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奴隷日記  作者: 幽霊配達員
青の書
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光へ誘い誘われて

 千羽が俺を巻き込んで雨天飛行を決行してから約1ヶ月。

 しとしとした梅雨が明けてカラカラの晴天が肌を焼く季節に、俺は自分の足で自分の趣味を見つけることにした。

 子虎の楽しいに寄り添って付き合うんじゃダメなんだ。俺自身の楽しいを探し出して、付き合ってもらわないと引っ張り出せないんだ。

 俺が心から楽しめられれば、子虎にだって楽しい気持ちが移ってくれるから。

 この2年で知ったことがある。身体を動かすのは楽しいことなんだって。

 だから時間が空いた天気のいい日に、ジョギングすることから始めた。

 小遣いでスポーツウェアを作ったりシューズを買ったりして、いざ決行した時には千羽以外のみんなに止められたっけか。

 1人じゃ危険だ、途中で倒れたりしたらどうするって。私達の誰かと一緒に、ムリならせめて他の奴隷と一緒に走れと忠告されてしまった。

 さすが俺でもそこまで貧弱なつもりはないんだがな。

 まぁここ最近暑いから、熱中症対策は欠かせないけども。

 過保護が過ぎるし、貴重なみんなの休日をジョギングに裂くのも気が引ける。

 特に千羽なんかはイヤイヤ俺に付き合わされている感じだ。実質ホウキで低空飛行しながら一緒に着いてくるし。犬の散歩か何かか?

 亀夜と氷竜は併走してくれる。亀夜の場合はたまに、燕子と死神の山田さんも一緒になって走ることがあった。

 隣からおもしろいぐらいいっぱいの弱音が吐かれては燕子がどついていた。あぁ、悲鳴も絶えなかったな。汗をかきながら亀夜と苦笑し合った。

 亀夜も体力ない方だから本当に苦しいんだろうけども。

 それで一番反応が著しかったのが、やっぱり子虎だ。目が離せないから仕方なく一緒に走ってあげるって感じなんだけれど、気付いたら楽しくなっちゃっている。

 楽しくなると会話が弾むし、ポロっと抑えている気持ちがこぼれてくる。

 意識して作られていた防波堤に、穴が開く。

 気付いたらすぐに塞がれてしまう穴だけれども、確実に脆くなっていく。

 残り時間は少ないのかもしれないけど、焦るな。ちょっとずつじゃないと、補強されてしまうから。

 そう、意識をしないように、俺の体力も増やしながらちょっとずつ距離を詰めればいいと思っていた。

 ただのジョギングに急展開なイベントなんて起きやしないって……思ってたんだけどな。

 今日、熱中症で倒れてしまったよ。でもって丁度子虎の休みで、思いっきり介抱されてしまった。

 思いっきり泣かれてしまったし、亀夜と氷竜からも怒られた。

 千羽からは呆れられたな。

 心配されてしまった。心配されている。晩ご飯を外食する手間もさせてしまった。

 奴隷として不甲斐ない。けども、希望を持てた。

 このまま続けていこう。俺が心を開くのが先だ。まだ捨てきれない闇を抱え込んでいるけれども、光に照らしていこう。

 恐れてなんか、堪るか。

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