奴隷達の苦難
今日はみんなが仕事に出かけて俺が家に一人の日。
いつもお世話になっている奴隷達を家に招いてお料理会を開いた……ってか、ほぼほぼ勉強会か。
俺より奴隷歴長いはずなのに、なんでまともに料理できるヤツがいないんだ?
いやいるわけないか。モンスターに料理って概念があるか疑問だし、道具を使い分けるだけでも苦労しそうだ。
あの惨状で、前よりマシになったってみんなの魔女から言われているあたり、お察しだわな。
生き残ってこれたのはやっぱり、召喚された家が刹那家じゃなかったからなのか。
まぁいい。ちょっと前から少しずつ増やしていたレシピノートが役に立ちそうだ。
この魔女の世界、なぜかカレーがなかった。だからスパイスの調合比率をみんなに伝えて布教。
後々アレンジしてオリジナルカレーを作れるようになってくれたら、俺もレシピが増えてバンバンザイだ。
半魚人の都築さんはシーフード辺りに特化しそうかな。死神の山田さんは、スープカレーを作る際に何かの骨から出汁を取ったりして……無理があるな。
ケンタウロスの安藤さんは桜肉を上手に取り入れてくれたり、縁起悪いか。
ガーゴイルの小池さんは……いっそ石焼きの皿に盛って熱々のカレーなんか。
スライムの御手洗さんは……ダメだ、俺の乏しい想像力では何も浮かんでこないわ。
ともかく、食べられるカレーをきっと作ってくれるだろう。
試食会と言う名のお昼ご飯は大盛況だったね。そんな崇められるほどでもないんだけどな。
お昼では食べきれなかったから、夏野菜を入れて刹那家の晩ご飯に。
亀夜だけは緊張した様子でカレーと睨み合っていたけど、一口食べてからは気に入ったようだった。
臭いで辛い食べ物だと感知したんだろうな。一人だけ甘口にしておいてよかった。




