刹那家のボウリング
ボウリング場へ行く。ただ移動がアホみたいにスリリングなの勘弁して願いたい。
なぜか俺は毎回千羽のホウキに同乗させられるわけで、元より風魔法に特化しているだけあったスリリングな飛行をしやがるからスリルが半端じゃねぇ。
心臓に悪い飛行に堪えながら眺めていると、所々の空飛ぶ施設に魔方陣が描かれているのに気付いた。
何でも魔封じの魔方陣で、範囲内にいる魔女の魔法を封じるんだとか。
純粋に身体を動かすアトラクション施設に使われているらいく、言い換えるとズルできない仕組みになっているようだ。
とても心臓に悪い着陸をかまされつつボウリング場へ到着。急降下なんてすんじゃねぇよ。
ひょいひょいと受付を済ませて、俺さえもシューズをレンタルさせてもらう。
俺、本当にボウリングやるんだな。みんなが楽しんでいる横で飲み物の手配やらに奔走するために付添われたわけじゃないんだな。終わって日記を書いている今でも信じられない。
子虎と二人きりになった瞬間があったので、亀夜が声にこぼしていた「子虎とは一番長い」とは何なのかを尋ねてみました。
満面の笑みでそのまんまの意味だと返されたが、やっぱりよくわからなかった。
贅沢に2レーン使ってゲームを楽しむ事に。スコアボードには見慣れぬ魔女の文字で名前が書かれていたけど、さっぱりわからなかった。
わからなかったけども、俺の名前が千羽によって悪意に満ちている事だけは他の三人の雰囲気から伝わってきた。
ボール選びだけど、俺と亀夜は軽め、千羽は中間、飛竜と子虎はヘビー級の重さをチョイスした。
みんな投げ方が特徴的で、個性が出てたな。
まず亀夜は歩く。ラインギリギリまで歩いて、置くようにスローボールを投げた。
精度は完璧で百発百中。まるでドミノを倒すようにカタカタとストライクを叩き出す。ワンゲームのスコアを300出した時には驚嘆した。
千羽は軽快に走って勢いをつける。カコーンと小気味いい音を出すわりには、ピンが左右に割れて残る事が多々あった。狙いはいいけど真ん中を通り過ぎる感じなのが多く、スコアはあまり伸びていない。
飛竜は勢いよく投げる反面コントロールが悪い。けども玉が重いのもあってかピンがよく弾けた。おっとりした性格のわりにかなりスコアにムラがある。千羽といい勝負だ。
次に投げたのは俺。ガーターは友達だと知った。千羽以外から慰めの言葉をもらった。楽しい。
で最後に子虎だけど、刹那家で運動神経が一番いいだけあって安定したフォームと勢いでスコアを稼いでいった。亀夜さえいなければ独壇場だろう。と思っていた。
トータルで3ゲーム遊んだわけだけど、亀夜の腕力はか弱く1ゲームしか持たなかった。
2ゲーム目から精度を落としてガクンとスコアを落とす。俺よりもスコアが伸びなくなった。
途中で二十代ぐらいの魔女に話しかけられ、みんなが対応する。黄緑色のポニーテールを揺らしていて、左腕から肩まで彫り物のような模様が描かれていた。理絵と言うらしい。
側にはガーゴイルの小池さんも付いてきていた。どうやら小池さんの魔女らしい。
ふと色んな人に日本語が通じるのが不思議で疑問に出したら、亀夜が既に翻訳されていると教えてくれた。
召喚魔法に付属されているようで、なかったら言葉が伝わらなくて困るんだとか。そりゃセットで必要になるわけだ。
みんな楽しそうだったけど、飛竜のスコアが芳しくないようでとてもドスの利いた舌打ちが聞こえてきた気がした。
……気のせい、だよな。
最終的に子虎がダントツでスコアを稼ぎ、次に千羽、僅差で飛竜と続く。亀夜は温存していた左手を使って少しスコアを戻し、最後に俺だった。
みんな満足そうにしていたんだけれど、飛竜だけゲームコーナーに置いてあるパンチングマシンを眺めているのが気になった。
何もせずに帰ったわけだけど、やらせた方がよかったんだろうか。もしかしたら僅差で千羽に負けた事が不満だったのかもな。




