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第12話

「ユート君、デバッグちょっと待って!」



 左側から声がして、SMAWロケットランチャーを肩に軽々とかついだ戦闘服姿のアイリが姿を現した。

 おいおい、もうそれ、魔法少女じゃなくてマジ軍人だって。せっかくの美少女が台無しだよ。


 って、また無茶なことを言うし……。


「あ……でもび、毘沙門天様……も、もう出て来ちゃってるし」

「そこをなんとかしてよ」

 なんとかって……俺の言うこと聞いてくれるかどうかもわからないのに。


 にょぜがもんいちじぶつざい しゃえいこくぎじゅきっこどくえん よだいびきゅう……。


 毘沙門天の出現とともに周辺にお経が響き渡ると、壁にめり込んだ気持ちの悪い大女が金縛りみたいな恰好で硬直し始めた。


「ほら。八尺様は仏様に弱いんだから。毘沙門天にそのまま拘束できないか、お願いしてみてよ」


 毘沙門天は光輪を背にまだ空中に浮いている。しょうがないなあ。


「あ、あの、毘沙門天様。えーと……あの、ちょ、ちょっとだけデバッグま……待っていただけないかと、あの……それとそのままそいつ、こ、拘束してほしいみたいで……すいませんホント」


「承知した」

 なんか野太くてかっこいい声が聞こえた。

 えええ!? しゃべるの!? 毘沙門天様。


 しゅうせんにひゃくごじゅうにんぐ みなぜだいあらかんしゅところししき ちょうかしょう ろうしゃりほつ まかもっけんれん まかじょうどしんしゅうほんがんじは まかかせんえん まかくちらりばはたしゅうりはんだがなんだ あなんだ らごら きょうぼんはだい びんとうるはらだ……。


 読経の声が響き続けた。


「ぽぽぽぽっぽぽっぽぽぽぽぽぽーーーー」

 金縛りになっている大女が奇妙な甲高い声を上げながら身もだえてる。

 やっぱりお経に弱いようだ。

 でもホント、気持ち悪いんですけど。はやくデバッグしてほしい……。


「ちょっとそのままにしててくださいね。毘沙門天様」

 そう言ってアイリはロケットランチャーを投げ捨て、大女の前に来た。


「アプリ、お願い!」

「合点だ!」

 アイリの手に、医療かばんのようなものが出現した。


「あ、あの……何するんですか?」

「ああ、これ、魔法ブーストしたバグデーモン用の自白剤注射セット」

「ええ!?」

 いやもう、なんでもありですね。怪異に自白剤って。でも……。


「あの……あ、あいつ、ぽぽとかぼぼとかしか……あの……言ってないような気が……」


「アイリの自白剤はね、言葉で自白させるんじゃないの」

 後ろからミウさんの声がした。


「え?」

「バグデーモンのこれまでの悪事をね、電子的に白状させるの」

「……」

 あの……意味がわからないんですけど。


「あいつからさ、データを取得するんだよ」

 今度はアプリの声がした。


 かるだいい まかこうひんな はくごら あにるだ にょぜとうしょだいでし びょうしょぼさつまかさつ もんしゅしりほうおうし……。


 辺りには読経が響き続けた。


 なんなの? このシュールな状況は!?

 いつまで続くんだよー(泣)。



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