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第31話

「ユート君には私、二回も助けてもらったんだから。ね?」

 そう言ってアイリは俺の方をまた見た。


「え……」

 それ、俺に答えろと? だいたい、こないだは俺なんかいなくても勝てたとか言ってたような……。


「まあ、私が無理やり相棒にしちゃったんだけど、いつも黙ってそれに答えてくれてさ」


 アイリさん、俺、うまくしゃべれないだけですから。


「それに、こんなにかわいいし」


 ……それ、いつも余計です。もう諦めてますけど。


「たださ、どういうわけか、自分のことネガティブに考えすぎてるみたいなの。でもね、ホントに勇気あるんだよね。だから、みんなもユート君のこと、認めてほしいんだ。なんたって私の相棒だし」


「え……」


 そりゃあ確かに俺、どうしようもないコミュ障で陰キャだけどさ。きのうは謙虚って言ってくれたけど、やっぱばれてるよね。それに助けたのは仕方なくだし、勇気なんかないし。


「アイリの言う通りだよ。私も知ってるから」


 ミウさんまで……俺、ただの陰キャなんですけど……。


「君の勇気はボクが一番よく知ってる」


 またアプリまで調子に乗って……。


「ふうーん。まあ、アイリがそこまで言うならいいけどね。ちゃんと闘ってくれるなら。なんかさっき私に助けられてたし。ね、ユートさ、ん?」


 かわいらしい外見に似合わず、赤ずきんのユイナがちょっと意地悪く、そう言った。


「それに、カノン泣かさないでよね」


 えええ……それ、俺のせいじゃないよ……でもなんだか、白い目で見られる方が心地いい……って俺、それじゃ変態じゃん!


「とにかくさ、今はあのヒサルキを倒す方法を考えないとね」


 アプリが真面目モードに戻った。


「ヒサルキは動物を殺すことぐらいしかできない知能の低いバグデーモンだった。生成AIのくせに機械学習だってできやしなかった。それがあんなになってみんなを襲ってくるなんて、ホントに想定外なんだ」


「そうね。これまではみんな、すぐに退治できたしね」

 アイリが言った。


「そして、さっきも言ったけど、黒幕は結界の外にいると思う。でも、他の地域の魔法少女に頼るわけにもいかない。黒幕がどこにいるかもわからないし、あまりにも危険だしね。となると、あの超巨大ヒサルキをとにかく今はみんなに倒してもらうしかないんだ」


「キイイイイイイイ!」


 気持ちの悪い叫び声が響き渡ると、ユイナのおばあちゃんの毛布……でいいのかな? それが引き裂かれ始めた。


「ああ、また動き出しちゃった」


 アプリが慌てだした。


「あいつ、一匹になってるのよね?」

 ゴスロリのエミリが聞いた。


「そうだね。だからさっき、アイリのバンカーバスターで粉々の茶色い物体になったんだ。すぐ戻っちゃったけど」


「キイイイイイイイ!!!!」


 ひときわ大きな叫び声を上げて、ヒサルキは巨大な毛布を引きちぎった。


「まずい。また来るよ!」


 アプリが警戒を呼び掛けた。

 みんな真剣な顔になった。


 グワーン!!!!!


 超巨大ヒサルキが防護ドームに体当たりを仕掛けてきた。

 すごい音だったけど、とりあえず壊れてはなさそうだ。


「オオカミ! あれ、最初の一匹の部分がわからない?」

 赤ずきんのユイナが命じたが……。


「すんません、さっきも言いましたけど、あれ……全部がたぶんその……最初の一匹ってやつでして……」


「ああ、そうか。分裂したヒサルキが合体じゃなくて凝縮して、エネルギーが数百倍になって巨大化しちゃったってことか」


 アプリが言った。


 それにしてもさ、巨大化した敵と闘うなんて、まるでスーパー戦隊だよ。それならメンバーは5人じゃないか。俺、やっぱお呼びじゃないよ。


「そんなことないよ。6人目の戦士が登場するとき、物語は大きく動きだすものさ」


 アプリ……なんでお前がそんなこと知ってるんだよ……それならさ、巨大ロボでも出せよ。


「ああ、それは無理だよ。君たちは魔法少女なんだからね」


 グワーーーーーン!!!!!


 さっきよりすさまじい音が響いた。


 アイリたち5人は体当たりしてくる超巨大ヒサルキの方を真剣な顔で見つめている。さっき泣きそうだった白雪姫のカノンも、勇気を振り絞ってるみたいだ。


 でも俺、何もできないよな。俺がもっと強ければ、みんなのこと助けられるかもしれないけど……え?

 またそんなこと考えちゃったよ。俺なんか何の役にも立たないのに。強ければ……だってさ。笑っちゃうよな。


「君はさ、ホントに強いんだよ? ユート君」


 もうお世辞言ったって駄目だぜ、アプリ。あんなのと俺が闘ったってさ、一瞬でひねりつぶされるだけだろうし。まあ、転生できるならそれでもいいけどね。


「転生なんてないよ」


「ああ、それでもしょうがない。俺、諦めだけはいいんだ」


「そんなこと言わないでよ」


「ゆ・う・と・く・ん!」

 イテテテ……アイリがいつの間にか俺の後ろに来て、俺の両耳を引っ張った。


「今、諦めるとか言ってなかった?」


「え……あ、まあ……あの……」


「君はさ、私の相棒なんだよね」


「あ……はあ……」


「それならさ、諦めてる暇なんかなくない?」


「え? ああ……はい」


 そうだった。アイリが俺に諦めさせてくれるわけないんだ。

 ほとんど鬼軍曹だもんね。


「ちょっとお願いがあるんだけど」

「え?」

「私、ちょっと作戦考えたの。ユート君、まずあのヒサルキ、タコ殴りにしてくれないかな」


 うわ……俺に死ねと。まあ、それでもいいや。ちょっとでもみんなの助けになるならね。


「わかった。俺、やってみる!」


 え? 俺、普通にしゃべれた?

 まあいいか、最後ぐらいはね。

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