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奴隷日記  作者: 幽霊配達員
黒の書
44/55

イタズラ好きの双子魔女

 6月も終わり間近。晴れ間が垣間見えつつもジットリした気温の今日この頃。

 千羽の友達が家に遊びに来る事に

 しっかりもてなさなければ思う反面、少々不安な事前情報もあった。

 千羽から散々気をつけろと釘を刺された挙げ句「できる限り日付を引き延ばしたんだからと感謝しなさい」と言われる始末。

 言い方が相変わらず上から目線なんだけど、それほどの何かがあるのだろうと緊張が高まってしまう。

 それにケンタウロスの安藤さんも買い物で出会った時に、主には注意しろと何度も忠告されていた。

 千羽の友達と安藤さんの主は同一人物。そして二人から忠告されているという事はよっぽどだ。

 一体どんな厳つい魔女が現れるのかと思っていたら、現れたのは小学生ほどの少女が二人。とてもよく似た双子だった。

 薄赤紫のつやつやした髪を腰まで伸ばしているのがシエ。アホ毛が一本。

 薄青紫のつやつやした髪を腰まで伸ばしているのがシオ。アホ毛が三本。

 二人とも愛らしくて、にぃっとした笑顔がとても似合っている。

 因みに漢字で書くと紫江と紫緒になる。

 元気いっぱいで無邪気に遊び回っては千羽や安藤さんを翻弄していく。言う事をまるで聞かない、いたずらっ子のワルツ。笑い声が耳に残る。

 コレは厄介がるわけだ。手が思いっきり焼ける。息を切らしながら叫ぶ二人を不憫に思ってしまう。けどかわいらしい遊びの範疇に収まっている気がするんだけどな。

 キッチンでおやつの準備をしていると、紫江がちょこんと寄ってきた。紫緒の方は千羽と安藤さんをからかって遊んでいる。

 一応不用意に近付くなって警告されているけども、天使みたいなやわな笑顔につい気が緩んでしまう。

 小腹が空いておやつでも摘まみに来たのかな。

 そう油断して近づいた瞬間、俺の右腕が突如現れた岩塊でグシャッとなってしまう。

 痛みに悶え叫んでいると、紫江は小悪魔のように見下して笑っていた。

 何って言うか悪気が全くなくて、ただ無邪気にイタズラが成功したのを楽しんでいるような漢字だ。

 悲鳴に駆けつけた千羽と安藤さんが俺たちを見て驚愕した。紫緒の方は、どうやら二人を引き付けて紫江をフリーにさせる役を買っていたようだ。イタズラが成功した事を紫江とハイタッチしながら喜んでいた。

 そんな双子の頬をグーで殴り飛ばす千羽。

 殴られた頬に手を添えながら、呆然と見上げる双子に千羽が俺の脆さについて一喝すると、子供のようにボロボロと泣き出した。

「泣きたいのはこっちの方よ」

 鋭い呟きが確かにこの耳で拾えた。俺、千羽に心配されてたんだな。

 すぐさま病院へ行って診てもらい、全治5日の診断を受けた。またか。最近ケガしてばっかだ。

 ただこの診断結果で、紫江と紫緒が事の重大さに気付いて青ざめていた。安藤さんに至っては気の毒なぐらい青ざめていた。

 家に帰ってから紫江と紫緒から頭を下げて謝られる。

 何だ、素直に謝る事ができるいい子達じゃないか。

 安藤家が帰る手前で、双子から千羽にお似合いの奴隷だねってお墨付きをもらう。

 千羽は憮然としていたけど、俺は正直嬉しかった。

 亀夜の友達、燕子からは逆の事を言われていたから、ちょっと安心したのもあるかもしれない。

 結果よければ全てよし。

 と言いたいところだけど、また暫く家事をできそうにないや。刹那家のみんなに迷惑かけちゃうな。

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