大丈夫なの、アイリ?」

 エミリが心配そうな顔で言った。


「二人で連携してみる。危なくなったらここに戻るから、エミリとミウは防護に徹しててね」

「わかった」


「そうだ。私のオオカミもバックアップに回そうか?」


 え? ユイナさん、俺のこと疫病神だと思ってたんじゃないの?

 助けてくれるの?


「さっきはああ言っちゃったけど。アイリがそこまで信頼してるなら協力しないとね」

「あっしはかまいやせんが」

「うん。それじゃあ、二人を助けてくれる?」

「合点承知でやんす」


「ユート君、頑張って」

 ミウさんが励ましの言葉をくれた。


「ユートさん、アイリさん、お願いします」

 さっきから怖がっていたカノンも声をかけてくれた。


「じゃあユート君、行くよ!」


「え? あ……あ、うん」

 ああ、結局情けなくなっちゃったよ。

 でもまあいいか。さっきのだと死亡フラグになっちゃってたからな。

 それにしても、どうやって出るの、この防護ドーム?


「魔法少女なら出入り自由さ。認証システムは結界と同じだからね」


 アプリが説明した。そう言えば、オオカミも出入りしてたっけ。


「横から出て私が援護射撃するから、ユート君はヒサルキに接近してタコ殴り、お願いね」


 アイリさん。スパイラルクラッシュって絶対言ってくれないんですね。


「わ、わかった」

 俺たちはドームの横から外へ走り出た。


 ダダダダダダダダダダダダダ。


 アイリのアサルトライフルがさく裂し、超大型ヒサルキをけん制した。

 その隙に俺はヒサルキの左側に回り込んだ。

 オオカミは右側に駆けて行った。

 あいつ、意外にかっこいいじゃん。


「スパイラルクラッシュ!」

 って叫びたいところだけど俺がそんな声を出せるはずもなく、俺は無言でヒサルキの左足を回転しながら叩き始めた。


 俺をつかまえようとするヒサルキの右手が迫ってきたその時、


 ダダダダダダダダダダダダダ。


 アイリのアサルトライフルの連射がヒサルキの右手を粉砕した。


「キイイイイイイイイイイ!」


 ヒサルキは怒りの叫び声を上げた。

 右手はゆっくりと再生されていく。

 やっぱりエネルギーが供給されてるみたいだ。

 俺のタコ殴り……じゃない! 

 スパイラルクラッシュでホントに削れるのかなあ。


「ハイパースパイラルクラッシュだ! ユート!」


 はあ? また勝手に名前つけやがって、アプリのやつ。

 あ、俺、なんかまた冷静になってきたぞ。

 こないだもそうだったけど、これ、ゾーンってやつかな。

 こういうのってコミュ障陰キャとか関係ないからな。

 わかったよ。高速回転すればいいんだろ。


 冷静になったから気付いたけどさ、そんなことしたらあした、筋肉痛で俺、死ぬ目に遭うんだろうな。あ、あしたのこと考えたら死亡フラグかな。まあ、その時は転生すればいいだけだけどね。


「めっちゃ余裕だね、ユート。転生はないけどその調子だ!」


 うるさいわアプリ。


 俺は超高速で回転しながらヒサルキの左足を下から上へ、ボコボコに叩き続けた。叩いた反動を利用して俺は上へ上へと上がっていく。体が思った以上に動いてなんかこれ、めっちゃ気持ちいいや。下半身は相変わらずスースーするけどね。


 反対側ではオオカミがヒサルキの左半身をものすごい勢いで噛みついていく。あいつ、間抜けな言動に似合わずやるじゃん。あ、ちゃんとしゃべれない俺が言えたことじゃないか。


「キイイイイイイイイイ!」


 俺とオオカミをヒサルキがつかもうとする度に、アイリのアサルトライフルがやつの手を粉砕する。

 手の再生速度はどんどん遅くなっていく。


 これ、行けるかも!


 俺とオオカミはヒサルキの胸の辺りまで到達した。


「キイイイイイイイイイイイ!」


 ひと際大きな叫び声を上げて、ヒサルキは両手を自分の腹に突き刺した。


 え?

 ヒサルキは自分の体を引き裂いた。


 俺とオオカミはその反動で地面に叩きつけられた。

 まあ、痛くないんだけどね。


「キイイイイイイイ!」「キイイイイイイイ!」


 超大型ヒサルキは二匹の大型ヒサルキに分裂した。

 はあ……もういい加減にして……。

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