表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
奴隷日記  作者: 幽霊配達員
赤の書
19/55

小池家のカレー騒動

 一人分の昼食を作るのが面倒だと思っていた頃、お隣のガーゴイルの小池さんが尋ねてきた。

 何でも主である里恵が俺の事を連れてこいと言っているんだとか。

 何か気に障る事でもしただろうか。

 気になって小池家へ行ってみる。ご立腹な里恵と、異様な臭いを放つ昼食のカレーがテーブルに鎮座していた。

 あの、小池さん。カレーにナニを入れたので?

 驚愕していると里恵からこのレシピ、俺が伝授した事になっていて余計な物を教えやがってと俺に矛先が向いていた。

 こんなの教えてない……。

 殺されそうな勢いで詰められるのを、どうにか誤解を解いた。のだけれど結果小池さんのポカが原因だとわかってしまう。

 炎魔法で炙られる姿は生々しくて凄まじかった。臭いがヤバい。

 黒焦げになった小池さんは、里恵の怒りをそのままに家を閉め出された。

 死んでないか心配だったけど、俺がいる手前だからこの程度で許してくれたんだと。

 この……程度?

 ガーゴイルがタフなのか俺が貧弱なのか。たぶん後者なんだろうけど、考えない方がよさそうだ。

 そんな流れでちょっと話し込んだんだけど、どうやら里恵は炎属性一種類しか本来使えないらしい。

 ただ左腕全体に彫り物のように魔方陣が掘られているんだけど、それが属性変換の役割を果たしていて、左腕からのみ氷魔法も使えるんだとか。

 弱点は制御ができないから、左腕からは自動的に氷魔法しか放てないんだと。

 魔法も一筋縄じゃいかないんだな。詠唱は覚えるの面倒そうだし。

 仕方なく小池さんと二人で昼食を食べようと思ったんだけど、よくよく考えると小池家のカレーはトッピングが酷かっただけど、カレーそのものは美味しそうだった。

 ドジったせいでライスが全滅していたから、代わりの主食を作れば美味しく食べられるんじゃないかと考え直す。

 ナンなら作れるかな。一緒に料理するのも仲直りのきっかけに出来るかもしれない。俺は小池さんを連れて即座に小池家へ戻って昼食の指示をした。

 二人が生地を捏ねている間に、悲惨になっていた小池家のキッチンを片付ける。

 聞こえてくる会話の声はだんだんと穏やかになっていく。

 ナンを焼く作業に入ったとき、片付いたキッチンを見てなぜか驚かれてしまった。大雑把だったから、清掃の詰めが甘かった事に憤りを覚えてしまったのかも。不思議と怒りは感じなかったけども。

 みんなでナンを焼いてカレーを食べる頃には里恵もすっかり機嫌を直していた。

 気のせいでなければ、ちょっと距離が縮まったのかも。

 とにかくカレーも無事に美味しくいただけたし、まぁまぁいい日だった。

 ……ただちょっと気がかりが。他の奴隷仲間に教えたカレーは、果たして大丈夫だろうか。考えすぎ、だよな。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ