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奴隷日記  作者: 幽霊配達員
青の書
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白の陰り

 俺の寿命が知られてから子虎の初の休日なんだけれど、最近また朝シャンを手伝ってないことに気付いた。

 そういえば俺の部屋へおはようの挨拶すら来なくなってたな。

 朝の食卓席では挨拶してくれてるけども、やっぱりどこかぎこちない。

 子虎が家にいる間に少しでも話し合いをしたいと思っていたんだけれど、意外にも子虎から機会を作ってくれることに……かなり消極的だったけども。

 なんでも鈴から遊びに誘われていて、俺も一緒に連れてくるように言われていたらしい。

 イヤなら断ってもいいんだよ、と念押ししているところをみるにかなり乗り気じゃなかったみたいだけれども。

 まぁ乗らない手はない。鈴からの助けというか、半分脅しが入って来ているあたり尚更。

 子虎のホウキに同乗して鈴の家へ、鈴とスライムのリリー・Jさんが出迎えてくれた。

 家の中はシンプルで、生活のしやすさに重点を置かれている。けども遊び道具はたくさん用意されていて、ボードゲームがたくさんしまってあった。

 鈴に説明と進行を任せながらみんなで楽しむことに。

 最初は俺もリリー・Jさんも子虎も控えめだったけれど、ゲームに慣れると身を乗りだしてのめり込み、手加減を置き去りに勝ちを目指した。

 子虎の屈託ない笑顔とキラキラした瞳を久しぶりに感じてしまう。

 見つめていたら、気付かれそっと顔を逸らされてしまったけども。代わりに鈴の冷えた視線が飛んできた。面目ない。

 お手洗いを借りたら鈴が着いてきて、まぁ詰められる形になるわな。

 何をしたのか問われ、俺の寿命について説明してソレを明かしたことを伝える。そしてソレ意外は特に何も心当たりがないことも。

 鈴は納得しかけたけど、首を振って違うと否定。残り少ない時間が遠慮の理由じゃないと断言する。

 わからないけど子虎はそんなことで遠慮なんてしない、って。

 もっと別の何かがあったはずだから意地でも思い出してって言われたんだけど、どうにもわからない。

 モヤモヤしたままトイレから戻ると、子虎とリリー・Jさんの神妙な面持ちが迎えた。こっちはこっちで何を話したのやら。

 リリー・Jさんに視線を向けるも首を横に振られてしまう。俺に話せない内緒話、か。

 ゲームに熱中した一時こそしがらみが外されていたんだけども、警戒心が強すぎて上手く歩み寄れない。

 雲に遮られて陰った太陽みたい。満天の青空に浮かぶニッカニカの陽射しが恋しい。

 鈴のおかげでひとつだけわかった。一時的な楽しさじゃ心の距離は詰められないって事に。

 思えば刹那家に召喚されたからずっと受け身だった。俺から歩み寄る方法なんてわからない。

 元いた世界では他人と繋がる事すら許されていなかった。

 そう考えると、意外とコミュ障だな。

 けどたくさん大切な物を子虎からももらっているんだ。だから少しでもお返ししないと。

 邪魔な雲を吹き払う風に、俺はならなきゃいけない。

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