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恐怖はAIから始まる  作者: ことぶき神楽
第二章 断片の収集

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第23話 ナビゲーション

 ふと、目を覚ます。

 時刻は、二時になっていた。

 パソコンの画面は点いたままになっている。

 メール受信を知らせるアイコンが点滅していた。


「部屋のパソコンが起動し『今すぐ助けて』と姉乃のメッセージが表示されています」

 野々村からのメールだった。


 常磐道の指示に従い、野々村にはネットワークを切断するよう返信した。

 野々村のマンションに向かう。

 有江が着替えを済ませロビーに降りる。常磐道と陽人は準備を済ませている。

 すぐにホテルを出発する。


「姉乃さんは、冥界から信号を送ったのですか」

 有江は、まだ身体に馴染まない防護服の袖を引っ張りながら、常磐道に尋ねる。

「いや、野々村さんをおびき出す罠ですよ。野々村さんがネットを接続したタイミングでメールを表示させたのでしょう」

「携帯に連絡を入れましょうか」

「野々村さんの部屋に電波は届きません。連絡用に量子通信機を置いてくるべきでした。メールを受信したということは……ネットワークを通じて悪霊が入り込まないか心配です」


 深夜の道は、空いていた。

 交差点の赤信号は点滅している。信号は操作されていないようだ。点滅信号を青信号に切り替えるのは、目立つのだろう。

 調世会本部が表示しているナビに沿って走る。


 大通りを避け、右折する。道なりに進む。

 街灯が少なくなり、暗く見通しが効かない道を走る。昨日の朝に野々村のマンションに向かった道でも、夜に戻った道でもない。

 道は、センターラインもない狭さになっている。


 大通りを避けるよう指示は出ているが、信号もない路地を案内するのは不自然だ。

 呑川のみがわに出た。

 橋はなく、川沿いの車一台分の幅しかない道にぶつかる。

 ナビの表示と違っていた。

 左折側には、駐車されたワゴン車が路上にはみ出していて抜けられそうにない。右折はできるが、目的地とは逆方向だ。その先の橋を渡る経路は、相当な遠回りになる。狭い道幅では、敵の攻撃に逃げ場もない。

「戻りましょう」

 陽人はバックギアに入れた。右手後方に見えるリサイクル業者のヤードを借りようとしている。

 車は、門をくぐりヤード内に入った。

 ギアを入れ替え、車を転回しようとしたそのときだった。


 鋼鉄製のシャッターが、ガラッと音を立て落ちるように閉まった。

 ギロチンを落とされた車は、大きくバウンドし、ボンネットが大破した。

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