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恐怖はAIから始まる  作者: ことぶき神楽
第二章 断片の収集

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第26話 草原

「姉乃とは、いつ逢える?」

 野々村は、傍らに立つ男に尋ねた。

「野々村さんが確実にこの世界に召される歴史に戻してからです」

「どうしたら、戻すことができる?」

 契約者と名乗る男は、微かに眉をひそめた。

「過去の自分に、事故に遭うことを伝えてしまった歴史は変わりませんから、知った上でこの世界にお出でいただくしかありません」

「あなたが、私を死に導く?」

「いや、私は直接手を下したりはしません。こう見えても忙しいのです」

 男は、城壁にもたれ、ふっとため息をつく。


 目の前には、草原が広がっていた。

 男は、姉乃はこの草原の中にいると話す。

 どこまでも広がる緑は、城壁に囲まれていた。姉乃は、この城壁によって元の世界に戻れずにいるのだろう。でも、それでいいのだ。元の世界に戻れば、命を落としてしまうのだから。

 早く、逢いたい。


「契約の履行は順調です。あなたがご自身をここに連れてくれば、万事解決します。その時には、約束どおり姉乃さんとの永遠の時を過ごせます」

 男は、冷たく光る目を野々村に向けた。

「姉乃は、生きているのだろうな」

 野々村は、男が話す内容に不安を感じる時がある。姉乃の姿が見えないのにいると言う。生きているのに永遠の時を過ごすと言う。

 男は、野々村の心を見透かしている。

「この世界では、時間に意味はありません。『永遠』は『刹那』でもあるのです」

 端的に答えた。


「そろそろ、現世に戻るよ」

 野々村は、城壁に取り付けられた重い鉄製の扉を開けた。開けた先は、光に包まれている。

「お願いします。契約を履行するほど、あなた自身も力を得ているのを感じているはずです」

 男の言うとおり、現世での力が強くなっている。人を操ることも、物を動かすことも、容易くなった。


 野々村は、扉の中に一歩踏み入れ、振り返って男に尋ねる。

「あなたは、契約者だと名乗っているが、それは肩書だ。契約には、お互いの署名が必要なはずだ。名前を教えてほしい」


 男は目を細め、いいでしょうと言って言葉を続ける。

「私は、死を司り、死者と契約を結ぶ者。あなた方の世界では『死神』と呼ばれています」

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