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奴隷日記  作者: 幽霊配達員
赤の書
18/55

唯一の心残り

 今日はスーパーでスライムの御手洗さんとバッタリ会った。

 御手洗さんとはよく出会うし、物腰柔らかだからリラックスしやすい。俺もすっかり打ち解けたな。

 奴隷のみんなは見た目だけで魔女より凶暴そうに感じるし、見境なく襲ってくるイメージしかない。必死になって逃げない方がおかしい。

 まぁ今思い出すと、必死になって逃げ回ってた事の方がおかしいんだけどな。

 話は不意に、召喚される前の話題になる。

 まず魔物の世界での奴隷召喚の認識だけれど、どうやら知識として持っていたらしい。

 神隠しのように突如喚ばれる可能性を持ちながら生活をしているけど、別に喚ばれる事を感知したりはできないんだとか。

 覚悟はしてなかったけど、心構えぐらいはあったらしい。

 問いは俺に返ってくる。全く奴隷召喚の知識がなかったのに、急に喚ばれて元の世界に心残りはないのか、と。

 御手洗さんは急な環境の変化や友人や家族とかと離ればなれになる事について心配してくれたらしいけど、俺にはツラい気遣いだ。

 友達なんていなかったし、作る余裕もなかった。みんな自分勝手で脳天気なヤツらばかりで、信じられなかった。

 家族なんて、論外だ。あいつらの事なんかっ……でも、俺は母さんをあそこに一人で残してしまった。無事だと、いいんだけど。

 つい俯いて考え込んだ俺を、御手洗さんが心配そうに話しかけた事で気持ちが現実に戻ってきた。

 考えないようにしよう。それより、刹那家のみんなのご飯の方が大切だ。

 献立を考える日々はこれからもずっと続くのだから。

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