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奴隷日記  作者: 幽霊配達員
赤の書
32/55

侵食のアフタヌーン

 先日食器棚を整理していたらアフタヌーンティーセットを発見する。

 亀夜は甘みの好きだし、気温も温かくなってきたから庭に出てアフタヌーンティーでも楽しもうと思った。

 穏やかな昼下がりになる予定だった。

 道具を買ったのは氷竜だけど、1~2回で面倒になって食器棚にしまわれたとか、そんなたわいない談笑をしながらお茶を嗜んでいた。

 だけど亀夜は急に俺の家族について聞いてきた。

あまり触れられたくないから笑ってごまかしす。普段ならみんなここで引いてくれるんだけど、今回亀夜は更に踏み込んできた。

兄弟の構成。姉が3人に、妹が5人。

寂しいのではないかと問われて怖気がした。俺も、あいつらだって、間違ってもそんな感情はわき上がってこないっ!

だというのに亀夜は、氷竜や千羽、子虎って家族を大切だと言って、俺もそうだったんだろうって推測を立てられてしまう。

そんなはずないっ!

 俺のアレは、亀夜達刹那家みたいに温かな家族なんかじゃないっ!

 踏み込まれたくないところなのに、今日の亀夜は土足でズンズンと踏み込んでくる。

話は更にアレと母さんにまで進んでいく。

 母さんの事は凄く心配だし、できる事なら顔を見て話をしたい。

 けど亀夜は俺の心情なんてお構いなしに、俺を父親の元へ返してやりたいなんて……

 アレの元に返されたら、俺がそうなってしまうかわかったものじゃない。やめてくれ。考えたくもない。

 手にしていた紅茶をこぼしている事にさえ気づけなかった。

 お茶が冷めてしまったからと、淹れ直しを要求された事で話が終わってくれた。

 何だろう。今日の亀夜は凄く暗くて怖かった。

 ……いや、怖いのは亀夜じゃないか。

 忘れよう。俺の今の家族は刹那家なんだから。あんな家族なんか……家族なんか……。

 家族って、何だ?

 いや考えすぎない方がいい。

 それよりも、今日の俺の態度が亀夜から見て不信に思われてなければいいんだけどな。


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