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奴隷日記  作者: 幽霊配達員
赤の書
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34/109

もしも

 今日は春風が強く、買い物が大変だった。

 向かい風も追い風も身体を揺さぶってくれるし、荷物の揺れも強いから持っている手が痛いのなんの。

 地上でさえコレなんだ。仕事へ出かけるために空を飛ぶみんなは、もっと強風の影響を受けているだろう。

 桜も散り際で、舞い散る薄桃色の花弁は花の妖精のようにキレイだった。

 桜吹雪。春の季節を視覚で感じる度に、歩を止めかけてしまう。

 ……もしも、俺が魔女の世界に召喚されていなかったら。

 今頃は高校を卒業して、就職でもしていたのだろうか?

 この身体が無事なまま、卒業できていたらって条件付きだけれども。

 ……あっちの世界で見た桜は、こんなに色付いていたっけか?

 味のないような、モノクロの桜をしていなかったか?

 今魔女の世界にいる俺は、本当に現実を生きているのだろうか。

 実は召喚なんかされてなくて、都合がいい色の現実逃避をしているだけなんじゃなかろうか。

 黒色の過去が怖い。

 俺は、奴隷という立場に甘えているだけなのかもしれないな。

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