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奴隷日記  作者: 幽霊配達員
赤の書
14/14

初めての海

 氷竜の提案により、刹那家全員で海に遊びに行った。

 俺の水着を千羽が選んでくるって聞いたときには悪寒が走って全力で拒否した。たぶん危なかったと思う。

 ホウキに乗ってみんなで海に飛ぶ際、千羽が一人で全員分の荷物を受け持ち文句を言っていた。

 空から見えてきた海はひたすらに青くて、果てしないほど広がっていて、とにかく大きい。

「これが、海」と思わず口に出たほどだ。

 亀夜には知っていたのに見るのは初めてなのかと驚かれた。

 あの家では、俺に遊ぶ権利なんて与えられなかったからな。

 海の家に立ち寄り、一部屋借りて荷物を置く。千羽がアレコレ雑用を押し付けてきたから、とりあえずパラソルをレンタルして場所取りに専念する事に。

 みんなが水着に着替え終わるまでに場所を取れればと思っていたけど、亀夜も一緒に付いてきてくれる事に。

 砂浜は人混みで賑わっているし、迷子になられても困ると。ありがたい。

 パラソルを立て終えたところで、水着姿の三人が到着。

 子虎は灰色のセパレーツ姿で、脇にサーフボードを抱えている。たぶんできるんだろう。

 氷竜はピンクと水色のボーダービキニ。こっちもサーフボードを抱えている。

 千羽は薄紫色のワンピースで、手ぶらだった。波に乗れないやつだ。

 交代で水着に着替えてこいと言われたけど、俺は水着を用意していない。

 事実を告げたら千羽は怒って、黒ビキニを買っとけばよかったと言ってきた。ホントに危なかった……。

 千羽がチクチクいってくるのを子虎が宥め、氷竜も一緒になって三人で海へ遊びに行った。

 キャッキャしている姿を、亀夜と隣り合って眺める。

 一緒に遊びたかったんじゃないかと問われて頷いたけど、ただ俺は水着に着替えたくなかった。正確にはこの傷だらけの肌を、晒したくなかったのが本音。

 一遊びしてから氷竜と二人で海の家でラーメンを食べる。凄い味だった。美味しいと言っているのがわからない。

 けども海の家と言えばこの味みたいな、風情を感じさせられるんだと。雰囲気の方が大事らしい。

 帰りにみんなのカキ氷を買って戻る。亀夜の宇治金ミルク、かなり甘ったるそうなんだが。

 カキ氷も、初めて食べたな。

 氷竜を荷物番に、俺たちはビーチボールを楽しむ事に。

 俺・子虎ペアと千羽・亀夜ペアで分れる。

 アタックは千羽の顔面を狙って全力でと子虎からアドバイスをもらってしまう。どうしろと。

 千羽のアタックが俺の顔面目がけて飛んできたのを子虎がブロック、逆に子虎が千羽の顔面にお見舞いする事態に。

 ビーチバレーって、あんな重い音するんだな。というか気持ち的に千羽1に俺たち3みたいなチーム分けなってる気が。

 と思ってたらポスっと俺たちの陣地にビーチボールが降ってきた。

 千羽の顔面を捉えた渾身のヘビーボムは、亀夜の手によって拾われていたようだ。

 千羽は勝利した事に全く納得していなかったけども。

 俺はビーチバレーで完全に疲れ切ったよ。楽しかったけども。楽しかったけどもっ!

 お次はスイカ割り。千羽が一番手にやって、デタラメな指示を受けて声を上げる。

 二番目に俺の番が回ってきた。目隠しして十回転するだけで方向感覚が狂うな。

 一歩も前に歩く事なく「今だっ!」と言われてバットを振り下ろしたんだけど、そりゃ砂を叩く事になるよな。犯人は千羽。

 氷竜がにこやかに「狙って指示を出してね~」とお願いする。

 みんなの指示はスイカではなく、千羽の脳天をターゲットにしていた。氷竜も確信していたようで、バットには魔法で冷気が纏われている。

 千羽がダッシュで逃げると、氷竜も見えてるのかと思わせるほど的確にダッシュで追いかけた。

 スイカ割りって、鬼ごっこの亜種だったんだな。

 物理的に頭を冷やした千羽と二人で砂遊びをする。子虎と氷竜はサーフィン、亀夜は荷物番だ。

 初めての砂の城作りも楽しかったけど、千羽には呆れられてしまった。

 帰りは荷物が増えていて千羽は勿論、亀夜も相当辛そうだった。

 二人は平行して飛んでいて、ホウキにハンモックをぶら下がっている。ソコには疲れ切って寝落ちした子虎と氷竜。

 なお想定では俺も寝落ちしているはずだったと。恐れ多いよ。

 色々とはしゃいだけど、楽しい海だった。

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