時の雨宿り
みんなが仕事に出かけたしとしと雨の午前中。
傘を差して買い物に出かけようとしたら、玄関でいつか見たオレンジ色の髪の少女が雨宿りしていた。
ちぃちゃんだ。一年ぶりぐらいかな。俺と目が合った時、口をポカンと開けて驚いていた。
ただ雨が止むまで待たせるのも悪いから、一緒に傘に入ってお買い物へと出かけた。
別に家へ上げて待たせてもよかったんだけどな。よっぽど家の中を荒らされる事もないと思うし、多分そんな子じゃない。
家には俺用の傘が一本しかないから、身を寄せ合ってゆっくり歩く。
肩が濡れてしまうのはまぁご愛敬かな。寧ろザーザー雨じゃなくてよかった。ちぃちゃんが寒くないといいけども。
歩きながら俺は、奴隷棒名の儀が終えた事を伝える。
殆ど見ず知らずの他人なんだけれども、なぜだか優太って名前を知ってほしかった。
いや、俺の意図で伝えたかった。
おめでとうって言葉が、抱きついてくれた体温が温かかった。
傘、落とさなくてよかったな。
刹那家のみんなの事が好きかって問われて、ノータイムで好きだって返す。
嬉しそうにはにかんで、見ている俺まで微笑ましくなってしまう。
スーパーに着いて一緒にお買い物。折角だからお菓子を選ばせたんだけど、辛口のお菓子をカゴに入れてきた。
味の趣向でも千羽と似ているな。
「こんなお菓子があったんだね」と驚いている事に驚いた。
どのスーパーに行っても、お菓子コーナーを覗けばすぐ見つかるメジャーなお菓子だったから。
ちぃちゃんの買い物スキルはなかなかで、淀みなくスムーズだったおかげで買い物が楽だった。そして楽しかった。
どんな事を考えながらお買い物をしてるのとか、ちぃちゃんからの質問に答えるのがとても有意義だった。
ちぃちゃんにお菓子が入った袋を持たせて、それ以外は俺が持って帰っている途中の事。
また急にちぃちゃんの足下から魔方陣が浮かび上がって、どこかへ飛ばされてしまった。
ちょっと心配だけれど、きっと無事だと思う。そんな予感がする。
またいつか、会えるといいな。
「また出てきた。コレで2回目だ」
このちぃちゃんって子、お父さんからお菓子を買ってもらったんだ。図々しい子だな。もうちょっと遠慮しようよ。
「ちょっと、ムッとしちゃうな」
なんで、だろうな。




