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奴隷日記  作者: 幽霊配達員
赤の書
5/55

一寸先は死

 子虎の一日は朝シャンから始まる。

 魔女の世界だけあって男が存在してが故か、俺に対して羞恥心がゼロだ。

 まぁだから何だって話なんだけれども。最早ネグリジェ姿の俺が朝シャンの手伝いをするのに抵抗なくなってるし、介護ってこういう気分なんだろうかって思わされてしまう。

 たださすがに子虎と一緒に俺まで着替えようなんていう気にはなれなかった。

 性別の壁や常識はそうなんだけど、子虎を始めみんなにこの身体を見られたくはないから。

 昨日の千羽の休日はそんなに掃除が捗らなかったけど、子虎の休日なら進むんじゃないか。そう意気込んでいたんだけど、子虎はしきりに俺を遊びに誘ってきた。

 やんわり断ろうとしたが、魔女の暇に付き合う事も奴隷の仕事なんだとか。

 家を片付けられるの、いつになるだろう。

 途方に暮れつつ子虎に連れられて庭に出た。

 子虎はアクティブで明るく運動が好きみたいだ。軽くキャッチボールをする事になる。

 にしても地球と魔女の世界は似てるな。地球にあったスポーツやら料理やらは大抵魔女の世界にもある。おかげで生活に不便がなくて助かるけども。

 軽くボールを投げていたけど、一回全力で投げてきてってお願いされたからコントロール無視して力を込めた。

 まぁボールはあらぬ方向へ飛んじゃったんだよね。そしたら子虎は呆れちゃったのか、キャッチボールは終わりになった。

 次にやるのは鬼ごっこ。鬼になった俺は全力で子虎を捕まえようとしたんだけど、ひょいひょいと身軽に躱されて全然歯が立たない。

 十分程で俺のスタミナが切れて動けなくなってしまった。

 ムチャクチャ疲れたし、心臓が痛いくらいに動いて苦しかった。

 けど……楽しかった。鬼ごっこなんてやったの、初めてだったから。

 昼食を兼ねた休憩中に、疑問になった事を聞いてみた。

 俺の部屋は最初、石畳のがらんどうに窓が一つ付いているだけだった。あぁ、床には意味深な魔方陣が描かれていたっけ。四方向で模様が明らかに別物に見える魔方陣が。

 それが夜部屋に戻ったらフローリングの床に白い壁、俺が前暮らし慣れていた部屋に様変わりを遂げていた。

 まぁ、床の魔方陣はそのままだったけど。

 どうやら召喚魔法には時間が経つと部屋が召喚されて対象の環境に適応されるようになっていたらしい。

 ついでに増えた調度類は、俺が召喚される前の奴隷が使っていた物を子虎一人で運んだんだとか。

 小さい見た目のわりに、四姉妹の中で一番の力持ちらしい。タンスを片手で運んだんだとかウソだろ。

 はい、しっかりと運んでいるところを目撃しました。

 模様替えを頼んだらお昼から調度類の模様替えを手伝っていただけました。

 模様替え終了して今度は、サッカーボールの取り合いをしたわけだけど、子虎からは全然奪えないの。けどやっぱり楽しい。

 すぐにバテちゃって、だけど楽しいから制止が効かなくって、見かねた子虎が強制的に俺を止めようとしたんだ。雷の魔法を落として。

 後から聞いた話、子虎は雷と光の魔法を得意とするみたいで、威嚇のつもりで雷を落としたらしいんだけど、午後七時まで気絶してしまったみたいだ。

 気がついた時にはみんな仕事から帰宅していた。

 家の片付けどころか普通の掃除すらやれてなくて焦ったけども、みんなは俺を責めるどころか心配してくれた。

 特に子虎は泣きながら謝ってきた。気絶するほどのダメージを与えるつもりはなかったと。

 どうやら普通の奴隷はあの程度では少し痛い目みるだけで気絶しないらしい。

 千羽から最弱の貧弱とか言われたけど、雷に当たって少し痛い目みる程度ってどんなだよって感じだ。

 ついでに千羽が炎と風の魔法が得意と知った。

 とにかく、俺は魔法一つで命の灯火が吹き飛ぶ程か弱い存在だと言う事をわからされたよ。

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