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奴隷日記  作者: 幽霊配達員
青の書
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逃げの白と引き留める黒

 亀夜は休日を遅く起きてくる。必然として朝食の場に亀夜がいないことになるんだけど、相変わらず氷竜は威圧の微笑みを浮かべていて空気が重い。

 亀夜がいない分、千羽にヘイトが向けられてしまう。気持ちが休まらない状態でのごはんはツラいだろうな。

 因みに子虎へのヘイトはあまり向けられていない。ここ数日遠慮がち、というより退き気味だから氷竜のターゲットから外れたのかもしれない。

 緊張の朝食を終えてみんなが出社。暫くして亀夜が起きてくると、一緒にお出かけしたいと言われ街へ繰り出すことに。

 この前氷竜と遊びに行った時は遊び三昧だったけど、亀夜とのお出かけはゆったりしたものだった。

 お昼を喫茶店で優雅に済まし、のんびりウィンドウショッピングを楽しみながら歩く。

 散策すると買いたい物が多くて困るな。特に服飾系統。みんなファッションに疎いから着飾りたくなるんだよな。元がいいから勿体ないことこの上ない。

 俺はまだまだ元気だったけども、亀夜がショッピング疲れしてきたのでカラオケへ入って休憩を挟む。

 ついでと言ってはおかしいのかもしれないけど、2~3曲亀夜が歌った。

 俺は当然歌えない。何だかんだで2年暮らしてるから魔女の世界の歌を知らないわけじゃないんだけど、いかんせん歌詞が魔女の言葉で書かれているので読めない。

 でまぁ亀夜の歌声なんだけど、誰が聴いてもわかる程の音痴。

 どうフォローしていいかわからなくて言葉に詰まっていたら「笑っても、いいのだ……ぞ」と自虐を言われてしまった。

 いや笑えないけどさ。

 暫く無言が続いたから、機嫌を損ねて歌うの止めちゃったかなって思った。

 けど違った。俺の婚礼生誕の儀について切り出すのに、少し躊躇っていただけだった。

 亀夜は俺の望みを受け入れた上で、俺との日々を望んでいる。限られた時間だけど、俺に遠慮なんてしないって告白された。

 少し前まであった迷いが、黒く輝く瞳から消えていた。まっすぐ俺を見上げる視線が真摯で、優しい。

 みんなから俺を奪うつもりもない。あくまで俺を主体に、未来を決めてほしいと願われる。

 これはもう、中途半端な答えなんて出せないな。

 同時に、子虎へ対する憂いも吐露される。

 子虎は何に勘付いたのか、自分の気持ちを押し殺して俺から退こうとしている。だから、助けてやってほしいと。

 元気のなさ過ぎる子虎を、あまり見続けていたくない、と。

 お願いされるまでもない。残った時間でやり遂げなきゃいけない俺の使命だから。

 亀夜の手を取って約束を交わす。何が何でも、子虎が閉ざしてしまった気持ちを開放させる。

 誰がなんと言おうとも、遠慮なんてさせない。全部受け止めてみせるって。

 約束を交わしたら「優太は少し、かっこよくなった……な」と微笑んでくれた。

 期待されてしまったな。これは、裏切れないぞ。

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