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第10話

 オレとアイリは足の方から別の場所に移動していった。

 頭が出てようやく見えてきた場所は、隣町の公園だった。

 どういう原理だこれ? どこでも〇アじゃん。魔法ってすごいんだな。


「アイリ! ごめん、苦戦しちゃって」

 ちょっと離れた場所で公園の端の方を見ていた魔法少女が俺たちに気が付いて振り向き、駆け寄ってきた。

 俺は無視ですかそうですか。まあ、空気扱いは慣れてるけどね。


「気にしないでミウ。で、敵は?」

 ああ、アイリさんも俺を連れてきておいてスルーですか。


「ああ、うん。八尺様なの。まだ誰も連れ去られていないと思うけど」

「八尺様! それ私の天敵だから!」

「子どもを誘拐するスレンダーマンの系統だもんね」


 なんだよそれ。また別のバグデーモンかよ。マジきりない……鬱だ……。


「ミウ、この子ね、新しい魔法少女」

 アイリがやっと俺のことを紹介してくれた。

 っておい、俺は高一男子だよ。


「え? 男子……だよね?」

 ミウと呼ばれた魔法少女は、怪訝そうな顔で制服姿の俺を見た。 

 長い髪をポニテでまとめ、メイド風のコスチュームを着て手にほうきを持っている。ちょっと古風な魔法少女ってとこか。


「は、はあ……」


【俺はアイリと同じクラスの石狩優斗。よろしくな!】


 なんてリア充みたいなこと笑顔で言ってみたいけど、俺にはもちろん無理だ。


「男子だけど変身すればかわいいから大丈夫」

 アイリが俺に妙な太鼓判を押した。

 大丈夫の意味が分からないんですけど。


「てか……それよりあの……八尺様っていうのは……」

 どんなバグデーモンなのか教えてもらいたくて、俺は初対面の魔法少女に何とか質問をぶつけた。


「え? けっこうネットでは有名だけど君、知らないの?」

 君もけっこう言い方きついです。


「はあ………」

 知らないんだからしょうがないじゃないか。


「男子だから標的にされるかもよ」

「ふぇ?」

 横からそう言ったアイリの言葉の意味が分からず、また俺は変な声を上げてしまった。


「ぽぽ、ぽぽっぽ、ぽ、ぽっ、ぼぼ」


 突然、くぐもった変な声が聞どこからかこえてきた。


「来た。私たちも早く変身しなきゃ!」

「あ……うん」

 アイリに促され、俺は仕方なくスマホをタップした。


 ポン、ポンと音がして……ミウと呼ばれた魔法少女は、変身して魔法少女になった俺の姿を見ても特に反応しない。拍子抜けしたが、なんだかホッとした。


「あそこ」

 ミウが公園の端を指差した。


「げっ!」

 公園の端にあるトイレの建物の向こうに、白い大きな帽子をかぶった女の頭が出ていた。明らかに身長が普通じゃない。

 ゆっくりと横に移動していて、生垣のところに来ると異様に長い白いワンピースと黒髪が見えた。


「ごめん。仕留められなかった。たぶん怒っていると思う」

 ミウさん、あれが何か説明してほしいんですけど。


「先制攻撃した方がいいよね。行きましょう」

 俺、わけがわからなくて怖いんですけど、アイリさん。


「三方から攻撃して弱らせて、最後にユート君の仏像? あれで回収しよう」

 勝手に作戦を決めないで……。


「ゴー!!」

 アイリは左に走り出し、ミウはほうきに乗って右に飛行していった。


 やっぱ闘うしかないのか。ってきょう闘うの二回目だぞ。

 こんな日々が続くのかよ。ああ鬱だ……いっそ転生させてくれ……。


「転生とかないからね」

 アプリが俺の心を見透かしたかのように言った。


「君の心の強さはボクが一番よく知っている。さあ行こう!」

 またいいこと言ったみたいに……分かりましたよ。闘えばいいんでしょ。

 俺は覚悟を決めた……というか諦めた。諦めだけはいいんだ、俺。

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