空白のクリスマスへ
明日はいよいよクリスマス・イブ。
元の世界にいた頃はお祝いしてパーティするなんて夢のまた夢だったけども、刹那家でなら思いっきり楽しめるはず。
少しぐらいならハメを外しても許されるよな。
期待と不安を入り混ぜながらスーパーで奮発をしていたら、半魚人の都築さんに出会った。
相変わらず何を考えてるかわからない、闇の底を覗き込んだような暗い目をしている。
一人ウキウキしながら財布の残金と奮闘していたら「何で豪華なのぉ?」と聞かれてしまった。
背筋が凍る思いだったね。元の世界と魔女の世界は連動している事が多いから、すっかりクリスマスもあるものだと思い込んでいた。
恐る恐る都築さんにクリスマスの存在を確認したんだけど、なんとしっかり存在はしているらしい……けど。
特にお祝いとかするような特別な日ではなく、普段の何ら変わらない平日のようだ。
どうしよう。もうスーパーのカゴの中にはケーキの材料やワイン、七面鳥やらチーズやら色々詰め込んでしまった後だ。
さすがにコレら全部を棚に戻してく度胸はない。
悶々としていると、諭されたようにポンと肩を叩かれてしまった。
都築さん、俺の何を感じ取ったんだ。
更に刹那家みんなの誕生日も知ってる様子。
主との友好関係上、氷竜の誕生日までなら知ってる事は理解できるけど、全員を知ってるってどういう情報量だ。
普通、例え耳にしたとしても忘れてしまうものだろ。
やっぱりこの半魚人、底が知れない。
これ以上二人っきりでいると何かと怖いので、距離をとってさっさと帰る事にした。
さて問題は、もう既に用意してしまっているクリスマスプレゼントをどうすべきか、だな。




