表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
奴隷日記  作者: 幽霊配達員
赤の書
2/55

二日目

 俺が魔女の世界に奴隷として召喚されて二日目。

 今日、日記帳を買ってもらえたので記録を残していこうと思う。

 因みに一日目は夜寝る前に布団ごと召喚されたから特に何もできなかった。


 で寝ていたところ重みに気付いて目を覚ますと、白色の少女に跨がられながら顔を覗き込まれていた。

 小学生高学年ぐらいの健康的な体格で、ショートの髪があちこちに跳ねている。ぱっちりとした青白い瞳に猫のような瞳孔。名前はココ、四姉妹の末っ子だそうだ。

 自己紹介を返そうとしたら、訊いてないと突っぱねられた。

 どうも召喚されたばかりの新奴隷が名前を覚えてもらおうなんていい度胸なんだとか。

 名前をもらいたいなら四姉妹全員に認めてもらわなければいけないらしい。ンなもん知るか。

 で朝シャンしたいから手伝って風呂場へ案内されたんだけど、ツッコミどころが多すぎて大変だった。

 俺が高三男児でセンシティブについて問題があるのではとか、ココが子供とは言え恥じらいはないのかとか、そんなもんはすぐに吹っ飛んだ。

 廊下から洗面所、浴室に至るまでとにかく汚い。

 廊下が廊下として機能してるのが不思議なくらい物やゴミが積んであり、洗面所には脱ぎ散らかした服やら下着やらが散乱している。いつ洗ったヤツだコレ?

 浴槽は黒いドロドロに支配されていて使い物にならない。寧ろ使っていて堪るか。

 放心状態でココの朝シャンを手伝いながら思ったね。この家、ゴミ屋敷だ。

 くつろぎとは無縁なリビングへ向かうと、赤色の少女が待ち構えていた。

 年齢は俺と同じぐらいだろうか。キっと吊り上がった強気な目尻に、腰辺りまで延びた後ろ髪。ココがチハネと呼んでいた。次女らしい。

 チハネは開幕早々からケンカを吹っ掛けてくるようなかわいくないヤツだ。黙ってればかわいいのに、勿体ない。

 残りの二人は夜型のようで、起こしに行かなきゃ朝起きてくる事は殆どないとの事。

 チハネがヒリュウを、ココがキヨを二階へ起こしに行くから待っててと言われて待機する事数分。

 二階から洪水が発生してゴミと共にチハネが流されてきた。

 チハネが激怒しながら走ってヒリュウを起こしに行くんだけど、訳がわからない。

 混乱しているとココと一緒に黒色の少女キヨが二階から下りてきた。見るからに、三女だ。

 中学生くらいの体格にやや色白の肌。眩しそうに伏せられた半目、髪は肩にかかるくらいの長さをしている。冷静で落ち着いた物腰だ。

 慌てていきなり洪水が起こった事を伝えると、ヒリュウが寝ぼけて魔法を放ったと然も平然と教えられた。

 本日一番の衝撃だ。いやあり得ないだろ。

 俺の反論は、召喚魔法によってこの家へ連れてこられたと説明された事で一蹴された。

 程なくして文句を言うチハネと、青色のおっとりした女性ヒリュウが降りてきた。消去法から、長女だな。

 ふわりとウェーブがかかったロングヘアーに優しそうな垂れ目をしている。とても洪水を引き起こした本人とは思えなかった。

 全員揃ったところで、俺の日用品の買い出しへと向かう。

 布団以外何もない部屋なので、色々と買ってくれるようだ。

 庭へ出ると全員、出かけるために竹ホウキを持ち出した。

 ……いや、まさかな。

 悪い予感は虚しく的中し、竹ホウキで空を跳ぶらしい。

 俺?

 チハネのホウキに強制二ケツさせられたさ。チハネのバカはスケボーに乗るかにように立ってたからケツって言うのも変だけどな!

 この後は中空に浮かぶショッピングモールで諸々の調度品を揃えた訳だけれど、途中欲しいものがないか聞かれたんだよな。

 俺は普段から日記を書いていたから、ダメ元で日記帳が欲しいとお願いしてみたんだ。

 そしたらチハネが選んで買ってくれた。一年分書ける、分厚い赤の日記帳を。

 こうして日記を記せるのも、気まぐれな優しさのおかげだ。

 とにかく今日は色々動いて疲れた。明日からはこのゴミ屋敷をどうにかしなくっちゃな。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ