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奴隷日記  作者: 幽霊配達員
青の書
60/72

泡沫に願わくば

 俺の寿命について知られてから一日。刹那家のみんなからバチバチに火花が散っているように感じてならない。

特に氷竜の圧が強く感じられた。

 幸いにも氷竜が休日で朝食の時間には起きてこなかったから一時は平和だったけども。

 いやひとつ気になることがあった。子虎が前にも増してよそよそしくなった気がする。

 折角少しずつ距離と詰めれたと思ったのに、秘密がバレたことでまた距離が開いた気がする。

 前までは遠慮してるって感じだったんだけど、今は他人行儀になってしまっている気がする。そして合間合間に見えるツラそうな表情。一番早くなんとかしないといけない。

 亀夜は普段通りに見えるんだけど、少し俺を気にかける視線が増えた気がする。

 千羽は何も変わってない。ホントに俺の事なんてどうだっていいみたいだ。少し寂しい。

 みんなの出社を見送って暫くしてから氷竜が起きてきた。

 いつも以上のニコニコ顔でやわらかくおはよ~って挨拶してから、急にお出かけしようって言い出して街へと繰り出す事に。

 美味しいお昼を食べて、ゲーセンやバッティングセンター行って楽しんで、雑貨やら服やら見て回って……

 これでもかっていうぐらい俺に合わせて休日を使ってくれた。

 生きているから、楽し事ができる。

 ただでさえ短い時間なんだから、必要以上に短くしないで。

 淡い泡のような命を、イタズラにいじって瞬時に破裂させないでって。

 俺はいつの間に、氷竜にとってここまで大切な存在になっていたんだろう。

 想いは嬉しいし、決意が揺らいでしまいそうになる。けど、きっとそれじゃ俺が奴隷としての役目を果たせなくなる。

 喚ばれた意味がなくなってしまう。

 無意味に人生を終わらせたくないから、頑なに首を横に振った。

 氷竜は怒りの表情を浮かべかけてながらも、抑えて諦めないと言い放った。今はムリかもしれないけど、心変わりをさせるからって。

 互いに大切だと想っているのに、決意が平行線で交わらない。

 もどかしいけど曲げられない。意志があるから対立する。争うつもりもないのに勝ち負けを決めなきゃいけなくなってしまう。

 俺には4人も主がいるのだから、全ての想いに添い遂げる事はできないのかもしれない。だからこそ、最善の着地点へ降りなきゃいけない。

 そうしないと、泡が弾けるように刹那家が崩壊してしまう気がするから……

 俺に課せられた使命が、見えた気がした。

 歪な雰囲気を感じながらも家に帰って夕食の準備に入る。

 食事の空気が重くて仕方ない。主に氷竜がみんなに威嚇しているのが空気でわかってしまう。暫く続くって考えると気も滅入りそうだ。


 お風呂に入り、お部屋に戻ってから今日氷竜に買ってもらった3冊目の日記帳に書き綴る。3年目の日記帳だ。

 青をベースにメルヘンチックな泡模様が描かれている。氷竜のセンスにしては意外かな。鮎歌あたりからアドバイスをもらっているのかもしれないけれど、俺の事を想って選んでくれたから大切に使っていこう。

 メルヘンな世界のように、刹那家がハッピーエンドへ続いていくといいな。

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