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奴隷日記  作者: 幽霊配達員
青の書
69/72

芸術よりも爆発を

 暑さが少しずつ落ち着いてきて、陽が落ちる時間が気持ち早くなってきたこの頃。

 氷竜と鮎歌と半魚人のC・パフェさんと一緒に美術館へ行くことになった……話が出たときから不安しかない。

 イメージ的に静寂を必要とされる空間。都築家が美術館で大人しくできるんだろうか。

 テンション高めのメンツと一緒にホウキで空を飛ぶ。氷竜の表情も苦々しさが浮かんでいる。

 そもそも鮎歌たちと絡んでいるときの氷竜がニコやかになること殆どないけれども。

 長いはずの移動時間があっという間に過ぎ去って、受付でチケットを購入。

 ハイテンションの鮎歌とC・パフェをドウドウと宥めながら入場。一目で、わぁ……って声が漏れた。

 広くキレイな空間にライトアップされる絵画。床はピカピカに磨かれていて光を反射している。そういえば、美術館なんて入ったことなかったかもしれない。

 学校行事で行ったことがあったかもしれないけれど、子供の感性で記憶に残る感銘を受けられたかって考えると……まぁないだろう。

 そもそも興味も持てていなかったからノーカンでいい。

 世界が変わっても芸術に対する姿勢は変わらない物なんだな。緻密に描かれていて吸い込まれるような風景画もあれば、何かよくわからないけど心を揺さぶる抽象画もある。

 ある程度歳を食ってから来ると、なかなかに感じることが多い。

 ハイテンションな2人はパッと見ては次々に順路を進んでいるけれども。

 あ、氷竜は瞼をトロンとさせながら俺の側にいてくれた。興味がないのが丸わかりだ。

 そもそも刹那家で芸術に通じそうなのって亀夜ぐらいか?

 進んで行くと、工芸品やオブジェといった創作物へと品目が変わっていく。

 小さく繊細な作りに息を呑むこともあれば、豪快なんだけど創造に溢れている作品もある。ひとつひとつに確かに魅力を感じさせる。

 思い返せば、魔女の世界で出会った一人一人が尖った個性の持ち主で、誰一人同じ人はいないんだよな。

 美術館を回り終わって、近くのお店でお昼を食べている時にそんな話をした。

 そしたら人は永遠に完成なんてしないんだ、未完成なまま尖り続けるのがおもしろいんじゃないのって都築家の2人に笑われてしまった。

 氷竜は、テメェらだけはこれ以上尖らないでくれって苦言を吐いてたけどな。俺も乾いた笑いで同意したけども。

 ただ意外なことに、俺も周りからは誰にも真似できない尖り方をしているみたいだ。

 よりにもよってC・パフェさんにお墨付きをもらってしまった。尖り方であなたに勝てる人はいないからな。

 未完成なまま手を加え続けて生きていく……か。

 完成して終わりになんてさせない。未完成なまま足掻き続ける。

 もしも俺という絵があるのなら、刹那家の色をふんだんに使いながら重ね塗りしてしていきたいな。

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